高校軽音部での結成から名門レーベルへ OwLが語るメロディックパンクの魅力、最新EPで証明するバンドの地力
東京発のメロディックパンクバンド・OwLが、新作EP『Pellet』をリリースした。高校時代に結成して以来、コンテストやロックフェスへの出演、そしてパンクシーンの精神性に惹かれて深まった絆が、彼らのタフな活動を支えている。
今回リアルサウンドでは、『Pellet』に込めたこだわりやF.ANDREWとの真っ向勝負、メンバー脱退を経て2人体制という新たな一歩を踏み出した心境まで、リコ(Vo/Ba)とKABUTO(Dr/Cho)にたっぷりと話を聞いた。(編集部)
高校軽音部から『ロッキン』へ、メロディックパンクとの出会い
――お二人は高校から一緒なんですよね。最近、高校生のときに組んだバンドがそのままプロになっているパターンをよく見るんですけど、どうしてなんでしょうか。
KABUTO:軽音部からそのままきてるんじゃないですかね。
――なるほど、今は高校の軽音部が活発なのか。
KABUTO:すごく盛んだと思います。優勝したら『ロッキン』(『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』)とか『サマソニ』(『SUMMER SONIC』)に出られる大会とか、そういうのが多いから、高校からがっちりバンドを組んでやるヤツらは増えたと感じますね。
――実際、OwLもコンテストを勝ち抜いて『ロッキン』に出演していますよね。高3で巨大なロックフェス出演を経験するってどういう感覚なんでしょうか。
リコ:緊張したけど、シンプルに楽しかったですね。
KABUTO:出演したのはWING TENTだったし、コンテストの決勝よりはお客さんは入ってたけど、ステージ自体はそこまで大きくなくて。『ロッキン』っていう感覚はあんまりなかったですね。なんなら、リコちゃんは『ロッキン』に2、3回出てますから。
リコ:そうなんです。高校生の頃にOwLをやりながら別バンドでもサポートでベースをやってて。そのバンドは『RO JACK』で優勝して『ロッキン』に出たんですよ。
KABUTO:OwLのほうが先に組んでたのに、『ロッキン』に初めて出たのはそっちのバンドっていう。
――エリートじゃないですか。
リコ:やめてください(笑)! ただのサポートだし、自分の力じゃないんで。バンドに誘われて入って、数カ月後に出て、っていう。そのときに「OwLをもっと頑張ろう」って気持ちになったので1年半くらいで辞めたんですけど。
KABUTO:当時の元ギターが、リコちゃんにすっごい嫉妬して。うちの軽音部って、テストの点数が悪かったり出席日数が足りないとライブができなくなるんですよ。で、こいつは別のバンドで『ロッキン』に出てて、OwLもやってて、そのせいで出席日数が足りなくなって。
リコ:保健体育の出席日数ね(笑)。
KABUTO:そのせいで校内ライブに出れんくなって、ギターがぶちギレたんです。OwLに絞ろうと思ったのはそれもきっかけだったと思います。
リコ:高3のときだったね。でも、そもそもOwLのほうがやりたいと思ってたから。
――それにしても、なぜOwLはメロディックパンクというジャンルを選んだんですか?
KABUTO:高1で組んだときは4人だったんですよ。そのときから俺ら2人と、あとはギターとボーカルがいて、椎名林檎とか東京事変のコピーをしてたんですけど、ボーカルの子が抜けて3人になったときに、「歌うならお前やろ」みたいな話になって。でも、日本語の歌詞を歌うのが恥ずかしかったから、「英語の曲やりたいよね」っていうことで、Dizzy Sunfistの曲をリコちゃんが持ってきたんです。
リコ:Dizzyはもともと私が好きで、「これとかどう?」って2人に投げたら、「カッコいい!」って言ってくれて。
KABUTO:自分はそれまでメロディックパンクを聴いたことがなかったんで、「このビート叩いたらモテるんちゃうん?」ぐらいの気持ちでした。
――でも、当時メロディックパンクをやってる人たちなんて周りにいなかったんじゃないですか?
KABUTO:マジでいなかった。
リコ:ゼロだったんじゃない? 先輩にもいなかったし。でも、周りと違うことをしたくて、10代特有の感覚ですけど。当時はマイヘア(My Hair is Bad)とかクリープハイプとかがめっちゃ流行った時期だったんで。
――みんなと同じことやってどうすんだ、みたいな。でも、いろんなコンテストに出ても、歌詞が英語だったせいで落とされたりしてたそうですね。
リコ:はい、学校主催のコンテストは特に。
KABUTO:軽音楽連盟っていう団体があるんですけど、そこ主催の大会だと予選で全然落ちてましたね。しっかり勝ったのは『ロッキン』ぐらいかな。
――そこで、自分たちがやってる音楽が主流ではないと知るわけですね。
リコ:そうですね。パンクを聴いてる友達もほぼいませんでした。
――最初にお二人がパンクに惹かれたのは音楽的な部分だったと思うんですけど、このジャンルについて詳しく知っていくにつれて、より深くその魅力に気づいていったんじゃないでしょうか。
リコ:パンクは一番人間味が強い音楽な気がしていて。売れる売れないとかじゃなくて、パンクバンドの精神がめっちゃカッコいいなって私は思うんですよね。
KABUTO:あと、運動部の先輩後輩みたいな雰囲気があるから、間違ったことをやったらしっかり先輩のバンドから怒ってもらえる。逆に、自分たちのやってることがよかったら「いいやん」ってちゃんと言ってくれる。他の界隈の話を聞いてると、事務所の人とバンドだけの関係性で完結してるけど、このシーンは全員仲間、みたいな。そこが素敵だと思います。
――パンクシーンの精神性に惹かれていったんですね。でも、メロディックパンクのピークはゼロ年代で、そこからは下り坂だと思うんですよ。
KABUTO:自分らでライブをやってる最中は、そのことにあんま気づかなくて。ただ、フェスに出てるバンドを見たり、TikTokのダンス動画でよく使われてる音楽が評価されてるのを見ると、やっぱり下火なジャンルなんやなとは思いますね。
リコ:友達に、うちらからしたらこのジャンルのトップのバンドについて話しても、「誰?」ってなったりするし、難しいよね。英詞がダメなのかな。
――かつては、メロコアは英詞でしょ、みたいな風潮がありましたけど。
KABUTO:でも、韓国のアイドルとかは英語で歌ってるわけじゃないですか。だから多分歌詞よりもBPMだと思うんです。曲が速すぎる。BPM140~180が多い中で220ってもう、普通の人は聴けないと思う。
リコ:確かに、2ビートって最初ノリ方わかんないよね。
――そんな中でどんな工夫をしていますか?
リコ:それこそ今回の曲じゃない?
KABUTO:そうですね。前回のアルバムはそれまでに作ってきた曲と新曲2、3曲だったんですけど、今回は全部この1年で作った曲だから、いろいろ考えて進めました。シーンが下火というのもめちゃくちゃ感じてるから、新しいメロディックパンクを作りたいって思ってるんですよ。でも、大衆にも聴いてほしいけど、自分らがカッコいいと思うものをやりたいと思って、今回はBPMは王道の180にしたり、パワーコードだけを使うんじゃなくて、ちょっと複雑なコード進行にしてみたり、新しい挑戦はたくさんしましたね。
――楽曲の方向性がすべて異なるのは意識したところですか?
KABUTO:ライブを年間80~90本やってる中でいろんな人のライブを観てると、ずっと速い曲をやられると俺は疲れちゃうんですよね。だから、曲ごとに緩急をつけたり雰囲気を変えるのは大事かなと。
リコ:ライブは想定するよね。同じような曲が続くよりも、踊れる曲だったり、聴かせる曲だったりいろいろあったほうがいいから。