HYがHYを信じること、26年目の自信の在処 17枚目のフルアルバム『MIND+』をメンバー全員で語り合う

 HYから、17枚目のフルアルバム『MIND+』が届いた。1年8カ月ぶりのアルバムリリースとなる今作は、結成25周年を走り切ったHYの現在地がぎゅっと詰まっている。3カ月連続リリース、映画/ドラマ主題歌、ライブで先立って披露されたいたナンバー、そして初めての挑戦まで――。どこまでもHYらしい、前向きに進むことを許してくれるような作品に仕上がった。26年目に突入したHYは、ここからさらに柔軟に、バンドとしての強さを手に入れて、突き進んでいく。そんな確信をもたらしてくれる話を、今回もたくさん聞かせてくれた。彼らの凄みをあらためて感じてほしい。(編集部)

――今回の『MIND+』は結成から26年目にして17枚目のアルバムということで、計算するとおよそ1年半で1枚を出しているペースになります。そう考えるとコンスタントにリリースされていますよね。

新里英之(Vo/Gt/以下、新里):出せていますね、なんとか。コロナ禍ぐらいから止まってないですね。

――前作の『TIME』以来、1年8カ月ぶりとなるアルバムですけど、『HYのてぃーちなぁx2』(FM沖縄)で、新里さんが「今回のアルバムはじっくりと時間をかけて作った」と話していました。

新里:前作の『TIME』をリリースしてそこからツアーをまわっていくあいだにも、いろんなタイアップ曲のオファーをいただいていました。それを少しずつ作っていきながらゆっくり時間をかけて曲を溜めていったので、時間に余裕があるなかで一曲一曲しっかりと作り上げていけたアルバムになってますね。

――そこは今までとは違った感覚ですか?

新里:去年は結成25周年でたくさんの人に「おめでとう」を言われて、あらためて自分たちの一歩一歩進んできた道を振り返ることができました。10周年の時だったら、まだ通過点みたいなイメージを持っていたんですけど、25年というのはあっという間とは言えないぐらいの思い出がたくさんそこにはあったので。2024年に『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に出たり、25周年記念のベストアルバム『LOVE STORY ~HY BEST~』をリリースしたり、パワフルに活動して、そのパワーをもっと膨らまして26年目は元気いっぱいにファンのみんなに返していきたいという気持ちがあったので、それをアルバム一曲一曲に込めていきました。

名嘉俊(Dr/以下、名嘉):30周年目に向かう最初の1枚目でもありますね。

17thオリジナルアルバム『MIND+』ティザー映像

――収録楽曲のなかでいちばん古いのは「ありのまま」になるわけですよね。2025年のローソン沖縄のCMソングですけど、今回ようやく音源化になります。

名嘉:これどっかでちゃんと入れてあげないとっていうことで、『MIND+』できて。

新里:4つ前ぐらいのアルバム制作ではレコーディング期間を決めて、一気に5曲とかを作っていくスタンスだったんですけど、今は一曲ずつ作っていけているのはすごくいいですね。新鮮な気持ちで取り組むことで、一曲一曲のカラーが出ています。

――新里さんは「17枚目のアルバムでこの『MIND+」』という言葉にたどりついてるHYが素敵」ともおっしゃっていましたね。

新里:26年目でメンバーみんながプラス思考に向かって進んでいる。何かと比べて進んでいくよりも、自分と向き合って、自分を信じて、自分の個性をどんどん出していきたい気持ちになっていっているんです。それは25周年のライブが大きかったと思います。「おめでとう」と言われるなかで、確かなものを歩んできたものがあり、それが僕たちの自信に繋がった。その自信は自分の個性を出していきたいということで、それぞれが変わったナチュラルなメンバーの色が出ていると思います。

――アルバムを聴かせていただきましたが、いろんなHYのサウンドと心に響くメッセージ、そして挑戦が詰め込まれたアルバムだなと感じました。

新里:今までのHYではなく、チャレンジしたいという思いの曲があるんですけど、出来上がりとしてはHYらしいと言われるのも嬉しいです。たとえば、「白球を繋げ」はいろんなアイデアを参考に作っていった曲で、甲子園を何度も観て、選手もメインですけど、アルプススタンドからの目線も入れた、大きな視野で曲を書いていきましたね。

HY「白球を繋げ」(第97回センバツMBS公式テーマソング) Music Video

――甲子園で流れていたっていうのは、新里さんにとっては感慨深いですか?

新里:嬉しいですし、もっともっとこの曲を広めていって、いつかは沖縄の高校野球で使ってほしいなという夢はあります。アルプススタンドに行って、自分たちで生演奏で応援したいですね。

名嘉:去年のツアーで演奏しているんですけど、甲子園のシーズンに映える、パワーを持った曲だなと思います。

新里英之

――「Swing Swing Heart」や「チャチャチャチャンプルー」は、すでにライブでも披露されていますよね。ファンのみなさんの盛り上がりはいかがですか?

新里:「Swing Swing Heart」はみんなで一緒に踊れる簡単な振り付けを意識したりしています。ドラマ『50分間の恋人』(朝日放送テレビ/テレビ朝日系)の挿入歌として、「自然と入ってくるような雰囲気のリズムで曲を作ってほしい」というオファーがあったんです。僕はキャッチーなサビになるように心がけて作っていくタイプなんですけど、そこはまず心を落ち着かせて、あえて気合いを入れずに作ったことでここにたどり着いたので、逆に良かったですね。

――新里さんと仲宗根さんのデュエットがスッと入ってくる感じがあります。

新里:イズの声も優しくて、裏声を使いながら歌っていくのも新鮮だし、そこにオクターブ下で自分が地声で重ねていくのも歌ってて気持ちいいです。

仲宗根泉(Key/Vo/以下、仲宗根):普段は地声でパワフルに出す歌い方をすることが多いので、こういう歌い方は求められてないだろうなと思っていました。デモを聴いた時に私のなかでは、地声の感じではなく、裏声でCharaさんみたいに歌いたいというのがあって。ヒデも「いつもの地の感じで歌わなくていいよ」と言ってくれたので、そこから一気に曲の感じが見えてきました。地で歌うところもちょっとだけありますけど、この26年間の歌い方としてはいちばん私っぽくない歌い方で、すごくリラックスして歌うことができました。本当はもっとCharaさんっぽかったんですけど、レコーディングで寄せすぎって言われて。(Charaの歌い方で)Swing Swing〜♪。

――そのまんまじゃないですか(笑)!

仲宗根:歌ってても新鮮な気持ちです(笑)。HYにとって、ありそうでなかった感じ。

――新境地とも言えるんですかね。

新里:そうですね。こういう感じのジャンルの曲も、どんどん作っていきたいなと思います。ライブでもみんなが踊ってくれたりして、だんだん浸透していっている感じですね。

HY - 「Swing Swing Heart」(日10ドラマ「50分間の恋人」挿入歌) Music Video
HY「チャチャチャチャンプルー」from HY SKY Fes 2026&Special Night

――「カケル」と「GO GO BUS」はバンドサウンドが全面に出た疾走感のある楽曲になっています。個人的に「GO GO BUS」は今回のアルバムでいちばん好きでした。

名嘉:本当ですか! どこか懐かしさとトルクの効いたバスのイントロだったりとかがあったりして。自分は乗り物が大好きで、前作では「車に乗って」を書いたんですけど、今回はバスで、次は自転車とかいろいろ乗って行こうと思います。

――乗り物シリーズですね(笑)。バスはその土地の生活が見えますよね。

名嘉:そうですね。バスの特異な空間というか、懐かしさもありながら、みんなのこれから向かう先にバスが運んでいく、いろんな人の人生を乗せてみんながちゃんと成功してほしいという思いを込めて書いています。一人ひとりの人生はすべて違うと思うんですけど、みんなが向かう先は誰かの待っている場所という、ポジティブな楽曲です。

――2番からは名嘉さんがボーカルとして参加しています。

名嘉:そういったところも含めて、今回のアルバムは30周年目に向け、さらにHYがバンドのなかでどんなことができるのかをすごく模索しています。ヒデはベースもドラムもできるので、ツアーのなかでこのアルバムは「HYがめっちゃ動くよね」と感じてほしいと思っていて、今回からそれを形にしていこうかなと思ったので、楽しいですね。

仲宗根泉

関連記事