DOMOTOが後輩たちに残したもの 歩みで見せた“表現者”の姿、嵐との関係性 続いていく「二人らしい世界」
「歩いててよかったよね、と思いますね」
そう堂本剛が穏やかに語ると、「今後ともよろしくお願いします」と堂本光一が続けた。KinKi Kidsのデビュー日である7月21日にオンエアされた、ラジオ『DOMOTOのどんなもんヤ!』(文化放送)での一幕だ。
歩みを止めなかったから、見えた景色
番組には、デビュー前の日本武道館ライブ以来、ファンクラブに戻ってきたというリスナーからのメールが届く。「まさか30年のときを経たのに、同じラジオを今でもやっているなんて」と胸を躍らせたという言葉に、二人からは思わず笑い声がこぼれた。
KinKi Kidsとしてのデビューは1997年7月21日だが、結成は1993年に遡る。さらに、二人が出会い、事務所に入ったのは1991年。今年はちょうど35年というタイミングだ。彼ら自身はもちろん、応援してきたファンのあいだにもそれぞれ長い時間が流れたことを、しみじみと感じさせる。
「こういう方も結構いらっしゃるんじゃないですか? ちょっと落ち着いて見渡してみたらそこに我々がいた、みたいな」と思いを馳せる光一。すると、剛も「またこうして30年近くのときを経て会いにきてくれるんですから」と、冒頭の言葉に続けたのだ。
この「歩いててよかった」という一言は、彼らの35年を象徴する言葉のように思えた。この日、DOMOTOはSTARTO ENTERTAINMENTとのグループエージェント契約を終了した。光一は個人でエージェント契約を継続するが、剛は2024年3月末に独立し、個人事務所を設立している。
それでも、二人は連名で「環境は大きく変わることとなりますが 僕たちが大切にしてきた想いは 何ひとつ変わりません」「これからも二人の絆を大切に 『二人らしい世界』を笑顔で歩んでまいります」(※1)とコメントを発表している。
ひとつの区切りを迎えた今、あらためて振り返りたいのは、「日本のチャートにおいてシングル1位獲得最多年数」などのギネス認定や「単独アーティストによる東京ドーム最多公演数」など、偉大な記録の数々とともに残してきた彼らのスタイルだ。
長い伝統を持つこの事務所において、二人は先輩たちが築いてきたものを受け取るだけでも、壊すだけでもなかった。先輩たちが切り拓いた道を踏み固め、さらにその道幅を少しずつ広げながら、次の世代へと手渡してきたのだ。個人として湧き上がる“らしさ”にも、周囲からの“期待”にも、どうしたら応えられるのか。その試行錯誤を諦めなかった、そんな35年間のように思うのだ。
二人が歩いた道が、次の誰かの道になる
その原点のひとつが、きっと『LOVE LOVE あいしてる』(フジテレビ系)で過ごした日々だ。事務所の先輩だけでなく、吉田拓郎をはじめとする音楽界の大先輩たちとセッションし、音楽を通じてさまざまな学びを得た。世代を超えて音を紡ぐ経験は、アイドルという枠を超えて、表現者として育っていく時間でもあった。そこで受け取った音楽への情熱は、「好きになってく 愛してく」を筆頭に、「愛のかたまり」「恋涙」「Topaz Love」……と、二人がそれぞれ作詞/作曲を担当して楽曲を生み出す、新たな表現へとつながっていった。
今でこそ、アイドル自らが作詞/作曲を手掛け、グループ活動と並行してソロデビューするというスタイルは珍しくなくなった。その流れを広げるうえで、剛が一歩を踏み出したことは大きかった。独自の音楽表現を深め、「ENDLICHERI☆ENDLICHERI」(現ENDRECHERI.)や「SHAMANIPPON」などのソロプロジェクトを次々に始動させたことも、当時大きな話題を集めた。その表現は自身の活動にとどまらず、後輩たちへの楽曲提供という形でも受け渡されている。自らが培ってきた音楽を、その人らしさが輝く一曲へと変えて手渡してきたのだ。
一方で、光一もソロアーティストとしての歩みと並行して、ミュージカルという舞台で表現の可能性を広げていった。なかでも、光一が作/構成/演出/主演を手掛け、初演以来24年にわたり上演されてきた『SHOCK』シリーズは、事務所の新たな伝統とも呼べる作品となっていった。さらに、自ら舞台に立つだけでなく、演出を通じて後輩たちと向き合い、長年積み重ねてきた経験や技術を伝えてきた。後輩の表現を型にハメるのではなく、それぞれが持つ力を舞台の上でどう引き出すかを考え続けてきたのだ。
二人の目の前にあった道は、いつしか自分たちだけが歩くためのものではなく、次世代を生きる人たちの新たな一歩を踏み出すための道にもなっていった。それぞれが違う方向へ歩いていったかと思えば、またひとつの場所へ帰ってくることができる。だからこそ、後輩たちも新たな道を歩む勇気を持ち、ファンたちもまた、帰ってくる安心感を持つことができたように思う。