エレファントカシマシ「今宵の月のように」、THE ALFEE「星空のディスタンス」……往年の名曲が音楽番組で求められる理由は?

 5月22日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に宮本浩次が出演し、エレファントカシマシの代表曲「今宵の月のように」を歌唱する。

エレファントカシマシ&THE ALFEE、愛され続ける代表曲

今宵の月のように/エレファントカシマシ

 1997年発表の同曲は、エレファントカシマシが前年に「悲しみの果て」でメジャー再デビューを果たしたことに加え、テレビドラマ『月の輝く夜だから』(フジテレビ系)の主題歌に起用されたことでも注目を浴び、CDセールスは約80万枚を記録。〈くだらねえとつぶやいて/醒めたつらして歩く〉という無骨な歌い出しで引き込む一方、曲が進むにつれてやさしいメロディと宮本の情感あふれるボーカルで聴き手の感情を湧き上がらせた。

 2025年にはマクドナルドの秋の定番メニュー「月見バーガー」「チーズ月見」などの“月見シリーズ”の販売に際し、「月見ファミリー」CMソングとしてソロ名義でセルフカバーした新録版「今宵の月のように」が使用された。リリースからまもなく30年を迎える今なお幅広い世代の心に響く名曲として聴き継がれており、今回の『ミュージックステーション』での同曲歌唱も期待が高まる。

 1980年代、1990年代の名曲が音楽番組で披露され、再び脚光を浴びる動きは昨今他にもある。THE ALFEEの1984年発表曲「星空のディスタンス」は、2024年『第75回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)で演奏され、2025年7月放送『THE MUSIC DAY 2025』(日本テレビ系)では、習志野高等学校吹奏楽部が高校野球の応援歌として同曲を使用していることをきっかけに、コラボパフォーマンスが実現した。ギターが前面に出たサウンドとアップテンポな曲調からくる高揚感は、スポーツ応援のように大人数で感情を共有する場とも相性が良い。

德永英明&GLAYは『Mステ』で特別に披露

 德永英明は2019年6月放送『ミュージックステーション』にて、1986年発表「レイニー ブルー」のアレンジバージョンを披露していた。同放送回の共演者・山下智久が「僕が生まれたくらいのときの曲なんですけど、時代が変わっても古くならないというか。普遍的な歌詞のすばらしさとかメロディだったりとか、いつ聴いてもすごい名曲だと思いますね」(※1)とコメントしたように、同曲はうっとりするような詩的な歌詞と繊細なメロディが特徴的。なにより德永のハスキーでありながらも甘い歌声は、世代を問わず惹きつける力がある。

 GLAYは2024年10月放送『ミュージックステーション』の中で、サポートドラマーにピエール中野(凛として時雨)を迎え、ピアニストの・清塚信也とのコラボレーションでで1997年発表曲「HOWEVER」を聴かせた。リリース当時のヒットだけでなく、そこからカラオケの定番曲として歌われ、結婚式をはじめとするメモリアルな場でも人気を集めていることが、いつの時代でも受け入れられている要因と言える。また、GLAYが驚異的なセールスを誇った1990年代に青春を送った世代が親になり、子どもたちと一緒に「HOWEVER」などを聴くようになったことで、“楽曲のバトン”がつながったのではないだろうか。

 これらの楽曲の共通点として挙げられるのは、いずれも“情景的”な要素がある点だ。「今宵の月のように」では夜空に浮かぶ月、「星空のディスタンス」はきらびやかな星々、「レイニー ブルー」は雨模様、「HOWEVER」は〈暗闇〉や〈夜〉の中に灯る愛情の輝きが連想される。時代とともに様々な物事が変化を遂げ、聴き手自身も年齢を積み重ねる中、月や星、雨、夜といった“情景”は時代が変わっても失われないからこそ、普遍性を放つ。さらに、そうした情景が切なさや愛おしさなどの感情に重なり合う。それが、今もなお音楽番組などで求められる理由ではないか。

 また、SNSや動画共有プラットフォームの定着も、名曲の凄みが後押しされる背景にあるだろう。たとえば、1990年代前半はインターネットも発展前で、過去の音楽の情報を得ることが難しく、音楽専門誌などを頼りにする以外の手段がなかった。だが、今やSNSでは過去の音楽の良さがたくさん発信され、ショート動画SNSなどを起点にリバイバルヒットする場合もある。ネットワークの規模拡大と発達が、過去の曲の“現在進行形”のものにしていると考えられる。

 これらの要素が重なり合い、音楽番組で歌い継がれることで、名曲は“過去のヒット曲”ではなく“今の曲”となるのだ。

※1:https://realsound.jp/2019/06/post-379352.html

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