THE BACK HORNの“ど真ん中”を貫く「刹那と悪天」 新曲で解き放つ原点、揺るぎないバンドの情熱

THE BACK HORN、新曲で解き放つ原点

THE BLUE HEARTS、BLANKEY JET CITY……衝撃を受けたサウンドの数々

ーー「刹那と悪天」は、曲に出会って衝撃を受けたという体験を歌っていますね。それが具体的にどういう曲やアーティストだったのか、興味が湧くんですが。

菅波:ああ、俺はね、初めて買ったシングルがブルーハーツ(THE BLUE HEARTS)なんですけど、「首つり台から」っていう曲。俺らの世代はインディパンクなのかな、Hi-STANDARDから始まって。今みたいにYouTubeはないから誰かがライブビデオを買って、それを観たときの衝撃、ライブでモッシュとかが起きてて、「ライブってこんな感じなんだ! こんな世界があるんだ!」って。その映像に衝撃を受けて、「こういうことをやってみたい!」と思ってバンドを組んだんですよ。でも、自分たちがライブをやっても4人ぐらいしかお客さんがいなくて、しかも全員友達でモッシュどころじゃないんだけど……思ってたのと違うけどなんか楽しいみたいな(笑)。

ーーこういう曲がやりたいとかこんな演奏したいとかより、「こういうライブをやってみたい」という衝動?

菅波:それに近かったかな。発散してみたいというか。ギターもそうだし、でかい音を出したときのスカッとする感じが「気持ちいい!」みたいな。それが初期衝動だった。ギターは高一の時に買って、最初はハイスタとスマパン(The Smashing Pumpkins)とNirvana、みたいな。あとBLANKEY JET CITY。「ガソリンの揺れ方」のイントロが難しすぎて弾けなくて(笑)。イントロ、難しいんだよね。“ジャー・ジャ・ジャンジャーン”というところだけ弾いてた。ライブハウスへの憧れみたいなものが、その時に生まれたのかな。

ーーまさに初期衝動ですね。山田さんもそういうのありますか?

山田:そうですね、かっこいいなと思ったのは、BLANKEY JET CITY。高校生の時に聴いて、それからかな。最初に買ったのは『LOVE FLASH FEVER』。それこそ「ガソリンの揺れ方」とか入ってて、そこから遡ったり、その後もしばらく追ってて。そのタイミングで栄純と会ったぐらいに、eastern youthをすごく好きになって。あの吉野(寿)さんの喉がちぎれそうなシャウトと叙情的な歌詞が、すごいこう……東京に出てきて、でも人を、大人を信用できない孤立感みたいな、「すべてが嘘でできている!」みたいになってた自分に、唯一、がむしゃらに生きることとか教えてくれたような感覚があったんです。もっと前になると、中学校の頃に尾崎豊がいて。亡くなってからちゃんと聴くようになった。その後にボブ・マーリーとかも好きになって。でも自分が歌うっていう道を決めたのは、尾崎豊を聴いてて、“歌う人”になりたいと思うようになってからでしたね。

ーー尾崎豊のように、自分で曲を書いて歌うという気持ちにも?

山田:尾崎の曲を聴けば聴くほど、何であれを10代で書けてるのかなって。自分は曲を書くという意識にはなってなかったけど、歌いたいという気持ちはあった。何か悶々としたものがあったんですよね。言葉という表現の形は、栄純からTHE BACK HORNでもらって、歌ってたような感覚。

菅波:俺は、自分で表現できないものを将司に表現してもらうというのがあるから、お互いがいい形だったんじゃないかな。それがバンドなんで。だから今回の曲は、THE BACK HORNがいまだにこの形で続いてることが誇りでもあるし、「まだいくぞ」という気持ちでもあるし。

ーーそうした青春時代の熱を今だから伝えるというのが、この曲のポイントでしょうか。かつて自分たちに刺さったものがあるように、この曲が今の10代とかに刺さってほしい思いもあるかなと。

菅波:そうだね。自分らが好きになって、その俺らが好きなものを好きになってほしい、という気持ちがありますね、すごく普通だけど(笑)。

ーー山田さん、この曲を歌っていてどうですか。

山田:THE BACK HORNの持っている和メロ感と真っ直ぐな言葉が乗っかって、これは一聴した瞬間に「シングルだね!」と思いました。和風感をここまで強く、あえて出してる曲はありそうでなかったかな。

ーーそこが原点回帰感を強く打ち出してますよね。ファンにとっても待ってました感があると思います。〈電気的共鳴音〉とか菅波さんらしいワードが印象的で。

菅波:ギターを“ジャーン!”とやった時の音のことです。リハスタで初めてアンプを通して“ジャーン!”ってやった時の、「わー、これ何!?」っていう(笑)。その時のこと、全然忘れてないんだよ、俺。初期衝動とか記憶、感覚とかが完全に残ってるままきちゃってるんで、大人としてまた生きづらい感じなんですけど(笑)。周りはみんなどんどん考え方が大人になっていくし。

山田:それを守り続けるのは大変なことだからね。

菅波:お前、こっち側の人間だろ(笑)。今大人側に回ろうとして、自分は違うみたいな感じがしたけど、完全にお前はこっち側の人間だから。

山田:いろいろ紆余曲折あって、じゃない? 栄純も(笑)。

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