JUNKY58%が目指す“自分たちだけのパンクロック” HEY-SMITH 猪狩秀平との制作、米ツアーで得た自信を語る

型破りなパンクマインド、米国ツアーでの成長と手応え
――女性のパンクバンドって、表現が自由な気がするんですよね。型にはまってないというか、そもそも型なんてないというか。これまでの歴史を振り返ってみても、女性のパンクバンドはいないわけではないけど、数はとても少ない。だからこそ、何をやっても正解になると僕は思っていて。そういう自覚ってあったりしますか?
もえ:それはあるんですけど、逆に困るときは困ります。参考にできる人たちがいないんで。
――立ち返るべき基本形がないという。それはたしかに大変でしょうけど、逆にクリエイティブが花開くいい機会にもなるんじゃないですか?
もえ:たしかに。でも、何をやってもいいと思いすぎてるからこそ、猪狩さんにその都度「違う」って言われてる気はします。それでも、猪狩さんは音楽的に間違えているところだけ直して、うちらの個性として残したほうがいいところはそのままにしてくださるし、めっちゃいい感じにミックスしてくれてはると思います。
――皆さんには「売れたい」、「音楽で食っていきたい」っていう気持ちが根底にしっかりあるそうですけど、自分たちのやりたい音楽は“ピュアにパンク”っていうバランスが面白いですよね。
ちい:もっとキャッチーになればいいとは思うんですけど、売れるために曲調を変えるってなったらメンタル死んじゃうんで。たぶん、できないです。
――そういうメンタリティは3人の中でどうやって構築されていったんですか? 最初にGreen Dayを教えてくれた先輩がいたからといって、そんな簡単にパンクマインドって形成されないと思うんですよ。
ちい:中退が……(笑)。
まお:すべてはそこから始まってたかもしれないですね(笑)。
――中退の反骨心。やっぱり、何クソ精神はありますか?
もえ:めっちゃあります。でも、私の場合は生まれつきやと思います。
まお:うーん、不思議ですね。なんかもう、バンド結成してからいろいろと揉まれすぎて、そういう中で自然とメンタルが鍛えられていったんちゃうかなって。

――「これをやりたい」で始まったわけではなく、手探りで曲を作ってライブをやるということを重ねていくうちに、気づいたらパンク的なものにたどり着いていた、みたいな感じ?
ちい:そう考えると、最初からパンクしか聴いてなかったかもしれないです。他のものもかじってみたけど、「いや、これは違う」みたいな。
――自分たちがいいと思ったものがすべてパンクだったと。そこがJUNKY58%の自由度の高さにつながってるのかもしれないですね。「パンクがやりたい」だったら、もっと型にはまってたかもしれない。
もえ:確かに。
――ジャンル的な話ではなく、自分らの中で尖っていると感じられればそれでいい、みたいな。だから、人から「全然パンクじゃないじゃん」と言われても、自分たちの中で正解であればそれでOKってことですよね。
ちい:それですね。まさにそれです。
まお:そういう私たちの考え方が変わることは、多分ないと思います。
――JUNKY58%は去年、国内ツアーを回る前にアメリカツアーを行っていて、それ自体興味深いことなんですけど、元々パンクに興味がなかったことを考えるとさらに……。
まお:意味わかんないですよね(笑)。でも、アメリカツアーは少年ナイフの活動とかを知っていく中でうちらの一番の目標になっていたので、それを去年叶えられたことはすごく嬉しかったです。日本じゃ見られない景色をたくさん見させていただいたし……たとえば、リハがなくてライブのスタートが夜8時、みたいな(笑)。そういう経験が、そのあとにやった日本のツアーにもつながったのかなと。そういう意味でも行ってよかったと思いますね。
――Green Dayから影響を受けているみなさんとしては、彼らの原点であるアメリカの924 Gilman Street(以下、ギルマン)でライブをしたことはかなりヤバかったんじゃないですか?
ちい:ヤバかったです! フロアに入った瞬間に写真撮るのが止まらなくて。なんか、「これがライブハウスなんやな」と思いました。最近、日本だとキレイなライブハウスが増えてるけど、本場アメリカのライブハウスは汚くて、「これが好き!」みたいな感覚になりました。
――でも、きっと辛いこともありましたよね?
まお:ツアー2週間で結構痩せましたね。コンビニで売ってるものがどこも一緒じゃないですか。だから、セブンの安いマフィンしか食べてなくて。
ちい:あと、1日目に大泣きして。ライブのとき、機材を全部自分たちでステージまで持っていかないといけなくて転換にめっちゃ時間かかったし、本番の時間も勘違いして持ち時間オーバーしたんですよ。で、すっごいでかいセキュリティに「NO!」みたいに言われて……。でっかい会場でお客さんの反応もよかったのに、悔しかったですね。もっとスムーズに進めたかった。
まお:初日でもあったし、トラブル起こりまくりでてんやわんやしちゃって。でも、次の日以降はテキパキできるようになりました。
ちい:メンタル強くなりました。
――見事に海外ツアーの洗礼を受けたんですね。
もえ:初日のトラブルがなかったら私たちのメンタルは変わってなかったと思うので、むしろよかったのかなって。ほかは全部上手いこといったし。
――JUNKY58%の音は海外でウケそうだなと思いました。
ちい:うん、ウケます。
まお:YouTubeのコメントはほぼ外国の方ですね。日本はほんの数人くらい。
――めちゃめちゃカッコいいサウンドだけど、国内だと若者よりもおじさんウケする傾向はあるかもしれないですね。
ちい:そうですね。世代的にちょうどいいのかもしれない。
――実際、おじさんの僕も「今の時代に若手のバンドがこの音をやるか」って興奮したし。
ちい:好きになってくれる人はめっちゃ貴重やし、センスいいなと思います。
もえ:でも、世代関係なく、バンドマンにはめっちゃウケるんですよね。そうじゃない人には理解し難いんでしょうけど。
まお:同じようなジャンルのバンドがほかにいないっていうのもあるかも。
もえ:どこ行ってもアウェイというか、ガチッとハマる対バン相手があんまりいない。
――パンクイベントだと浮くけど、関西の面白いバンドが集まるようなイベントだと爆発する。
もえ:フロアの反応を見てるとその傾向はありますね。アンダーグラウンドな日だとこっちも上がるし、フロアも盛り上がってくれる。でも、そういう日って大体年上のバンドと一緒のことが多いんですよね。同世代の人たちと一緒にやると、まったくウケないことはないんですけど、刺さる人が少ないかな、みたいな。
“逆輸入”を見据えて進む、唯一無二の道
――このインタビューが公開される頃には、レコ発ツアーが始まっています。今回はどう臨みますか?
まお:前回のツアーはライブハウスの方たちにもご協力いただいて、地元のバンドの方にたくさん出ていただいたんですけど、今回は自分たちが「この人たち、呼びたい!」って思った人たちをお呼びさせていただいてる場所が多いです。なので、前回はいろんな土地を回る初めてのツアーだったんですけど、今回はまた気合が違うというか。
――前回からもう一歩先へ進んだツアーになるわけですね。
ちい:今回はもっとお客さんが増えてほしい! もっといろんな人にハマってほしいし、県外のライブにも行きたいと思ってくれる人が増えてくれたらいいですね。
――今後の目標はありますか?
もえ:海外でもっとライブしたいですね。やっぱり、そこから得られるものが大きすぎるというか、日本じゃ経験できないようなことをたくさん経験できるんで、もっと行きたいです。バンドが好きになってから、自分が好きになるのが全部向こうのカルチャーのものなんですよね。音楽もそうやけど、映画も洋画が好きやし。だから、向こうにいたときは、見えてる景色とか全部、これまで自分が好きで見てきたものやったんですよね。だから、向こうのほうがシンプルにワクワクするし、好きなものが詰まってる。
ちい:向こうで生活してても全然息苦しくなくて。ずっと解放感があったし、何をしてても変な人にはならないんで。こっちだとちょっと変なことしたらすぐに変な目で見られたりするじゃないですか。ライブの反応を見てても、「これでいいやん!」みたいな。
まお:みんなそれぞれ個人で楽しんでる感じなんですよね。周りの目を変に気にせず、自分が楽しかったら楽しいっていうスタンスなんで、それが自分たちのライブの雰囲気にも合ってて、ステージから見ててもテンション上がるんですよね。そういう感覚を肌で感じられたことはすごく大きかったと思います。
――そうやって国内以上に大変な環境に積極的に身を置いて、ゼロから自分たちで道を作っていこうとする姿勢はカッコいいですよ。それが成功しようがしまいが、挑戦したというだけでも尊敬できるというか。海外で立ちたいステージはありますか?
もえ:ギルマンでしたね(笑)。
――あー、もう叶っちゃったんだ(笑)。じゃあ、これからはゴールのその先の話になってきますね。
まお:今度はフェスにも出てみたいですね。
――全然違和感ないですね。
もえ:うちらの理想的な売れ方は“逆輸入”なんですよ。だから、そのためにはフェスとか大勢の人が見てくれはる機会が必要やと思うんで、そういう意味では大きいフェスに出ることが次の目標になりますかね。
――おとぼけビ~バ~みたいな?
もえ:はい、その通りです!
ちい:めっちゃ憧れます!

――では、どういうバンドでありたいですか?
ちい:やっぱり、どのバンドとも似たくないというか、ずっと唯一無二でいたいし、一生個性出しまくりたいです。「このバンドに似てるね」とか言われるのは好きじゃない。
――曲作りの最中に、「それ、ほかで聴いたことあるから面白くない」みたいな話になったりします?
もえ:正直、どんな曲を作っても「この曲、聴いたことあるかも」って思ってしまうんですよ。でもそれは、自分たちの好きなバンドからの影響があるからそうなって当たり前やし、言い出したらキリがないと思ってて。それでも、3人で歌うと意外と「あ、ジャンキーや!」ってなるんですよね。
――猪狩さんのYouTubeチャンネルに出演したときに、「ラクしたい」と言ってましたけど、あれはジョークですよね?
ちい:いや(笑)。
まお:8割くらいは本気で思っています(笑)。
――そうなんですね(笑)。
もえ:今となっては、努力しないとあかん部分もあるなとようやく気づき始めてはいますが、努力せんでいい部分はなるべくせんといきたいって今でも思ってます(笑)。
――でも、アメリカツアーを行って世界の広さを知ったことで、もっとやらなきゃいけないことがあると嫌でも気づかされるわけで。
ちい:マジでそれです。
――でも、人からああしろこうしろ言われるのが嫌なだけで、自分たちでケツを叩くことはできるんですかね。
まお:まさにそのタイプですね。
もえ:自ら進んでやる努力は、努力というよりも“自分たちのやりたいこと”っていうイメージのほうが強いです。こうするためにはこれやったらいいのかなって思えるようなことは全然苦じゃないんですよ。
■リリース情報
1st EP『HEARTBREAKER』

各種配信サービスはこちら:https://orcd.co/heartbreaker_ep
1.HEARTBREAKER
2.SUMMER GIRL
3.HEY!ジョニー!
4.HAPPY LUCKY
5.PUNK ROCK GIRL!!!
■ライブ情報
『HEARTBREAKER RELEASE TOUR』
8/5(水)SOCORE FACTORY【RELEASE PARTY】
9/26(土)八戸 FOR ME
9/28(月)仙台 enn3rd
9/29(火)千葉 LOOK
9/30(水)横浜 F.A.D
10/15(木)金沢 vanvanV4
10/16(金)岐阜 柳ヶ瀬ants
10/19(月)神戸 太陽と虎
11/5(木)周南 rise
11/6(金)福岡 Queblick
11/7(土)松山 Double-u Studio
11/9(月)岡山 CRAZY MAMA 2nd Room
【FINAL SERIES】
11/20(金)大阪 新神楽
11/27(金)名古屋 HUCK FINN
12/5(土)新宿ACB
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