高校軽音部での結成から名門レーベルへ OwLが語るメロディックパンクの魅力、最新EPで証明するバンドの地力
F.ANDREWと真っ向から向き合った『Pellet』
――今回に限らず、OwLの曲は丁寧な作りですよね。勢い一辺倒ではなく、細かいところまでしっかり工夫されている印象を受けました。何か思い当たるところはありますか。
KABUTO:自分が作る曲とリコちゃんが作る曲があって、お互い相談できるのが大きいと思います。ひとりで抱え込む必要がないし、自分では思いつかなかったようなアイデアをもらえたりするから、より楽曲を詰められるっていうのはあると思います。
リコ:ほかのバンドがどのぐらいのペースで曲を作るのかわかんないけど。今回は結構時間かけたもんね。何回組み立て直したかわかんないくらい、何回も変えて聴いて、変えて聴いて……。で、最終的に元に戻った曲もあるし。
――やっぱり、最初からパンクにハマってたわけじゃないところが曲の幅広さにつながってるんですかね。そもそもの曲の雰囲気が従来のメロディックパンクとは少し違う。
KABUTO:それ、めっちゃあると思いますね。
リコ:たしかに特殊な感じはするよね。ルーツがバラバラだから、一曲一曲がかなり違う。
KABUTO:リコちゃんが作った曲は割と聴きやすいね。日本っぽいメロディ。
リコ:そうね、J-POP風なメロディ。
KABUTO:俺は結構バラバラ。今回のEPは5曲で、3曲は自分がメインで作って、2曲はリコちゃんが作ってるから、その違いも楽しんでほしいですね。
――あと、KABUTOさんが手掛ける歌詞は独特ですよね。
KABUTO:そうらしいですね。あんまり自覚はないんですけど。
リコ:意味よりも響きを意識して書いてるんだっけ?
KABUTO:あとは、語呂とかね。リコちゃんには申し訳ないけど、普通はボーカルに合わせて歌詞を書いたほうがいいんだろうけど、ここはこういう言い回しにしたいとか、こういう表現をしたいっていう気持ちが強いんで、リコちゃんにもそれをちゃんと共有して歌ってもらってます。
――歌詞に対するこだわりも強いですか?
KABUTO:割とありますね。今回のアルバムは特にこだわりました。
――日本語訳からも気合いを感じます。
KABUTO:そうですね。俺、あんまり歌詞を聴いてこなかったんですけどね。
――洋楽をよく聴いてる人はそうなりがちですよね。
KABUTO:そう、何言ってるかわかんないから、そんなに歌詞に意味を込めたい派ではないんですけど、今回はいろんな思いが募りましたね。
リコ:CAFFEINE BOMBに入ったことだし。
――「Hallo」の冒頭に出てくる歌詞の対訳〈晦冥〉(かいめい)って読めなかったですもん。
KABUTO:あはは! 最初は英語でいくか日本語でいくか悩んでて、でも今のリコちゃんには英語で歌ってほしいと思ったから英語にしました。でも、最初は日本語でも歌える言葉を選んでたんですよ。
――対訳を読むと、ちょっと冒険漫画的な雰囲気を感じます。
リコ:わかります。しかも歌詞によって全然タイプが違う。私じゃ絶対書けないことを書いてる。「Voyage」とか特に。
――言葉選びが美しい。パンクの歌詞でこの世界観はなかなかないですよ。
リコ:うん、見たことない。
KABUTO:ロマンチストなんでしょうね。
――HAWAIIAN6に通ずるような。
リコ:たしかにそっち寄りだね。物語がある感じがする。
KABUTO:BUMP OF CHICKENがめっちゃ好きだったんで、あんな歌詞は書けないけど、ああいうふうにしたいっていう気持ちはありますね。
――KABUTOさんとは反対に、リコさんの歌詞はより身近で等身大です。
リコ:私は難しいことは何にも考えられないんで、自分が経験したこととか、思ってることオンリー。今回だと「FxLxG」はちょっと違って、この曲は自分じゃないものになりきって書いてみました。「Memorycall」とかこれまで書いてきた曲は基本、そのとき自分が思ってることが多いですね。じゃないと書けなくて。
KABUTO:リコちゃんはね、その日を生きてるから。
リコ:今を生きる(笑)。そういう人間なので、歌詞もそれでいってます。
――前作に引き続き、今作のレコーディングエンジニアはF.ANDREW(以下、アンドリュー)ですね。やっぱり、2枚目ともなるとやりやすさは変わってきますか? お互いの呼吸もわかってくるでしょうし。
リコ:やっぱり、パンクの大先輩だからわかってくれる部分は多いですね。
――彼のアイデアが入っていたりもするんでしょうか。
KABUTO:前回のアルバムのときは結構出してくれました。でも、自分的にそれがちょっと悔しくて。今回はかなり作り込んでいったので、前回が7割自分たちで、3割アンドリューさんだとしたら、今回はアンドリューさん1割くらいでしたね。
――現場で詰めるというよりも、事前に詰め切ったものを持っていったと。それが功を奏してるところもある?
KABUTO:うん、そうですね。自分らの中で正解がはっきりしてたからこそ、アンドリューさんの提案も冷静に受け止められたと思います。前回は自分たちでも正解がわからない状態だったんですけど、今回は、ちょっと上からな言い方ですけど……アンドリューさんのアイデアがよかったら採用させてもらう、みたいな。そういう意味で今回は対等に向き合えました。前回はちょっとビビりすぎてましたね。
――彼には、生半可な気持ちでは向き合えない迫力がありますよね。
KABUTO:だからこそ、本気でいったら本気で返してくれるし、何も考えてなかったらバレるし、ちゃんと考えてたらちゃんと理解してくれる。
リコ:めっちゃ真剣に向き合ってくれるから、毎回完全に「最高!」って思えるものが作れるんだと思います。
――今回、満足度は違いますか?
KABUTO:違いますね。だって、あのアンドリューさんにミックスの要望をすっごい出したんですよ? 何分何秒はこういうリバーブかけてください、とか。で、アンドリューさんが選んだリバーブと俺らの要望がマッチしたり、そのおかげですごくいい音源になったと思います。
――なぜ今回、そこまでこだわり抜いたんでしょうか。
KABUTO:さっきも言ったように、前回はそれまでにあった曲を録った作品だったけど、今回は全部デモから持っていった曲だったし、このEPが実質CAFFEINE BOMBから出す1枚目、みたいな感覚があったんですよ。だから、ちょっとカマそう、みたいな。
――看板を背負ったという自覚があったと。アルバムタイトルはなぜ『Pellet』なんですか?
KABUTO:フクロウってネズミとかを丸飲みにするんですけど、丸飲みにした中からいらないものを吐き出す行為を“ペレット”っていうんですよ。で、今回アルバム名をどうしようかってなったときに、OwLだしフクロウ関係がいいなっていう案が出て。じゃあ、日常的に溜まってるストレスとか嫌なこととかを、しっかり曲として吐き出そうっていう意味でこのタイトルにしました。