坂道グループの“期別曲”が示すものとは? 乃木坂46、櫻坂46、日向坂46……新期生楽曲に見るアイデンティティ

 乃木坂46 六期生、櫻坂46 四期生、日向坂46 五期生。それぞれの新期生は、加入発表やお披露目を経て、ライブ、冠番組、MVなど活動の場を広げながら、グループの中での立ち位置を少しずつ形にしている。中でも“期別曲”は、その世代がどのような個性を持ち、グループの未来に何をもたらす存在なのかを映し出す大きな手がかりとなるものだ。

 坂道グループにおける期別曲には、グループが新しい世代にどんなイメージを託しているのかが色濃く表れる。歌詞、サウンド、MVの舞台設定、センターに立つメンバーの表情、そしてライブでの見え方。そうした要素をたどっていくと、乃木坂46、櫻坂46、日向坂46それぞれの打ち出し方が見えてくる。本稿では、乃木坂46 六期生曲「桜橋を教えてくれた」、櫻坂46 四期生曲「We got your back」、日向坂46 五期生曲「円周率」など直近の楽曲を中心に、過去の期別曲の流れも踏まえながら、坂道グループが新期生をどう見せようとしているのかを探っていきたい。

乃木坂46の儚さと透明感、王道モチーフで描く青春

 まず、乃木坂46 六期生の楽曲で目を引くのは、淡い恋や別れ、学校生活の風景といった乃木坂46らしいモチーフを、六期生の初々しい表情に重ねているところだ。六期生初の期別曲「タイムリミット片想い」では、矢田萌華がセンターを務め、片想いという王道のモチーフを通して、加入したばかりのメンバーたちの初々しさをまっすぐに映し出していた。制服姿のメンバーや、どこか胸の奥に残る淡い感情は、まさに乃木坂46が長く描いてきた青春の風景だ。瀬戸口心月がセンターを務めた「なぜ 僕たちは走るのか?」では、初々しさに加えて、前へ進もうとする勢いが打ち出されていた。まだ見えない未来に向かって走る姿は、乃木坂46の新しい世代として歩み始めた彼女たちの現在地とも重なる。

乃木坂46『タイムリミット片想い』
乃木坂46『なぜ 僕たちは走るのか?』MUSIC VIDEO

 森平麗心センター曲「市営ダンスホール」では、レトロな響きを持つタイトルや世界観の中で、六期生のクールな表情が引き出されている。どこか懐かしさを感じさせながらも、楽曲には鋭さがあり、初々しさだけではない彼女たちのかっこよさを印象づけた。さらに、大越ひなのがセンターを務めた「全力ラップタイム」では、通学路やグラウンド、チャイムといった青春の日々が描かれている。全力で走り抜けた時間を振り返るような楽曲であり、六期生の爽やかさやまっすぐさを、少しノスタルジックな空気の中で見せていた。

乃木坂46『市営ダンスホール』MUSIC VIDEO
乃木坂46 『全力ラップタイム (special performance ver.) 』

 そうした流れの先にあるのが、「桜橋を教えてくれた」だ。センターは愛宕心響。桜、橋、記憶の中に残る風景。乃木坂46の楽曲やMVにたびたび登場してきたモチーフが、六期生の物語と重なり合う。ここで描かれているのは、完成された強さではなく、まだ言葉にならない感情を抱えたまま歩き出す姿である。彼女たちに託されているのは、グループを急激に変える役割というより、乃木坂46が大切にしてきた儚さや透明感を、今の時代の中で引き受けることなのではないだろうか。そこに、乃木坂46らしい新期生の見せ方がある。

乃木坂46 『桜橋を教えてくれた』MUSIC VIDEO

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