梅澤美波が示した不変の“乃木坂46愛”ーー経験と思い出を後輩に託し、未来へ踏み出した卒コンを振り返る

梅澤美波が示した不変の“乃木坂46愛”

 2016年9月に3期生として乃木坂46に加入し、2023年2月からは3代目キャプテンとしてグループに貢献し続けた梅澤美波が、9年8カ月におよぶアイドル人生に終止符を打った。彼女が最後の舞台として選んだのは、乃木坂46のデビュー14周年を祝福するアニバーサリーライブ『乃木坂46 14th YEAR BIRTHDAY LIVE』。5月19日~21日の3日間、東京ドームにて開催された今年の『BIRTHDAY LIVE』(以下、『バスラ』)のうち、最終日のDAY3公演を『梅澤美波 卒業コンサート』と銘打って、彼女の意見が反映されたセットリストや演出とともに、グループ加入前から愛し続けてきた乃木坂46への想いを表現してみせた。

歴史の継承を体現、随所に散りばめられた先輩への敬意

 先に行われたDAY1およびDAY2公演(※1)ではグループの“新参者”である6期生にストーリーテラーの役割を与え、彼女たちに乃木坂46の14年分の歴史を疑似体験させながら、先輩たちやファンと一緒に乃木坂46の個性や魅力を共有していくという、これまでになかった形の『バスラ』が展開された。最若手メンバーが過去を理解し、大切にしようとする想いを抱えて未来を見据えたのがDAY1およびDAY2公演だったのに対し、DAY3公演はかつてファンだった少女(=梅澤)が黄金期の幕開けと同時にグループに加入し、先輩へのリスペクトを忘れることなく変化と向き合い続け、ここまで蓄積した経験と思い出を後輩に託す。視点こそ異なるものの、どの公演も「過去へのリスペクト」と「まだ見ぬ未来への期待と挑戦」がベースにあることは間違いない。そういった意味で、『梅澤美波 卒業コンサート』は単なる「いちメンバーの卒業コンサート」というだけではなく、梅澤が愛した乃木坂46を次世代メンバーたちへと継承する、実に『バスラ』らしい公演だったと断言できる。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 『梅澤美波 卒業コンサート』は会場が青×水色(梅澤のペンライトカラー)で染まる中、梅澤が初めてオリジナルポジションでセンターという役割を担った「空扉」からスタート。「みんな、会いにきてくれてありがとう。今日は私にとってラストステージ。みんなのことを楽しませます!」と叫びながら、ステージ上手から気球に乗って登場した梅澤は、早くも感極まって涙をにじませるも、笑顔を絶やすことなく会場に歌声を届け続ける。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 過去に『卒業コンサート』を実施したOG同様、この日披露された29曲すべてに梅澤は参加。その大半でセンターを務め、前2日間での連日異なるセットリストを考えたらそのリハーサル量は相当なものがあったはずだが、この日の梅澤は疲労感など一切感じさせることなく、ファンや後輩たちにアイドルとしての最後の輝きをまざまざと見せつける。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 その輝きが急激に増したのが、第2ブロックで披露された「ハルジオンが咲く頃」「新しい世界」「ジコチューで行こう!」だろう。ファンならご存じのとおり、「ハルジオンが咲く頃」は2017年2月の『5thバスラ』で3期生が披露した1曲。グループ全体ライブで初めてパフォーマンスした思い出の1曲を、加入当時の制服を着用した梅澤が現在の最若手メンバーである6期生と一緒に歌い踊ると、アリーナが黄色、スタンド席が白という“ハルジオンカラー”に一瞬にして染まる。続く「新しい世界」は初めてアンダーメンバーとしてオリジナルポジションをもらった楽曲、「ジコチューで行こう!」は初選抜入りを果たした1曲と、梅澤の乃木坂人生を語る上で欠かせない楽曲が連発される。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 ユニットブロックでは1期生・若月佑美を団長に3期生の梅澤、阪口珠美、山下美月を加えた“若様軍団”による「失恋お掃除人」(梅澤にとって初のユニット曲)を、梅澤と4期生の筒井あやめ、5期生の奥田いろは、6期生の鈴木佑捺の4名からなる“梅澤軍団”を、この日限定で結成して披露。エンディングでは若月へのリスペクトを込めた“箸くん”ネタも用意され、映画『映像研には手を出すな!』の主題歌としても知られる「ファンタスティック3色パン」では、卒業した齋藤飛鳥&山下美月に代わり賀喜遥香&小川彩が参加。この曲のライブ披露時にはお約束となった、曲中盤のバラエティパートでは3人の“メロメロセリフ”も飛び出し、古くからの乃木坂46ファンを歓喜させる。自身の歴史を紐解きつつ、乃木坂46の歴史の一部にもスポットを当てていく構成からは、梅澤の“乃木坂46愛”がひしひしと伝わってきたのではないだろうか。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 以降も、自身同様に高身長メンバーを集めた1日限定ユニットによる「悪い成分」、2月開催の『Coupling Collection 2022-2025』(※2)でも話題になった梅澤センターによる「踏んでしまった」、同級生の田村真佑&弓木奈於との「急斜面」と特別感の強いユニット曲が続き、同ブロックを遠藤さくらとの「歩道橋」で締めくくる。この曲ではしんと静まり返った会場に2人が姿を現し、アリーナ中央のセンターステージでパフォーマンスを始めると、独創的なダンスとともに儚く美しい世界が展開された。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 ライブ中盤は、梅澤ひとりで「失いたくないから」を歌うところから始まる。曲中、卒業していった先輩たちへのリスペクトを込めたメッセージが告げられる場面もあったが、この言葉からなぜ彼女が「失いたくないから」をセレクトし、たったひとりで歌おうと思ったのか、強い意志が伝わる。続く「タイムリミット片想い」では6期生とともに、矢田萌華とのWセンターで同曲をパフォーマンス。〈何とかして(何とかして)/好きだってことを(伝えなくちゃ)〉や〈タイムリミット  少し前/この制服  見納めになる〉などの歌詞をはじめ、この曲全体に散りばめられた思いが卒業を目前とした梅澤と、彼女を見送る6期生の姿と重なり、この曲を6期生と一緒に歌おうと思った梅澤の意思が透けて見せる。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 それは5期生との「泣いたっていいじゃないか?」、4期生との「日常」も同様で、あえて6期生のように期別曲を選ばなかったところにも梅澤から4期生、5期生へのメッセージが込められているようで、胸にくるものがあった。特に「泣いたっていいじゃないか?」では曲中、梅澤から5期生一人ひとりに異なる花と花言葉を贈るあたりにも、そうした思いを感じ取れたことだろう。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

 同期の3期生とは、最新の期別曲「世界はここにある」と自分たちのデビュー曲「三番目の風」を4人だけで披露。約10年の月日の積み重ねで大人になった、今の4人だからこそ表現できる「世界はここにある」と、初々しさとパワフルさ以上の説得力を身に付けることでより強い意味を備えた「三番目の風」は、4人という少人数を感じさせないほどのエネルギーを放出させながら、「歴史はどんどん更新されていくもの」だと言わんばかりの奇跡的な瞬間を作り上げていく。

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

『梅澤美波 卒業コンサート』Ⓒ乃木坂46LLC

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