『転スラ』『オーバーロード』『掟上今日子』……人気続くシリーズの共通項は? 文芸書週間ランキング考察

『暴虎の牙』

 巻数の多いシリーズものはなかなか手を出しづらいが、自粛生活を余儀なくされる今は、チャレンジしてみる絶好の機会かもしれない。しかしいきなり10作以上あるものを読み始めるのは躊躇われる、という人には5位の『暴虎の牙』が最適だろう。日本推理作家協会賞を受賞し、役所広司や松坂桃李が出演し話題を呼んだ映画『孤狼の血』からはじまる三部作の完結編。広島に生きる刑事とヤクザの抗争を描いた警察小説だ。『孤狼の血』の舞台は昭和63年だったが、『暴虎の牙』では暴力団対策法が成立した平成16年に時代を移し、広島県警最凶の敵との対決と、男たちの生き様を描き出す。今回紹介した作品はすべて、アニメ化・ドラマ化などメディアミックスをしているので、原作と違いを比べながら世界観にどっぷり浸かってみるのもいいだろう。

『流浪の月』

 なお、4月第一週の文芸書トーハンランキングは、本屋大賞と同日の発表となったため、大賞を受賞した凪良ゆう『流浪の月』はランク外となった(2月のランキングには名を連ねていた)。が、今後、順位をあげてくることは確実なので、こちらも余談として紹介しておく。

■立花もも◎1984年、愛知県生まれ。ライター。ダ・ヴィンチ編集部勤務を経て、フリーランスに。文芸・エンタメを中心に執筆。橘もも名義で小説執筆も行い、現在「リアルサウンドブック」にて『婚活迷子、お助けします。』連載中。

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