≠ME、新メンバーオーディションが呼ぶ波紋 “理想郷”か“変化”かーー限りある時間で夢を掴むための決断
≠MEの新メンバーオーディション開催が発表され、大きな波紋を呼んでいる。
【お知らせ】
≠ME 新メンバーオーディション開催決定!
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— ≠ME_official (@Notequal_ME) June 26, 2026
≠MEは指原莉乃がプロデュースを手がけるアイドルグループ。2019年2月に結成され、今年2月にはKアリーナ横浜で結成7周年記念コンサートを開催した。その公演でも強く打ち出されていたように、≠MEはここまで12人が誰一人欠けることなく走り続けてきた。8年目を迎えるグループが、時に立ち止まりそうになりながらも手を繋ぎ、結成から形を変えずに活動を続けられてきたという事実は、姉妹グループである=LOVE、≒JOYだけでなく、ほかアイドルグループを見渡しても稀有な例。12色で≠MEというひとつの色――そんな未来の希望を見せてくれるコンサートだったように思う。「虹が架かる瞬間」に歌われている〈12人とみんなだから/見えた景色〉という歌詞が忘れられない。
その後、6月にメンバーの菅波美玲がグループを卒業。気持ちを新たにそれぞれの道を歩んでいくことを誓った卒業コンサートから2週間後、オーディションの開催が発表された。開催を告げる動画のなかで指原が語っている「≠MEは≠MEのまま死んでほしかった」という一言が、当初の本心だろう。指原がプロデュースするグループで新メンバーオーディションをするのは、これが初めて。今年4月に販売された『=LOVE新聞』(スポーツニッポン新聞社)のインタビューで指原は、=LOVEに新メンバーが入る可能性を質問され、「イコラブを増やしたいと言われて“嫌です”と作ったのが≠MEだったので、全く考えてなかったです。納得できる理由やそうせざるを得ない事情があれば“見通しがあるならいいんじゃないですか”と仕方なく言うかもしれませんが、自分から“やりますか!”と言うことは絶対ないです。提案することも、それをいいと思うことも多分ないですね」と答えている。グループやそれぞれの状況は違うものの、指原の根底にある考え方や思いは同じだろう。
指原が一緒に運営するチームからオーディションを提案されたのが数カ月前。震える声とともに悔しさを滲ませながらも、アイドルファンとしての“理想郷”を守るのではなく、プロデューサーとして、「アイドルをやりたい子が1日でも長くアイドルを続けられる環境を作るというのが私にすべきことだと思いました」「≠MEっていう名前がなるべく長く、1日でも長くアイドルを続けられる環境を作りたい」と前向きにオーディションの開催を受け止められるようになったという。指原だけでなく、葛藤、悔しさを抱え、時に涙するメンバーの姿から“そうせざるを得ない事情”があったのは明らかであり、“理想郷”を守りたいファンにとっては抑圧されているように見える構成だったのは否めない。その不透明さがファンの不満を募らせる原因となっているのかもしれない。
さらに、アイドルとして相当の逸材でなければ≠MEとして活動すること、≠MEのさらなる色としてグループに新たな彩りを与えることは困難であると想像する。結成から8年目で≠MEは屈指のパフォーマンス力を誇るアイドルグループへと成長した。コンサートはほぼMCなしのぶっ通しのステージが通常。先日YouTubeに公開された新曲「愛くださいませ」のダンスプラクティス動画は、激しくダイナミックなダンスが求められるにもかかわらず、生歌という驚きのクオリティにファンも驚かされる事態となっていた。歌唱力、ダンス力、体力といったあらゆる面で、高いスキルは必須と言える。加えて、現メンバー11人の結束力、絆が固いことは言うまでもないが、メンバーが増えないからこその“理想郷”としての仲の良さというのも確実にあるだろう。昨年4月にリリースされた「モブノデレラ」のヒットを機に、ライブ動員も目に見えて増加。櫻井もものバラエティでの活躍、永田詩央里による“くださいませチャレンジ”が話題となった「愛くださいませ」といったように、話題に事欠かない今の≠MEにオーディションは不要と反発が起こるのは、当然のようにも思える。
ただ、世間的に≠MEというグループ名を知っている人がどれほどいるかと考えると、まだまだ厳しい状況であることは確かだ。あらゆることに“不感症”になってしまった現代において、=LOVEの「とくべチュ、して」のような爆発的なバズを巻き起こさない限り、さらなるステージにステップアップすることは困難なのが今の音楽シーンの悲しい現状である。昨年8月に公開されたドキュメンタリー映画『≠ME THE MOVIE -約束の歌-』のなかで、運営責任者の伊藤太郎氏は、グループが結成当初から夢の場所として掲げてきた東京ドームでライブを開催することが難しくなってきていることに言及。それは4万5000人という最低動員数を埋められるかどうかではなく、東京ドーム側がそのグループに開催してほしいと思う何か、つまりはグループの“格”が求められる会場であるということに触れている。
そして、女性アイドルにおいて8年というのは決して短い年月ではなく、彼女たちも青春をアイドルに、≠MEに捧げてきた。永遠ではないからこそ、限りある未来のなかで東京ドームという夢を現実にするために、運営側は新メンバーオーディションを決断したのではないだろうか。それはある種の“劇薬”であり、言い換えれば“起爆剤”だ。ファンはいつだって変わらないことを願う。けれど、変わることでグループが前に進むことはできる。例に「想わせぶりっこ」でのセンター交代はひとつの変化だったはずだ。ただ、ここまで長い時間をひた走ってきたグループによる新メンバーオーディションの開催というのは、ほかのグループを見渡しても前例の少ないこと。強いて挙げるとするならば、“タイプロ”こと『timelesz project』が最も近いのではないかと思う。失うものはあれど、その先できっとチャンスは掴める。
≠MEを最も愛しているのは、≠MEメンバー自身だ。「自分たちで腹くくって決めたことだから」と涙ながらに語る櫻井の涙に筆者は心掴まれた。ここで引き返せば、≠MEが変わることはもうないだろう。≠MEの第2章が幕を開ける。