『ハコヅメ』藤聖子と川合麻依は“上司と部下”を超えた関係性に? ますます深まる二人の絆

 もちろん上司と部下であることに変わりはないが、時に姉妹に、時に恋人のように錯覚してしまうため読んでいると不思議な気分になってくる。きっと藤と川合を見て、同様の感情を抱く読者もいるはずだ。

 ただずっと一緒にいるからではなく、苦楽を共にしたからこそ培われた絆なのだろう。それぞれのペアにも多くの物語があるはずだが、特にこの二人の関係性は美しい。血が繋がった家族のように支え合い、いない時も想い合う絆の深さに羨ましいものさえ感じる。きっと辞表を持っていた当時の川合には、こんな出会いがあるなど考えてもみなかっただろう。

 コミカルとシリアスのバランスがちょうど良い本作は、幅広い人々が楽しめる作品だ。ただ警察官の出来事に触れられるだけでなく、川合や藤など登場キャラクターの成長も見届けることが出来る。今後も彼らがどんな活躍をするのか、今から楽しみで仕方がない。

■たかなし亜妖
平成生まれのサブカル系ライター。ゲームシナリオライターとしての顔も持つ。得意技は飲み歩きと自炊。趣味はホラー映画鑑賞。

■書籍情報
『ハコヅメ~交番女子の逆襲~(14)』
泰三子 著
定価:本体640円+税
出版社: 講談社
公式サイト

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