Official髭男dism、Vaundy、Creepy Nuts、緑黄色社会……2026春ドラマ、書き下ろし主題歌が見せる景色
4月より春ドラマの放送が続々と開始し、それぞれの物語を彩る主題歌にも注目が集まっている。本稿では今期のドラマ主題歌から4曲を取り上げ、作品との親和性を紐解いていく。
車いす同士が激しくぶつかり合う過激さから“マーダーボール”(殺人球技)とも呼ばれる車いすラグビーを題材に、人間同士の衝突と再生を描くドラマ『GIFT』(TBS系)。主題歌は、Official髭男dismの「スターダスト」だ。天才ゆえに悪意なく人を傷つけてしまう変わり者の宇宙物理学者が、かつての栄光を失った弱小チーム“ブルズ”に出会い、日本一を目指してチームの課題に向き合っていく本作。〈ぶつけ合ったとこから火花が散った 必要だったんだ 僕には あなたが〉というフレーズからは、登場人物たちが身も心も本気でぶつかり合いながら成長していく姿が想起される。そして、楽曲全体を通して感じられるのは、宇宙空間を漂う星屑たち=「スターダスト」が、再び輝きを取り戻そうとするような渇望だ。激しい衝突の先に生まれる希望の光を、スタジアムロック調の楽曲が力強く描き出している。
高校生たちが宇宙食開発という大きな夢に挑戦した実話をもとに、新米教師と生徒たちの軌跡を描く『サバ缶、宇宙へ行く』(フジテレビ系)。主題歌はVaundyの「イデアが溢れて眠れない」で、彼は「アイデアの輝きは一瞬で、弾けるような、閃光を捉えるような、難しいことだとも感じてます」(※1)とコメントしている。同曲は、そんなアイデアの輝きを表したようなきらきらとしたサウンドが印象的だ。リズミカルなメロディに加え、子どもたちの無垢な歌声が重なることで、小さな発想がやがて大きな夢へと広がっていく高揚感が描き出されている。未来への期待が詰まったこの楽曲が、ドラマの今後の展開を盛り上げてくれそうだ。
『時すでにおスシ!?』(TBS系)は、息子の巣立ちを機に、3カ月で鮨職人を目指す鮨アカデミーで第2の人生を歩み始める女性を描く物語。主題歌であるCreepy Nutsの「Fright」は、新しい道へと踏み出す主人公へのエールのような一曲だ。R-指定が「新たなスタートを切る時はいつも恐怖と隣り合わせです」(※2)とコメントしているように、「Fright」では未知なる挑戦を前にしたリアルな心情が綴られている。しかし、〈なぁフライトの綴りはL R?〉〈俺には両方がよく似合う 左右の羽が開く〉という自問自答にも似たリリックが象徴するのは、いつだって人は飛び立てるということ。ジャージークラブの力強いビートと相まって、再出発の一歩を後押しする楽曲に仕上がっている。
名作文学とミステリーが交錯するドラマ『月夜行路 ―答えは名作の中に―』(日本テレビ系)の主題歌は、緑黄色社会の「章」。物語は、文学オタクでバーのママを務める野宮ルナ(波瑠)と、家庭に居場所を失いつつある専業主婦・沢辻涼子(麻生久美子)によって展開されていく。「章」は涼子の心情を描くような、自分の人生を見失いかけた人たちに寄り添う一曲だ。軽やかなメロディが後回しにしてきた本心をそっと呼び起こすように響き、〈月はまるで道標ね〉という歌詞は涼子を導くルナの存在とも重なる。つい誰かのために生きてしまい、自分のことを蔑ろにしてしまいがちな人々を優しく包み込むようなポップソングであり、自分の人生を生き直すという静かな決意を示すような楽曲だ。
登場人物たちの葛藤や期待といった心情を描き、人生の転換点に寄り添うこれらの楽曲。ドラマの世界観を投影するとともに、聴く者への応援歌としても響くのではないだろうか。楽曲との化学反応にも注目しながら、この春のドラマを楽しみたい。
※1:https://www.fujitv.co.jp/sabauchu/news/news09.html
※2:https://realsound.jp/2026/03/post-2345296.html