米津玄師、Original Love、M!LK(曽野舜太&山中柔太朗)、CUTIE STREET、AKASAKI、Rol3ert……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は、米津玄師「烏-Raven」、Original Love「愛はアカリ」、M!LK「真・運命 (曽野舜太&山中柔太朗)」、CUTIE STREET「ホメマクリズム」、AKASAKI「離さないでいて」、Rol3ert「Aftertaste (feat. REJAY)」の6作品をピックアップした。(編集部)
米津玄師「烏」
国を挙げて、みたいなものが苦手なので、個人的に『ワールドカップ』(『FIFAワールドカップ2026』)には興味がないのだが、「2026 NHKサッカーテーマ」として制作されたという「烏」はとてもいい。まずはサウンド。この手のテーマ曲にありがちな、これみよがしの勇壮さはまったくなく、まさに鳥が風を切って進むような、爽やかで穏やかな音像が広がっている。弦楽器の生々しい響き、4つ打ちを軸にしたアレンジも抑制が効いていて、耳触りがとにかく優しいのだ。リスナーに語り掛けるような自然なメロディのなかで描かれるのは、子どものときに夢見ていた光景と、大人になった今の心象風景。〈今だけは誰の声も聞こえない場所へ行こう〉という一節はサッカーの狂騒とは程遠いが、そのなかにある内なる競争心や軽やかな闘争こそ、アスリートの本質ではないだろうか。(森)
Original Love「愛はアカリ」
田島貴男がめでたく還暦を迎えた今年、メジャーデビュー35周年の記念日にリリースされた新曲。2019年のアルバム『bless You!』、2022年の『MUSIC, DANCE & LOVE』の流れを受け継ぐ人生讃歌となる。冒頭からタイトルを歌い上げる歌詞は、聞き間違いようのない言葉、具体的な行動のヒントを散りばめながら、この世界の平和を祈るもの。ボブ・マーリーにとっての「One Love」、ジョン・レノンにとっての「Imagine」。今後の田島にとってそのように言われるメッセージソングになっていくだろう。ごくシンプルなバンドサウンドに華を添えるホーンセクションとして、東京スカパラダイスオーケストラからNARGO、GAMO、谷中敦が参加。(石井)
M!LK「真・運命 (曽野舜太&山中柔太朗)」
「モー烈モー進!リリースプロジェクト2026」第2弾シングル。曽野舜太と山中柔太朗によるこの第2弾はM!LKの王道、すなわちパンチライン連呼で突き進む覇道のラブソングである。楽曲を担当したMUTEKI DEAD SNAKEは「好きすぎて滅!」の作詞者。タイトルは「真・運命」と書いて“マジ・デスティニー”と読ませる離れ業ときた。恋に落ちる瞬間をドラマティックに描くヘヴィメタル風の展開に終始ニヤニヤしていたが、〈「ねぇ、運命…しよ?」〉のセリフとピストル音の挿入には本気で吹いた。3回聴いたらもう〈マジでマジでマジでマジで…〉が頭から離れない。(石井)
CUTIE STREET「ホメマクリズム」
「かわいいだけじゃだめですか?」の韓国語バージョンが韓国チャートに入るなど、アジアに向けた展開を本格化させているCUTIE STREETの新曲「ホメマクリズム」は、ミスなんて気にしない、疲れたらちゃんと休めるのは素敵、同じ時代に生きてるってすごいよね、なんだかんだ生きててえらい、と全人類を褒めまくる究極のポジティブソング。ユーロビート、パラパラ、EDM、エレクトロなどのフレーバーを盛り盛りにしたトラックメイク、あっけらかんと軽やかで奥底にエモさを感じさせるメンバーのボーカルを聴いていると、それまで悩んでいたことがどうでもよくなる無敵の効果が押し寄せてくる。理屈抜きで楽しくて気持ちがラクになる、これこそアイドルポップの理想の形なのではと思わなくもない。(森)
AKASAKI「離さないでいて」
昨年からアーティスト活動を本格始動させた19歳のシンガーソングライター、7月15日に登場するインディーズ1stアルバム『last YOUNG』からの先行シングル。明治安田Jリーグ百年構想リーグ『みんなで作るJリーグのある日常』プロモーション動画タイアップ曲でもある。スタジアムの熱気を意識してか、楽曲は疾走感溢れるギターロック調。J-POP/J-ROCKの王道をあえて踏襲しまくった様子もあり、軽音部でのコピー定番となっている人気曲のような既視感だ。とはいえ、生バンドと違うのはボーカルが勢い任せに声を張らないところ。いくらでも熱くなれそうな言葉や転調を用意しながら、あくまでフラットに歌い続ける唱法のズレが面白い。これも新しい世代ゆえ、なのか。(石井)
Rol3ert「Aftertaste (feat. REJAY)」
「(how could i be)honest?」や「savior」のアジア圏でのヒットによってさらに知名度を上げたRol3ert。新作EP『Kodoku EP』(6月24日リリース)から先行配信された新曲「Aftertaste (feat. REJAY)」は、北海道出身のシンガーソングライター·REJAYとのコラボ曲だ。英語と日本語を混ぜたリリック、世界のインディーポップとリンクした音楽性などの共通項を持つ20歳同士が生み出したこの曲は、美しいグルーヴを描き出すベースライン、透明感と浮遊感をたたえたシンセのなかで、ファルセットを交えたボーカルが共鳴するミディアムチューン。内なる情熱を感じさせるメロディと、終焉を見つめるような歌詞の世界観も現代的。特に〈過剰な思いに飲まれるのはなぜ?〉というラインは、この時代の病理の源を的確に射抜いているようで静かな衝撃を受けた。(森)



























