奥浩哉×花月仁『GANTZ:E』第1話は衝撃、それとも笑撃かーー『必殺仕事人』の影響を読む

衝撃、それとも笑撃か

 先日開始された、奥浩哉原作・花月仁作画による新連載漫画『GANTZ:E』の第1話の読後感として、上のどちらか適切だろうか。本格時代劇漫画が始まったかと思ったら、最終ページで『GANTZ』シリーズだったと明かされた。時代劇でSF作品である『GANTZ』をやるという大胆な発想に恐れ入る。その衝撃(笑撃)はネットを駆け巡り大きな反響を巻き起こした。(メイン画像:『週刊ヤングジャンプ』公式ページより

 奥浩哉氏の代表作である『GANTZ』シリーズは、ある日突然死んでしまった人物たちが黒い球「ガンツ」に理不尽な司令を与えられ戦わされるSF漫画である。ハードなバイオレンス描写、奇想天外な敵の存在にガンツの特異な言葉遣いとその謎めいた存在が魅力のオリジナリティあふれる作品だ。

 今回の新作が驚かれたのは、言うまでもなく江戸時代を舞台にそっくりそのままあの黒い球が出てきたからだが、もしかしたら原作の奥氏にとっては必然だったのかもしれない。なぜならば、奥氏自身が様々なインタビューで『GANTZ』の発想の原点には時代劇『必殺仕事人』があると語っているからだ。(参照:「すこしふしぎ」なジュブナイルを目指して作品を作っている「GANTZ:O」原作者・奥浩哉さんにインタビュー

 まだ、第1話が公開されたばかりで、この新連載がどのように展開していくのか不明な点は多いが、この1話だけでも『必殺』シリーズからの影響が垣間見られる。

『必殺』のコンセプトをSFにした『GANTZ』

 『GANTZ』や『いぬやしき』などを代表作に持つ奥浩哉氏はSF作品のイメージが強いが、『GANTZ』は『必殺仕事人』をSFでできないだろうかと考えて思いついたものだという。

 『必殺仕事人』をはじめとする『必殺』シリーズは、池波正太郎の『仕掛人・藤枝梅安』『殺しの掟』などを原作する『必殺仕掛人』から始まる時代劇シリーズで、『必殺仕事人』はその中でも特に人気の高い作品である。奉行所やかんざし職人、瓦職人など、昼間は表の仕事をしながら、夜は裏稼業として悪を討ったり、依頼者からの復讐を代行する者たちの物語だ。このシリーズの「夜集まって殺しに行く」というコンセプトが『GANTZ』の発想になっていると奥氏は語っている。

 奥氏は『GANTZ』のアイデアは高校時代から温めていた旨をインタビュー(参照:奥浩哉氏が「漫画を超えた部分にやられた!」と絶賛する内容とは?)で語っているが、奥氏の高校時代にちょうど『必殺』シリーズは人気絶頂期を迎えており、多くの視聴者を惹きつけていた。『GANTZ』本編にもオマージュと思われるような言葉も使われている。本編14巻で主人公の玄野が「昼行灯」とあだ名をつけられるが、これは『必殺仕事人』の主人公、中村主水が昼行灯と言われていることに由来するのではと指摘する者もいる。(『GANTZの世界』、P187、GANTZ研究会著)

 発想の原点に時代劇があったとすれば、『GANTZ』シリーズを時代劇で展開しようという発想は作者にとっては飛躍したものではないかもしれない。奥氏は、この新連載で原点の1つである『必殺』シリーズに本格的に向き合うつもりなのではないだろうか。

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