『BLEACH』もうひとりの主人公・朽木ルキアが心を取り戻すまで……死神の一生を考える

ルキアを救ったのは一護だったのか

 一護に死神の力を譲渡したことによって全てが始まった。それから、ルキアと一護は相棒のような形で戦いを共にする。一護にとってもルキアは自分の家族を救ってくれた恩人で、やがて“友”となった。ルキアが処刑されると知り、助けに行ったのも一護だ。

 友達を助けるのは一護にとって当たり前だ。その当たり前を実行する中で、ルキアの周りにいる者たちの心を変革していった。

 白哉もそうだ。そしてもうひとり、ルキアの幼なじみである阿散井恋次。ルキアの処刑決定前までは敵対していた一護と恋次だったが、一護と戦うことで誰よりもルキアの幸せを願っていたことを吐露する。その後、恋次はそもそもの目標であった「白哉を超える」ため、めきめきと力をつけていく。

 一護と戦い、相棒のように見えたルキアの隣には、やがて一護ではなく恋次が立つようになった。それが本来のあるべき形だったのだ。

 一護が強くなっていく中、確かにルキアも強くなり、やがて尸魂界を支える実力者のひとりとなっていく。そしてそのそばには恋次がいる。新しい命も……。死神の一生は長い。大切なものを取り戻したルキアは、次の世代へとつないでいくまだ物語の途中なのかもしれない。

(文=ふくだりょうこ(@pukuryo))

■書籍情報
『BLEACH』(ジャンプ・コミックス)74巻完結
著者:久保帯人
出版社:株式会社 集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/bleach.html

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