『ゴールデンカムイ』金塊争奪戦の鍵となるのは白石由竹? 憎めないキャラの魅力に迫る

 『ゴールデンカムイ』241話では(『週刊ヤングジャンプ』2020年25号)緊迫した札幌の状況から一変して、山を練り歩く杉元らの姿が描かれている。久し振りに飛び出すアシリパの山知識。待ってました!という読者も多いのではないだろうか。

 そして金塊争奪戦もいよいよ大詰め。登場人物たちはそれぞれの想いを胸に秘め、口にこそ出さないが、終わりが近づき、複雑な気持ちが交差する。

白石由竹の存在が泥臭さを緩和している?

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 バイオレンスシーンの中にもコミカルなシーンもあることで、物語全体に泥臭さを感じさせないのが本作の素晴らしき点であるが、この争いが始まってからは全てが敵。一時的に手を組んでいたとしても、目的が金塊である以上は信頼し合えることはない。深い絆で結ばれているのは、杉元とアシリパだけと断言してもいいだろう。

 しかし、信頼を置きづらいもののどこか憎めない白石由竹という存在がいる。都合が悪ければ逃亡し、土方と内通していたりと散々な男だが、杉元一派には欠かせないメンバーの一人となった。

 だが戦闘力は皆無で、アシリパの弓をうっかり折ってしまうなど、当初はよく足を引っ張っていた。動物の罠にかかっていたというマヌケさも記憶に新しい。そんな奴を杉元やアシリパが全く信用していなかったのも、無理はないだろう。さらにはアシリパから借りたお金を博打で全て溶かしていたのだから……。

 だがコミュニケーション能力が高く、情報通で憎めない明るさを持つのが白石の魅力。軽率な行動も多いが、決して頭が回らないわけではない。「脱獄王」の異名がつくほどの人間であり、実際に杉元が第七師団に捕らわれた時も、救出策を編み出したのは白石だった。バカと天才は紙一重ということなのかもしれない。

 杉元らと手を組み始めた理由は「第七師団に捕らわれた杉元を救出する代わりに、金塊の分け前を貰うこと」だった。ただのお調子者で基本的に役立たず、そして金塊目当てであることからすぐに戦線離脱することが考えられたが、意外にも逞しく生き延びている。行動を共にするうちに、彼の心境にもどこか変化があったのだろう。杉元と別れたアシリパへ「杉元は生きているのではないか」と励ましたりもした。金塊だけが欲しいのなら、すぐに土方側へ寝返れば良かったはずなのにだ。それをしなかったということは、彼の中で杉元やアシリパに対する「仲間意識」が芽生えている証拠ではないだろうか――?

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