山口一郎が確立した新たな“ポップスター像” 46歳の誕生日に考える、独自路線をいくブランディング術

 サカナクションの山口一郎が9月8日に46回目の誕生日を迎えた。振り返ればこの1年、山口はミュージシャンとしてはもちろん、さらなる才能も大いに開花させたように感じられた。

世間の期待に応え、新たなリスナーを引き付ける山口一郎の発信力

 “45歳の山口一郎”のトピックスとして欠かせないのが、2012年発表曲「夜の踊り子」のバイラルヒットだろう。インドネシアの伝統的なボートレース「パチュ・ジャルール」で船首に立って踊る少年の動きに、「夜の踊り子」を重ねた動画がアジアを中心に拡散。“夜の踊り子ミーム”の影響で、同曲が音楽チャート上位へ躍り出るなど、脚光を浴びた。

サカナクション / 夜の踊り子 -Music Video-

 もちろん同曲の大ヒットは、山口個人ではなくサカナクションとしての到達点である。ただ、山口が今年4月のYouTube配信で“ボート少年”の振り付けを再現し、5月のサカナクション19周年を記念した配信でもサングラスとサウナハットを着用して再び“ボート少年”になりきったことが、ネットミームの熱を加速させたと言える。世間が期待することに応え、キャッチーにそれを表現する姿は、“ポップスター”と言えるのではないだろうか。

サカナクション山口一郎の深夜も雑談中。2026.4.25

 何より印象的だったのが、山口自身が“夜の踊り子ミーム”に堂々と乗っかったところだ。たとえば同じレコード会社に所属するM!LKに、“夜の踊り子ミーム”の踊りをグループに投稿することをリクエスト。それと引き換えに、自身が出演する『サカナクション山口一郎のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)の放送中、M!LKの人気曲「好きすぎて滅!」に出てくるワード〈滅〉を10回言うという公約を宣言、実行した。しかも後日、M!LKによる“夜の踊り子ミーム”は、山口のリクエストの有無にかかわらず自発的に発表されたものだと分かり、山口が「滅の言い損」とコメントしたことで奇跡的なオチまでついた。こうした山口の茶目っ気も彼自身やサカナクションに波及し、新たなリスナーを引き付ける要因になったと推測する。

@milk_official 塩﨑隊長独走でスー!🚣‍♀️ #MILK ♬ 夜の踊り子 - サカナクション


 このように、山口の発信力を高めるコンテンツが増加/定着したことも大きい。チャンネル登録者数76万人(9月7日時点)を誇るYouTubeチャンネル「山口一郎」では、サカナクションの楽曲の生歌唱などの演奏面だけではなく、「ミュージシャンのお金事情」シリーズなど業界の裏側に迫る企画も行うなどし、ビジネス的な観点でも注目されている。また前述したように、今年4月より『サカナクション山口一郎のオールナイトニッポン』もスタート。ラジオという世界のリスナーに自分の言葉や人間性を届けられる貴重な機会を獲得したことに加え、タレント性も求められる『オールナイトニッポン』に抜擢された事実も、山口の活動フィールドを広げる後押しになっているのだと思う。

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