Number_i『3XL』全曲解説 込められた“デカすぎる愛”から紐解く、平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太がスターである理由
大勢から注目される人のことを“スター”と呼ぶのは言い得て妙だと常々思う。輝く存在を表す言葉として相応しいうえに、星は見えても手には届かないものだからだ。
Number_iは間違いなくスターであると同時に、ファンとの距離を“i=愛”で埋めてきたグループだろう。昨年9月にスキットを含むコンセプチュアルなアルバムを発表してから、約2カ月半後にはそれに新曲を追加したデラックス盤『No.Ⅱ (Deluxe)』をリリース。今年1月には、各メンバーがナビゲートするプレイリストアルバム『DAiLY&SUN』、『DAiLY&LOVE』、『DAiLY&CHILL』を配信するなど、ほかの誰にもできない、丹精込めたとびきりのプレゼントをリスナー、そしてiLYs(ファンの呼称)に届け続けてきた。
4月27日に発売された3rdシングル『3XL』について言えるのは、今回もそうした3人の大きな――大きすぎると言ってもいいかもしれない――愛が詰まった作品であること。すでに配信されている「3XL」と「LAVALAVA」に加え、平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太のそれぞれがプロデュースした新曲3曲が収録された本作を紐解いていく。
3XL
1月29日に配信リリースされた、表題曲としてはグループ初のラブソング。プロデュースした平野曰く映像から先に思い浮かんだ曲(※1)で、公開されたMVは、Ms.B、Ms.Helper、Ms.Killerと名付けられた女性たちと3人の恋愛模様が描かれている。〈君と俺まるでさ免疫と病原〉のフレーズが示すように、おそらくは結ばれない恋の歌でありながら、〈ライブの最前列/君が俺の音に乗ってる〉〈また待ってる最前のフロア〉というリリックからはファンソングとしての側面も感じさせる。ピアノ、ベース、ギター、ストリングスといったさまざまな音色が飛び交うサウンドは胸の高鳴りを表すようで、カラフルな音像のなかで3人も多彩なフロウを繰り出している。一方で、〈デカすぎんぜこの愛は〉からの親しみやすいメロディをざらっとした歌声で紡ぐなど、完全にポップに振り切らないところがNumber_iらしい。
LAVALAVA
昨年12月に発表された『No.Ⅱ (Deluxe)』に追加収録されたナンバー。2024年リリースの『No.Ⅰ (Deluxe)』にて同じ位置づけの「HIRAKEGOMA」がそうだったように、「LAVALAVA」もグループの未来を見つめるような一曲だ。力強いビートと幻想的なシンセサウンドが融合し、ネオンきらめく夜の〈高速道路〉を駆け抜けていくかのような疾走感に満ちている。歌詞の軸になっているのはファンとの関係性だろう。乗り込んでくれた人への想いを胸に刻みながら、周りは気にせず走り抜けていく――。そんなふうに、支えてくれる人を大切にしながら、これからも自分たちらしく進み続けていくという彼らの意志を感じさせる。この曲と同じく神宮寺がプロデュースを手掛けた「ATAMI」の〈あの日の後悔/すべてが青ZONE〉とのリリックの繋がりにも注目してほしい。
Supa Bro
今作のカップリング3曲は、メンバーそれぞれがプロデュースを担当。「3XL」「LAVALAVA」同様に作編曲はグループとMONJOE(DATS)、SHUN(FIVE NEW OLD)、作詞はプロデュースを手掛けたメンバーとPecori(ODD Foot Works)による共作となっている。神宮寺がプロデュースを手掛けた「Supa Bro」は、深いベースと乾いたドラムが心地よいグルーヴを生み出す一曲。〈電波塔で待つ君からのCallに/胸躍り出す/ときめきを忘れた5Gの時代に/腰を揺らす〉と歌われているように、想いを寄せる相手に酔いしれる感情が描かれている。3度繰り返されるコーラスのメイン部分は岸、神宮寺、平野の順で歌われており、三者三様の歌声を味わえるほか、レイドバック気味な歌い方も楽曲のグルーヴをより際立たせるとともに、どこか色気を漂わせている。
サイケSHOCK
岸によるプロデュース楽曲。ギターのアルペジオに乗せた岸のヴィンテージ感のある歌声で幕を開け、穏やかなトーンで進んでいくのかと思いきや、続く〈狂ったBunny〉からパンチのあるバンドサウンドが加わって表情が一変する。ロック色の強いアレンジと、それに呼応する3人の荒々しいボーカルは、抑えきれない恋の衝動をそのまま音に焼き付けたかのようだ。昨年、バンドの生演奏を取り入れた全国ツアーを完走したNumber_i。バンドと共鳴したツアーを経た今だからこそ到達した仕上がりであり、その手応えが楽曲全体からも伝わってくる。
インフル
シングルのラストを飾る「インフル」は平野によるプロデュースであり、同じく彼が手掛けた「3XL」と地続きの一曲と言えるだろう。約20秒にわたる神聖さを帯びたイントロののち、神宮寺のなめらかなフロウを合図に3人のマイクリレーがノンストップで展開される。〈チャリ〉や〈ペンダント〉は「3XL」のMVにも登場するアイテム。映像と楽曲のリンクを感じさせながら、浮遊感のあるサウンドに乗せて〈最後〉という言葉が繰り返される。切ない恋の終わりを歌うこの曲が、さまざまな愛が描かれた『3XL』という物語のエンドロールを担うのだ。
2月に世界最大手のタレントエージェンシーであるWME(William Morris Endeavor)と契約を発表したNumber_i。先日行われた『to HEROes ~TOBE 3rd Super Live~』愛知公演の取材会でも話があったように、これから海外での活動も本格化していくことが予想される。だが、彼らが日本での活動、日本のリスナー/iLYsのことを大切に思う気持ちは変わらないだろう。そのことは、本シングルを通しても感じられた。遠くで輝きながら、近くにいることを感じさせるように、私たちにたしかに愛を届けてくれる。そんな彼らの在り方こそが、Number_iがスターである理由なのだ。
※1:https://www.oricon.co.jp/news/2433292/full/