横浜発アイドル・NUANCE、『hole』に刻む現在地と進化の記録 現体制の絆と“コント”に込めた遊び心

横浜発・NUANCE、『hole』で描く現在地

 横浜発の4人組アイドルグループ・NUANCEが、現体制2周年という節目にミニアルバム『hole』をリリースした。本作は、配信中心だった近年の活動を経て、実に4年ぶりとなる待望の一般流通盤だ。収録曲の間には楽屋裏を再現した本格的なコントも収録されるなど、彼女たちの多角的な魅力が凝縮された一枚。本インタビューでは、全国ツアーを目前に控えた4人に、絆を深めた2年間の軌跡と、最新作に込めた挑戦を語ってもらった。(編集部)

現体制2年目、“家族”に近い絆への変化

――NUANCEはこの4月で、桃子さん加入から2年が経ちました。ということは、今のNUANCEの4人が揃ってからちょうど2年でもあるわけですが……桃子さん、最近は「もっと昔からいますけど?」みたいな安心感が出てきましたね。

椰子桃子(以下、椰子):え、本当ですか? 態度だけはデカくやらせてもらってます(笑)。

――(笑)。実際のところ、2年前と比べてお互いの距離感もより縮まったと思いますし、相手のことをより深く知れたのかなと思います。たとえば、2年前と比べて「こういうところが変わったな」と感じることってありますか?

蓮水恭美(以下、蓮水):単純に仲良くなりました。1年くらい前までは、まだそんなに仲良くなくて……。

汐崎初音(以下、汐崎):それはちょっと語弊がある(笑)!

蓮水:違う違う(笑) ! 当時は楽屋が静かだったんですけど、今はすごくうるさくなったって言いたかったの!

椰子:(笑)。あと、ごはんに行く回数が増えました。

城戸海月(以下、城戸):1年前はまだ行ってなかったですね。

NUANCE(撮影=加古伸弥)
蓮水恭美
NUANCE(撮影=加古伸弥)
汐崎初音

――確かに、皆さんのSNSの投稿を見ていると、プライベートでもメンバーと絡んでいる写真が増えましたものね。

汐崎:この1年で、特にいろんなことをみんなで乗り越えてきたから、グループ内での距離も縮まって、さらにプライベートでも仲良くするようになったのかな。

蓮水:90分ノンストップライブとか、大変なことをたくさん乗り越えてきたし。あと、メンバーの誰かが体調を崩したりとか、一人ひとりに危機が訪れた時にほかのみんなでカバーすることで、「一緒に頑張っていこう」っていう絆が深まったのかな。でも、友達っていうよりは家族みたいな関係に近いかもしれないよね。

――NUANCEってたびたび予想もしていなかったトラブルや困難が起こって、それを乗り越えてきたという印象が強かったけど、最近は誰かひとりが万全な体制じゃない時でも、それをまったくマイナスに感じさせないステージができるようになりましたよね。

一同:えーっ、嬉しい!

――僕はこの2年くらい、定期的にNUANCEのライブを観てきましたが、昨年のあるタイミングからライブの雰囲気が変わった気がしていて。

汐崎:本当ですか?

蓮水:いつ頃からですか?

――以前は長尺のワンマンライブの場合、中盤で体が温まってきて、後半に向けて歌やパフォーマンスがどんどん良くなっていくことが多くて。昨年4月のKT Zepp Yokohamaでのワンマンライブの時はまだその状態だったんだけど、夏以降かな。どんな場面でも平均点以上のライブを見せられるようになって、昨年12月の1000 CLUBのワンマンの時は最初からフルスロットルで、終始安心して観ることができたんです。

一同:おーっ。

蓮水:確かに、KT Zepp Yokohamaの頃はエンジンがかかるのが遅いことが課題で、ステージに登場した時点から体が温まった状態にしたいねって気持ちではいたんです。どこで明確に変わったのかな?

汐崎:本番前に円陣をして「おーっ!」って大きな声を出すようになってからじゃない? ライブが始まる前、ステージ袖にいる時点で円陣をすることで、フロアにいるお客さんが声を返してくれるんです。なので、ステージに出る前からお客さんと一体感がある状態を作れていて、こちらも心強い状態でパフォーマンスしやすくなって。それも大きいのかなと思います。

NUANCE(撮影=加古伸弥)
城戸海月
NUANCE(撮影=加古伸弥)
椰子桃子

――グループとして固まってきたなっていう感じも伝わってきますが、皆さんの中にもそういった感覚はあったりする?

蓮水:あります。それこそZeppの頃は「全部やらなきゃ」みたいな気持ちが強くて、周りを見ずにひとりで突っ走って、それをみんながサポートしてくれるみたいなことが多かったんです。でも最近はMCとか煽りとかもそうだけど、分担したり任せたりすることが1年前より増えた気がしていて。それによって、少しずつ団結力が生まれてきたんじゃないかなと思います。

――と同時に、4人それぞれの個が際立ち、一人ひとりが異なる武器を手に入れ始めている印象もあります。

椰子:嬉しい。だからなのか、1年目より最近のほうが楽しくライブができるようになって。加入した頃は覚えることも多くて、毎回ライブのたびに必死だったけど、最近は気持ちに余裕ができてきました。ここにたどり着くまでに2年かかりました(笑)。

4年ぶりの一般流通盤、『hole』に込めた思い

――この体制が固まったタイミングに、現編成初のCD『hole』がリリースされるというのも絶妙だなと。NUANCEのことをより深く知ってもらう上で、こういうフィジカルアイテムがひとつあると、配信中心だったそれ以前と比べてまた違った広がり方ができると思いますし。

汐崎:今回のCDでいうとコントの中でそれぞれのキャラが表れているし、曲を通してだけじゃ伝わらないこともそういう要素でわかりやすく伝えられますしね。

――そのコントですが、最初は「えっ、何事?」と驚きました。

汐崎:ですよね(笑)。

――ただ、初音さんがおっしゃるように、このCDを入り口にNUANCEのことを深く知ろうとする場合、楽曲だけではなくコントを通じて4人がどんなキャラクターなのか、イメージもつきやすい。それを現編成初のCDで実践するということに、大きな意味があるのかなと思いました。

蓮水:そう受け取ってもらえて安心しました。私たちも最初、すごく不安だったので(笑)。

――不安だったんですね。

蓮水:だって、普通はアイドルのCDにコントが入ることなんて、あんまりないじゃないですか。それこそ、CDを聴いている時にコントだけ飛ばされたらどうしようって不安もあったので、ファンの皆さん含め好意的な意見が多くて嬉しいです。

――ここからは、『hole』についてお話を伺っていきます。そもそもNUANCEが一般流通のCDを発売するのが4年ぶり。海月さんと桃子さんにとっては初めてのCDリリースとなります。皆さんくらいの世代の中には、すでにCDを購入したことがないという方もいたりしますが、そもそもCD自体への思い入れってどれくらいありますか?

椰子:私自身、CDを買おうってあまり思ったことがないんですけど、でも配信と違って形として残るものがみんなの手に届くっていうのは、やっぱり嬉しくて。

城戸:私もどちらかというと配信で聴く派ではあるんですけど、好きなアーティストさんとか気になったアーティストさんに関してはCDを買うこともあります。私がNUANCEに加入してからは、一度ネット限定でCD(2024年1月発売のミニアルバム『filer』)を出したことがあったものの、店頭に並ぶCDは今回が初めてなので、NUANCEのことや私のことを知らない人にも届く可能性が増えると思うんです。実際ショップにCDが並んでいるのを見て、すごくワクワクしました。

――店頭販売するということは、CDショップでイベントもできるわけですものね。僕もリリース日の4月8日にタワーレコード新宿店で行われたリリースイベントを拝見しましたが、ミニライブだけでなくCD同様にコントまで披露していて驚きました。

蓮水:しかも、CDに入っているのとは違うネタっていう(笑)。

汐崎:私、8年ぐらい前に新宿のタワーレコードさんでアイドルさんのリリイベを観たことがあって、いつか私もここでイベントをやりたいなと思っていた場所でもあったんです8年ぐらいかけてようやく夢を実現できたことが嬉しくて。しかも、ライブだけじゃなくてコントまでやることで爪痕を残すことができたのも、なんだかNUANCEらしくていいなと思いましたし。コントは覚えたりするのが大変ではあったけど、あの場でやれてよかったなって思います。

蓮水:でも、何も知らずに通りがかった人はびっくりしただろうね(笑)。

海月:初リリイベがコントから始まりましたけど、桃子ちゃんに関してはデビューが大喜利でしたからね(笑)。

椰子:そうなんですよ! だから、「NUANCEってそういうものなんだ」と思ってました(笑)。ほかのアイドルさんとは違うのかもしれないけど、それがNUANCEらしさとして、NUANCEをまだ知らない人に届いていたら嬉しいです。

――収録された楽曲についても聞かせてください。今回はすでに配信リリースされていたものに、ライブで披露済みながらも初音源化となる楽曲を加えた5曲のオリジナル曲が用意されていますが、どれも今のNUANCEを表す上で大切な楽曲だと思います。まずは、オープニングを飾る「sign」について。

蓮水:「sign」はMiyuMiyuさんというバンドのカバーです。MiyuMiyuさんの曲はこれまでもNUANCEでいくつかカバーしているんですけど、中でも「sign」は歌うのがすごく難しくて、NUANCEとしてこの曲をカバーするにはまだ技術が足りないと言われ続けていたんです。なので、今回やっとこの曲を歌うことができて、すごく嬉しい。

――この曲は昨年4月のKT Zepp Yokohamaでのワンマンライブで、最後に披露されていました。

蓮水:あの時が初披露だったんですが、まだまだ拙い仕上がりで。でも、今の体制のNUANCEがどんどん成長していくことで、ちゃんと歌えるようになった気がしています。

汐崎:1年前と比べると歌唱面で結構自信が付いてきたので、ちゃんとレコーディングするならこのタイミングだったんだなと、私も思います。きっと、Zeppでのライブを観ていた人に「今のNUANCE、成長したな」と感じてもらうには、すごくわかりやすい1曲なのかな。実はこの曲、私の父がめっちゃ好きで、珍しく「すごく良かったよ」と言ってくれて、私的にはその印象も強いです(笑)。

――「トロピカルサマー」は昨年6月に配信されたものを、アルバム用にミックスし直しています。この曲は桃子さんが歌い出しを担当していますね。

椰子:初めて歌い出しを任された曲です。緊張とプレッシャーがハンパなかったので、実は最初の頃はあんまり好きな曲じゃなかったんですよ(笑)。でも、披露してからどれぐらい経ってからだろう……それこそさっきの余裕のお話にも繋がるんですけど、どんどん自信を持って歌えるようになってきて、今では胸を張って大好きと言えるぐらい大切な1曲になりました。

――確かに、ここ最近のライブを観ていると、桃子さんが自信を持って歌っている姿が印象的で。以前は、ご自身のパートに入る前に若干緊張した様子を見せていましたものね。

椰子:そうなんですよ。ちょっと深呼吸してから歌うみたいな。「sign」の話に戻っちゃうんですけど、最近YouTubeでZepp公演の動画をフル公開していて、「sign」の初披露をみんなに観られちゃうタイミングにこのCDが出たじゃないですか(笑)。1年前の「sign」を観られることは恥ずかしさもあるんですけど、「sign」は最近ちょくちょくライブでもやり始めているから、「どんどん安定してきたね。ちゃんと歌えるようになったね」と褒めてもらうことが増えたので、結果的には嬉しいです(笑)。

城戸:「トロピカルサマー」はこの体制で初めてMVを撮った曲なんですよ。なので、情景描写を映像を通じてお客さんとも共有できるし、撮影の時の楽しい思い出とかもいっぱいあって。あと、今までNUANCEってキラキラ明るくて、歌詞に夏の要素が入った“これぞザ・夏曲”みたいものがほとんどなかったので、「トロピカルサマー」みたいに夏フェスでやりたい曲ができたことがすごく嬉しかったです。そんな中、私が歌うパートの歌詞は特にそうなんですけど、ちょっと寂しい雰囲気も感じさせるところがNUANCEっぽいなという。ただ明るい一辺倒じゃない、NUANCEらしい夏曲をこの体制で出せたことを嬉しく思っています。

【MV】NUANCE 「トロピカルサマー」

――「カレンダーボーイ」は昨年12月に配信リリースされた楽曲ですが、ライブでは2024年夏頃から披露されています。

蓮水:まだ5人編成だった頃に初披露したので、今の4人になってから歌割りも変わったよね。

城戸:実は、最初はこの曲のノリになかなか入り込めなくて、どう取り組めばいいかわからなかったんですけど、何度も披露していくうちに掴めてきて。ファンの皆さんも「カレンダーボーイ」が始まると嬉しそうにしてくれているのが伝わってくるから、私もライブで歌うたびにどんどん嬉しさが増していって、気付いたら体に染み付いていた気がします。

蓮水:「カレンダーボーイ」って、私は“思い出”の曲だと思っていて。「毎日一緒に過ごそう」みたいなことが大きなテーマとしてあるんですけど、この曲をライブで披露することによってみんなとの日々の思い出がどんどん増えていくので、歌えば歌うほど曲に対する思いが深まっています。

――歌詞の中には12カ月それぞれのイベントごとが取り上げられているので、それを聴き手とNUANCEとの思い出を重ねることで、より大切さが増すでしょうし。続いての「Mellow Dancer」は2024年7月、桃子さん加入後に初めて配信された楽曲です。

椰子:最初からすごく難しい曲だったんでした(笑)。

――これもカバー曲で、オリジナルは男性デュオのGOOD LOVIN'が2003年に発表しています。当時、とんでもなく難しい曲を与えられたなと思っていましたが、披露を重ねるにつれてどんどん自分たちのものにしていった、ライブで化けた1曲ではないかなと。特に最近は、恭美さんだけでなく初音さんもこの曲で頭角を現し始めていて、2人の歌での絡みが毎回楽しみなんです。

汐崎:嬉しい。ありがとうございます! 確かに「Mellow Dancer」を通じて、歌に自信が付いてきたのはあるかもしれないです。おっしゃるように、この曲は歌うことがすごく難しくて、今でも難しいと感じる瞬間もあるんですけど、何度も歌っていくうちに「曲の中で遊んでいいんだ」とどんどん思えるようになってきました。それこそアレンジじゃないですけど、ライブのたびに「ここの歌い方を変えてみよう」とかそういう挑戦を発見できた曲でもあるんです。

――なるほど。

汐崎:今回、このミニアルバム用に今の4人で録り直しているんですけど、最後の恭美との掛け合いをレコーディングしたのがライブでもその掛け合いし始めてからわりとすぐくらいのことで。なので、最後の伸ばす長さとかも、最近ではライブのたびにちょっとずつ変えているので、この『hole』のバージョンは『hole』でしか聴けない「Mellow Dancer」になっているんじゃないかと思います。

――ああいう終盤のフェイクって瞬発力も必要だし、やり慣れていないと難しいじゃないですか。

汐崎:めちゃくちゃ難しいです。だから、毎回「恭美すごいな。カッコいい!」と思ってます。

蓮水:ありがとう(笑)。「Mellow Dancer」に関しては、以前からプロデューサーに「この曲はいずれカバーしよう」と言われていた曲でもあって。ただ、原曲を聴いた時点で「いやいや、これは無理でしょ。難しすぎる!」と思っていたんですよ。だから、いざライブで披露し始めた頃も、アイドル現場で歌うとなったら親しみにくい人もいるんじゃないかと思ったし、もうちょっとアイドルっぽく歌ったほうがいいのか、それとも原曲みたいにソウルフルに振り切ったほうがいいのか、いろんな悩みを抱えた曲だったんです。ただ、何度も披露していくうちに、メンバーがみんな歌い方に関していろいろ工夫しながら練習するようになって、次第に“NUANCEらしい「Mellow Dancer」”の土台ができあがったんです。その上で、今はNUANCEらしく自由にできているし、最近はお客さんも一緒に歌ってくれたりとか、そういう新しい楽しみ方を発見できたので、今となっては「挑戦してみてよかったな」と思える大切な1曲になりました。

――この曲が加わったことで、「sekisyo」とか「ミライサーカス」のような従来のNUANCEらしい曲がより映えるようになりましたし。

蓮水:そうですね、ある意味対照的な曲調ですから。実はこの曲、プロデューサーが『hole』に入れるかどうか結構悩んだそうで、もともとは入らない予定だったんですよ。でも、現体制というか今の4人でやっている新しい曲たちはなるべく全部CDに入れたいなと思ったので、「今の体制で再録して収録したいです!」と要望を出して、無事収録されることになったんです。

――そうだったんですね。

蓮水:カバーとはいえ、やっぱり桃子が加入してから最初に発表した曲なので、特に大切にしたくて。

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