『ONE PIECE』フランキーの一味における役割とは? 作者の遊び心が詰め込まれた“飛び道具”の魅力

 麦わらの一味において、最大級に“なんでもあり”を体現した船大工のフランキー。彼は、「そんなのありか!?」と私たち読者が思わずツッコミを入れざるを得ない、一味のなかでも度を超えた存在である。作者である尾田栄一郎先生の遊び心が満載のキャラクターが、このフランキーなのだ。

『ONE PIECE(39)』

 船長のルフィに次いで天然な性格のゾロ、お金に目がないナミ、口からでまかせのウソップ、女好きのサンジ……と、それぞれにアクが強く、ムードメーカーだらけの麦わらの一味。しかしフランキーこそが、(ルフィを含めた)8人目のメンバーにして、ついにやってきた“真のムードメーカー”ではないだろうか。

 フランキーといえば、情が深く、すぐに涙を流し、それでいて豪快な男気あふれる存在。だが彼は当初、ニコ・ロビンと同じように“敵”として麦わらの一味の前に姿を現した。その見た目はリーゼントにサングラス、それにアロハシャツに海パン……。いかにも不良然とした、絵に描いたような“ワル”の出で立ちである。

 しかし、情に流されやすく、見た目もトリッキーという点は、子どもたちから支持される要素でもあるだろう。彼の分かりやすい感情的な性格は、物語展開への読者の反応を代弁するようなものであるし、見た目の派手さは作品世界に愉快な活気を与えるものだ。

 そのうえ彼は、サイボーグ(改造人間)でもある。身体のあちこちから武器を出したり変形したりするというのは、ルフィ、ウソップ、チョッパーのような子どもっぽい面々がはしゃぐのと同じように、読者から見ても思わず楽しくなるものだろう。さらには、やたらとキメポーズを取りたがったり、「スーパー」が口癖であったり、コーラが燃料であったり……こう書いていると、フランキーがあまりにもアソビが過ぎるキャラクターであることを改めて認識させられる。まさに“なんでもあり”だ。

関連記事