Mrs. GREEN APPLE、Creepy Nuts、Vaundy、ME:I、乃紫、STUTSと大貫妙子……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はMrs. GREEN APPLE「風と町」、Creepy Nuts「Fright」、Vaundy「飛ぶ時」、ME:I「Update ME」、乃紫「バグった女神」、STUTSと大貫妙子「おはよう」の6作品をピックアップした。(編集部)

Mrs. GREEN APPLE「風と町」

Wind and Town

 町の風景は変わり続けるが、風はいつの時代も同じように吹いている。それぞれの運命に対峙し、翻弄される人々もまた、変わることのない風を感じながら、自分自身の目標や夢に向かって歩き続ける。フェーズ3に移行して2曲目となるMrs. GREEN APPLEの新曲「風と町」は、連続テレビ小説『風薫る』(NHK総合)主題歌。アコギやフィドルを取り入れたオーガニックな音像、優しさと懐かしさがにじみ出るメロディライン、そして、〈思い返す 大切な日々を/風はただ知っている〉という歌詞が一つになった”ミセス流のフォークソング”と呼びたくなる楽曲だ。市井の人々に寄り添いながら、生きるとは? 人生とは? という大きなテーマへと結びつくこの歌は、時代や流行を超えたスタンダードになるだろう。(森)

Creepy Nuts「Fright」

Fright

 TVドラマ『時すでにおスシ!?』(TBS系)主題歌となる書き下ろし新曲。子育てを卒業した主人公の次なる挑戦を描く物語である。人生はいつだって今がスタートライン、というのは力強い正論だが、あと何度飛び立てばいいの? なんでこれ以上頑張らなきゃいけないの? と疲れてしまうのも人間だ。励ましよりも弱音を吐きがちな本音を綴るR-指定のリリックがかなりエモーショナル。初の北米ワンマンツアーを控えたタイミングで作られた曲なので、いくら世界を踊らせても次なる山が見えてくる、Creepy Nutsの現在地を重ねているのだろう。控えめだったビートが結果的にジャージークラブになっていくのも、自分たちを鼓舞する約束のように響く。(石井)

Vaundy「飛ぶ時」

飛ぶ時

 不穏なストリングスの響きから一転、鮮烈な疾走感とカオスな雰囲気をたたえたバウンドサウンドへと移行し、歌とギターとパーカッションが絡み合いながら楽曲は進行。サビに向けて高揚感が上がったと思いきや、〈この不甲斐ない/僕の言葉も涙も全部〉というフレーズとともに一気に飛翔する。Vaundyの新曲「飛ぶ時」は、TVアニメ『黄金のツガイ』(TOKYO MXほか)の怒涛のストーリー展開とリンクしたアッパーチューン。エキゾチックかつ現代的な音像とアグレッシブな歌唱のコントラストを含め、彼のポップで独創的なプロダクションの妙がしっかりと発揮されている。yamaが歌う同アニメのEDテーマ「飛ぼうよ」の制作もVaundyが担当。OP曲、ED曲の“ツガイ感”もそうだが、音楽をデザインするセンスはやはり突出している。(森)

ME:I「Update ME」

ME:I (ミーアイ) ⊹ 'Update ME'

 ヘアケアブランド「Linon」タイアップソング。繰り返される〈Oh Ring ring-on!〉のコーラスがどれもばっちり「Linon」に聴こえるのは、作詞を手がけた柿沼雅美の腕の見せどころ。ユーモラスなシンセベースと強いキックが引っ張っていくダンスチューンで、チアリーディング風のポップスでありながら、テクノポップに近いレトロ感が耳をくすぐる、絶妙の匙加減が楽しめる。シンプルかつ明快、あえてワントーンで統一した展開が潔く、これはME:Iの新しいイメージを決定づけるかもしれない。なお、コンセプトムービーはあいにくの雨模様から始まるが、これはもちろん、メンバーたちの雨にも負けないさらツヤストレートをいっそう輝かせるためだ。ナイスタイアップ。(石井)

乃紫「バグった女神」

バグった女神 - Studio Session Live

 一瞬のブレスの直後に聴こえてきたのは〈ビルズ・ビルズ・ビルズ…〉というキャッチーなコーラスと軽快なギターカッティング。「バグった女神」は16ビートのしなやかなグルーヴ、洗練といなたさを内包した旋律、フュージョン由来のギターソロなど絶妙なバランスで融合させたネオシティポップと称すべき楽曲だ。〈「君は東京に依存している」〉というセリフのような歌詞も印象的。「ここには何でもあるが、欲しいものは何にもない」は東京を表すクリシェだが、この言葉は今も生きていて、だからこそ我々はこの街に惹き付けられてしまうのだろう。ビートとメロディとライムがあまりにも気持ちよくて何度もリピートしたくなる「バグった女神」は、東京の在り方と本当によく似ている。(森)

STUTSと大貫妙子「おはよう」

STUTSと大貫妙子 - おはよう (Official Audio)

 HIPHOPのトラックメイカー/プロデューサーとポップスの作曲家にそこまで差異がない時代ではあるが、前者の中でも当代きっての売れっ子であるSTUTSが、たとえるなら大滝詠一や山下達郎、星野源に連なるソングライターであることを証明する一曲が生まれた。『あさイチ』(NHK総合)新テーマソングとなる書き下ろしで、シンガーに大貫妙子を迎えたのは、彼女の歌を昔から聴いてきたSTUTSの強い希望だったという。HIPHOPのマナーがどうと語る必要のない、老若男女全員に訪れる朝を少しでも素敵なものにするための普遍的ポップミュージック。派手なフックよりもささやかな愛おしさを重視した、武嶋聡によるホーンアレンジが素晴らしい。(石井)

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