Rain Tree、試練と不安を乗り越えて“全員”で掴んだ夢 Zepp DiverCity(TOKYO)公演で見せた本領発揮の瞬間
「正直、Rain Treeってここまで順風満帆だったとは言えないと思うんです。デビューもなかなかできなかったし、16人全員で歌うことも叶っていない。でも、2500人動員を達成しないと全員で歌えないという試練は、むしろチャンスだなと前向きにとらえていて。自分たちのためにもファンの皆さんのためにも、この目標をみんなで達成して、その全員曲をZepp DiverCity(TOKYO)で歌うことが今のいちばんの目標です」(※1)
これは今年6月、筆者がRain Treeのメンバーにインタビューした際にキャプテンの新野楓果が口にした言葉だ。Rain Treeは7月4日にダイバーシティ東京プラザ フェスティバル広場で開催のフリーイベント『Rain Tree初夏のフリーライブ〜君の居場所はここにある〜』第2部にて、観客動員2500人を達成させることで8月12日にリリースされる5thデジタルシングル『好きなんて嘘に決まってる』に初の16人全員歌唱楽曲が収録されることがアナウンスされていた。結果はご存知のとおり、2628人という目標を上回る動員を記録している(※2)。
その勢いに乗って7月29日にZepp DiverCity(TOKYO)で行われた単独公演『Rain Tree Concert 2026 〜Summer party for you〜』は、昼夜の2公演とも完売を記録。次々とチャンスをモノにしてきたRain Treeがいよいよ本領発揮し始めた、その第一歩となる同公演の第2部を、筆者は会場で観覧した。
グループとしても大きな目標のひとつとして掲げてきたZepp DiverCity公演。第1部での熱気をそのままに、第2部は鈴野みおの「みんな、声出していけますか? 笑顔いっぱいの、最高に楽しいパーティを一緒に過ごしましょう!」を合図に、ライブタイトルのモチーフにもなっている「Wonder party for you」から勢いよくスタートした。2段構えのステージに2列となって並ぶメンバー16人は、青と白をベースにした新制服姿で笑顔を振りまきながら歌い踊る。この華やかな幕開けに続いて、早くも8月12日リリースの5thデジタルシングル収録曲が連発される。
まずは、橋本真希が初センターを務める「かわいさ陰謀論-Othello-」では、彼女のほか片瀬真花、加藤柊、佐藤莉華、仲俣美希、そして新野という6人編成で、曲中の「hey」の掛け声とともに観客との一体感を作り上げていく。哀愁味漂う歌謡ロック調のアレンジも、切なげな歌声を放つ彼女たちと相性抜群ではないだろうか。続いて、センターの鈴野や綾瀬ことり、佐藤、橋本、水野乃愛の5人で歌唱する「ぴたっ」は前曲から一転、かわいらしい曲調で会場を優しく包み込む。リズミカルなフレーズに乗せて披露される息の合ったダンスも、見応えのひとつと言える。
ステージ上に5thデジタルシングル カップリングメンバー9名が登場すると、キス顔のお手本を見せる寸劇チックなやり取りから「キス♡リハ中」へと突入。ここではセンターの永瀬真梨を中心に、市原紬希や片瀬、加藤、仲俣、新野、葉山莉瑚、百瀬紗菜、吉川海未が曲直前の微笑ましい空気そのままに、キュートな世界を展開していく。さらに、5thデジタルシングル表題曲「好きなんて嘘に決まってる」では、ドレッシーな新衣装を身に包んだセンター 綾瀬や朝宮日向、遠藤莉乃、佐藤、鈴野、橋本、水野が穏やかさと爽やかさをあわせ持つ楽曲を柔らかかつ伸びやかなダンスで見事に表現してみせた。ここまで披露された新曲4曲はどれもタイプこそ異なるものの、昨今のアイドルシーンを賑わせている原色感の強い派手さとは一線を画する、パステルカラーチックな柔らかさが軸になっていることに気づかされる。観る側の感情が一気に昂ったり爆発したりという動のスタイルとは異なる、静をベースにしたスタンスは若年層のみならず、高い年齢層にも響くものがあるのではないか……それは激しすぎないダンスに関しても同様で、今後彼女たちにとって大きな武器になっていることだろう。そう感じずにはいられなかった。
最初のMCではライブ前日に発生した令和8年熊本地震を受けて、熊本県出身の鈴野が「今もなお不安な気持ちをたくさん抱えている方がいらっしゃると思います。少しでも早く平穏な日常が、穏やかな日常が戻ってくることを心から願っています。そして、私たちが大きな力を与えることはできないかもしれないんですが、私たちのパフォーマンスを通して少しでも多くの方に笑顔や元気を届け、前を向くきっかけになれたらと思い、これからもパフォーマンスを続けさせていただきたいと思います」とメッセージを届ける場面も。その後、全員が自己紹介をすると、百瀬が「メンバーみんなでめっちゃ準備してきたので、この夏いちばんの思い出をみんなで作りたいです!」、仲俣が「皆さん、第1部よりももっと楽しむ準備できてますか?」などとオーディエンスに呼びかけ、ここからの期待値を高めていく。
その後は「君の居場所、僕の居場所」を筆頭に、メインメンバー(シングル表題曲歌唱メンバー)やカップリングメンバー、コンセプトメンバーが入れ替わり立ち替わり、心地よいテンポ感の楽曲を連発。ドラマチックな曲調の「元気予報」では、クライマックスでセンターの佐藤が「これからも私たちの成長、ずっとずっと見守ってくれますか?」と呼びかける場面もあり、会場には幸福感が充満していった。
ライブ中盤では「迷探偵 葉山莉瑚の事件簿コーナー」と題し、鈴野や新野、加藤のタレコミをもとに葉山が“匂い”を嗅いで解決していくパートも用意。メンバーの隠れエピソードを秘蔵写真とともに紹介するという、ファン垂涎の内容で、客席からは歓喜の声が上がる。その喜びは、浴衣姿のメンバーが乃木坂46「ガールズルール」やAKB48「ポニーテールとシュシュ」、=LOVE「内緒バナシ」といった先輩アイドルの“夏曲”をカバーする「IDOL SUMMER SONG PARTY」ブロックでさらに激化し、Rain Treeと過ごす夏を存分に満喫できたファンも多かったことだろう。
ライブ終盤では、制服姿に戻ったメンバーたちが「つまり」から徐々に会場の熱気を高めていく。特に、「僕のオーロラ」や「I L U」では天井のミラーボールが幻想的な空間を作り上げ、「3秒ルール」では巨大なバルーンがフロアに投げ込まれるサプライズもあり、観客の一体感は最高潮へと近づいていく。
本編最後の曲に入る前には、綾瀬が今の思いを告げる場面も。彼女は「私たちRain Treeは2023年に行われた『IDOL 3.0 PROJECT』オーディションにて、落ちてしまったメンバーで結成された17人グループでした。FINALIST期間、つらいことも楽しいことも不安も幸せな気持ちも、一緒にたくさん乗り越えてきました」と涙ぐみながら語ると、「1年半活動して、ついに掴んだデビュー。そのデビュー曲も選抜制度が導入されたことにより、全員で歌うことはできませんでした。(今年2月1日開催の)『(Rain Tree) 1st Anniversary Concert』でも既存の曲を全員でカバーして、オリジナル(の全員曲)を歌うことはできませんでした。そんななか、活動休止してしまうメンバーがいたり、活動を辞退してしまうメンバーがいたり……私たちはただ、メンバーみんなでひとつの曲を歌いたいっていう、それだけの願いだったのに、そんなに難しいことなのかなって考える日もありました」と感情を爆発させる。
さらに「誰かが卒業するまで全員楽曲はいただけないんじゃないかって、ちょっと諦めかけちゃう日もあったりもしました。でも、そんなときに皆さんは希望をくれました。7月4日に行われたフリーライブでの動員目標2500人を達成できたおかげで、初めて(オリジナルの)全員歌唱楽曲をもらうことができました。もう一度みんなで歌えるっていう希望をくれて、私たちを信じてついてきてくれて、本当にありがとうございます!」と伝えると、客席からは温かな拍手が送られる。そして、「今日ここに来てくださった皆さん、(CS放送での生中継を)観てくださった皆さん、メンバーも含めてみんなにとって忘れられない、思い出の1日になりますように。夢を追いかけた17人と、ここにいる16人で披露させていただきます」というメッセージとともに、ステージ上の16人は感情をたっぷり込めて初のオリジナル全員歌唱楽曲「台風の夜」をパフォーマンス。情熱的かつドラマチックな曲調も相まって、会場が感動的な空気で包まれたところでライブ本編は幕を下ろした。
「好きだよとどっちが先に言うのか?」から始まったアンコールでは、ライブTシャツに着替えた16人がフロアや2階席通路に登場し、サインボールを投げ込みながら歌うサプライズも。その後、客席を背に記念撮影を行うと、今年12月20日に韓国・YES24 WANDERLOCH HALLにて初の海外単独公演、さらに来年1月29日にShibuya LOVEZで『Rain Tree 2nd Anniversary Concert』開催という、メンバーにも知らされていなかった情報を解禁。驚きつつも喜びを爆発させる16人は、吉川の掛け声とともに「韓国も、渋谷も、完売御礼、頑張るぞ!」と宣言してみせた。その勢いのまま「恋愛変格活用」と、オープニングに続いて再び「Wonder party for you」を歌唱して、2時間強におよぶZepp DiverCity公演を完結させた。
数々の困難を乗り越え、動員を着実に増やし続けるRain Tree。5thデジタルシングル『好きなんて嘘に決まってる』のリリースと前後して、この夏には『TOKYO IDOL FESTIVAL 2026』や『@JAM EXPO 2026』などの夏フェス出演やリリースイベントも控えている。これらの活動を通じて、結成2周年を迎える頃にはさらに勢力が増大しているのではないか……この日目にした彼女たちの姿は、そう確信させるに難しくないものだった。
※1:https://realsound.jp/2026/06/post-2440926_3.html
※2:https://realsound.jp/2026/07/post-2452354.html
<セットリスト>
01. Wonder party for you
02. かわいさ陰謀論-Othello-
03. ぴたっ
04. キス♡リハ中
05. 好きなんて嘘に決まってる
06. 君の居場所、僕の居場所
07. 定点観測
08. Chain of life
09. 元気予報
10. ガールズルール(乃木坂46 カバー)
11. ポニーテールとシュシュ(AKB48 カバー)
12. 内緒バナシ(=LOVE カバー)
13. つまり
14. 僕のオーロラ
15. I L U
16. 3秒ルール
17. 台風の夜
EN01. 好きだよとどっちが先に言うのか?
EN02 恋愛変格活用
EN03. Wonder party for you