INI、ROIROM、JO1……アーティストの物語と楽曲の相乗効果 ボーイズグループによるチャートアクションの変化
Viral Chart Focus
Spotifyの「DailyViralSongs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「SpotifyTopSongs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの4月22日付のTOP10は以下の通り。
1位:INI「All 4 U」
2位:27AM「PASSO」
3位:ROIROM「DRESS CODE」
4位:BMFUNK2341「MONTAGEM NATTO GAKKO 2」
5位:vinc3nt「bad love」
6位:JAYCORPSE*「I♡WAKA (feat. TOFU, HARKA, 7, ENEL, T.i.G skysea & MIKADO)」
7位:Shimuda & SlowlyDying「BAD ENDING FUNK」
8位:T.O.P「Studio54」
9位:Miraidempa「Unslept」
10位:JO1「EIEN」
今週の首位を奪取したのは、INIの「All 4 U」である。先週1位を独占したBMFUNK2341「MONTAGEM NATTO GAKKO 2」や3位のShimuda & SlowlyDying「BAD ENDING FUNK」といったインターネット上のミーム的な中毒性を持つPhonk勢の勢いを、強固なファンダムを持つ日本国内のボーイズグループが鮮やかに塗り替える形となった。
先週4月15日付のチャートを振り返れば、メンバーの髙塚大夢がHIROMU名義でリリースしたソロ楽曲「またどこかで」が4位にランクインしてメンバー個人の表現力に注目が集まっていたが、その勢いはグループ全体へと波及し、最新曲「All 4 U」が頂点へと昇り詰めた。洗練されたハウスのニュアンスを取り入れたトラックに、11人の個性が力強く重なり合う構成は、J-POPの枠組みを超えた音楽的な豊かさを感じさせる。髙塚のソロ曲に顕著だった内省の描き方が、グループ曲では幸福感へと昇華され、それがバイラルという形で拡散された結果といえるだろう。INIは今、個のスキルとグループの結束力の双方がチャートにおける強力な武器となっている。
3位にランクインしたのは、ROIROMの「DRESS CODE」である。先週の5位からさらに順位を上げ、TOP3圏内に食い込んできた。この上昇気流の決定的な要因のひとつは、彼らがついに発表した正式デビュー日の決定だろう。「DRESS CODE」は、彼らがこれまでプレデビュー期間を通じて温めてきた、いわば自らのアイデンティティを象徴する一曲だ。デビュー日が具体化したことで、ファンの間には、2人を最高の形で祝いたいという祝祭的なムードが広がり、それがストリーミングやSNSでのシェア加速へと直結したものと考察する。楽曲自体も、焦燥感と期待感が入り混じるような複雑さも感じられるもので、デビューを目前に控えた彼らの現在地をリアルに投影している。バイラルチャートは往々にしてアーティストの物語に反応する。ROIROMが歩んできたこれまでの道のりと、これから始まる未来。その結節点として「DRESS CODE」が多くのリスナーのタイムラインを彩っている事実は、彼らが次世代のスター候補として完全に見つかったことを意味している。
そして、変わらぬ存在感を示しているのがJO1の「EIEN」である。先週の7位からはやや順位を下げたものの、移り変わりの激しいバイラルチャートでもトップ10を維持し続けているという事実は、JO1のファンダムの強固さを示している。「EIEN」は、JO1がドーム公演を見据え、ファンとの絆を再確認するために放たれたアンセムとしての側面を持つ。ドームという大きなステージに向けて、過去の軌跡を振り返り、未来への約束を歌うこの曲は、JAM(JO1ファンの総称)にとっての精神的支柱となっているのかもしれない。ランキングの数字以上に、この曲がリスナーの日常に深く根を張っていることが、長期的なランクインの理由である。
今週のバイラルチャート上位を占めたINI、ROIROM、JO1。これら3グループに共通しているのは、ランキングの結果が単なる流行だけではなく、彼らが現在進行形で紡いでいる物語と密接にリンクしている点である。数年前までのバイラルチャートは、TikTokなどの縦型動画プラットフォームを発信源とするクリエイターや、突発的なミームが主役であった。しかし、現在の日本のバイラルチャートにおいては、ファンダムが応援するアーティストの物語を、いかに世間に提示するかという拡散競争の場というような意味も持っているのではないだろうか。INIの多様な音楽性、ROIROMのデビューへの道のり、JO1のあらためての決意。それらがバイラルという現象を通して可視化され、ファンダム外のリスナーを巻き込んでいくのだ。
特にROIROMのような正式デビュー前のアーティストが、すでに確固たるファンダムを築いたグループと肩を並べて上位にランクインする様は、今の音楽シーンのダイナミズムを象徴している。彼らの音楽がどのようにシェアされ、どのような物語として受容されていくのか、今後も注視していきたい。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2026-04-22