和田雅成、クールな眼差しから無邪気な笑顔まで 『邂逅』で見せる“2.5次元俳優”の素顔

 2003年にスタートしたミュージカル『テニスの王子様』をきっかけに、漫画やアニメを原作とした"2.5次元"と呼ばれる舞台化が急激に増えた。以前はアニメファンに向けたサブカル要素が強い印象があったものの、現在はアニメファンでない層をも虜にし、瞬く間に一般層にも浸透した。

 舞台化に伴い、仮想のアニメキャラクターを見事に演じ切る"2.5次元俳優"と呼ばれる俳優も登場し、認知されることとなった。彼らはただ美しいルックスを持っているだけでなく、原作ファンの期待を裏切らぬ細やかな演技・存在感で人気を博す。その勢いは留まることを知らず、ファンクラブの設立や写真集を出版するほどの人気を博している人物も多い。

ショーモデルから俳優へ

 2020年7月1日に初のフォトエッセイ『邂逅』(KADOKAWA)をリリースした和田雅成も、その中の一人。今や2.5次元俳優と聞けば、必ず名が挙がる俳優の一人だ。

 彼は彗星のごとく現れた存在でも、子役から下積みを重ねるベテランでもなかった。身長180cmというスタイルの良さを活かし、ショーモデルとして活動するも、心のうちはしっくりきていなかったようで、2012年、20歳の時に俳優へと方向転換する。年齢だけを見れば、業界入りは決して早くないだろう。

 俳優の世界へ足を踏み入れてからは『刀剣乱舞』や『おそ松さん』、『弱虫ペダル』など多くの作品に次々と出演。『薄桜鬼』では座長を務め、一気に有名俳優への階段を駆け上がった。

 1stフォトエッセイ『邂逅』の表紙は、全身をモノトーンコーデで包んだ和田が佇んでいる。暗がりの部屋に、ポツリと差し込む光。非常にシンプルではあるものの、それがまた存在感を強調させる。

 ページをめくれば、再びモノトーンの彼。『サクセス荘』のゴーちゃんや『おそ松さん』のカラ松など、ファニーな役柄を演じている時とは全く違う印象だ。"俳優だから、見せる顔が違うのは当たり前"ではない。どこか影のありそうな表情を浮かべているが、カメラを見つめる彼の瞳には誠実ささえ感じるものがある。真っすぐで力強い目元は非常に印象深い。

 そんな瞳に気を取られながらページをめくると、今度は100%の笑みを浮かべる和田が登場。子供時代は野球に明け暮れていたとインタビューでも語っているが、それにしても無邪気な笑顔である。うっかり、こちらの顔もほころんでしまうほどだ。グローブを嵌めて振り返る姿は、まさしく"野球少年"そのもの!

 プロボウラーへの道を考えていた時代もあるようで、野球だけでなくボーリングをしているカットも収録。きっと心の底から好きなのだろう、この二つのシーンは素の彼が垣間見える貴重なショットとなっている。

 カメラを向けられてポージング、すました顔もよく似合うが、好きなことに熱中する表情もはつらつとしていて爽やかだ。ずっと見守っていたくなるような、不思議な思いに駆られてしまう。

 大人の持つクールさ、そして少年らしい純粋な甘さ、二つの表情が相まって、気づけば彼の持つワールドに吸い込まれていく。満面の笑みで微笑んでいたかと思えば、ドキッとさせるほどの真剣な眼差し……。その二面性の激しさに、多くの人が心を奪われてしまうはずだ。

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