『Dr.STONE』は科学漫画から壮大な冒険ロマンへ 楽しい航海の先で待ち受ける新展開

 そんな楽しい航海が終わると、舞台はいよいよアメリカ大陸へ。石化した人々の無惨な姿が岸壁に残っているのを見て、もしかしたら自分たちと同じように、アメリカ合衆国も復活しているのではないかという、かすかな希望は粉砕される。

 ゴールデンゲートブリッジがあった場所を通過し大陸内部へと向かっていくペルセウス号。サクラメント川で資源補充チームとコーン探索チームの二手に別れ、千空はコーン探索チームとして行動する。

 途中で襲ってきたワニの大群を司たち最強戦士たちがあっさりと仕留めて、ワニ肉でハンバーガーを作ってみんなで食べるシーンはグルメ漫画的で思わずほっこり。ワニの胃袋の中にあったトウモロコシを見つけて目標に一歩近づく千空たち。しかし突如、上空からあらわれたマシンガンを搭載した飛行機から襲撃される。千空が作ったパイロフォリック(飛行機や自動車の内燃機関を標的とした化学兵器)をキリサメが投擲することで飛行機を撃墜するが、飛行機はもぬけの空。

 とりあえず飛行機を回収して旅を続ける千空たち。一方、敵を追跡するメンタリストのゲンは、武装した女戦士と接触。彼女の案内で、Dr.XENO(ドクターゼノ)の屋敷へと案内される。ゼノは千空に匹敵するか、それ以上の頭脳を持つ天才科学者。2人の科学対決を予感させて、物語は次巻へと続く。

 科学漫画としてはもちろん、壮大な冒険ロマンとしての面白さも脂が乗ってきた『Dr,STONE』。続きが楽しみである。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■書籍情報
『Dr.STONE』既刊17巻(ジャンプコミックス) 原作:稲垣理一郎
作画:Boichi
出版社:集英社
https://www.shonenjump.com/j/rensai/drstone.html

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