MON7A、『今日好き』という恋愛から仲間へ向けた愛情に 「僕のかわい子ちゃん」にギュッと詰まった“もんた”の想い
思い出を抽象化するMON7Aの優れたソングライティング力
と、ここまで旅の思い出を振り返ってきておいて恐縮ながら、この楽曲でその一点のみにフォーカスするのは、いささかもったいないと感じられる。第一に、筆者はMON7A本人でないため断言はできないものの、ひなとはその後、よき“戦友”の間柄になっているのは間違いないはず。ひな目線でいえば、ABEMAでの姉妹番組『すーぱーのびしろたいむ by 今日、好きになりました。』で今年1月に放送されたコスプレ企画にて「もんたには売れてほしいから」と、友人として最大のエールをさりげなく送っていたし、今回のジャケットの文字も、MON7Aたっての願いで彼女に書いてもらったもの。
もちろん、“もんひな”の残した足跡は、本楽曲を味わう上でしっかりと補助線的な役割を果たしてくれる(それに、この補助線はかなり太いと思う)。だが、それ以上に大切なのが、MON7Aが持つソングライティング力を、しっかりと感じ取ることではないだろうか。
たとえば1コーラス目でいえば、歌い出しに〈教えて 好きな映画とか〉とある一方、あくまでこれは〈白いシャツの中に 閉じ込めた想い〉。少なくとも放送で確認した限りでは、それ以前にこの質問をするシーンは見当たらず。つまり、MON7Aはこの質問をしたいという気持ちより、彼女の聞き役を全うすることを尊重したわけである(し、この曲を旅のなかで披露した直後、いざ教えてもらった好きな映画はベタに『タイタニック』だったことも補足しておく)。
思い出を歌詞に描きながら、それを抽象化する力。そして抽象化をすることで、あくまで自身の記憶に多くの人が感情を重ねられる歌へと昇華する力。MON7Aがシンガーソングライターとして秀でているのは、この部分である。
特にラップのようなリリックの書き方が一般化した現代において、ハロンで乗った赤いバスやボートを固有名詞として歌詞にそのまま登場させるのではなく、そこで感じ、胸にしまっていた気持ちを歌で届ける行為の尊さ。それでいて、2コーラス目ではラップ調に語尾を整えつつ、一時期にSNSを賑わせていた〈繰り返す鼓動に 熱は弓を引いてた〉という比喩表現なども。抑えていた気持ちがはち切れそうになる感情描写として、いまにもミシミシと音が聞こえてきそうな、巧みな言葉選びだと思う。
ほかにも語り出したらキリがないのだが、〈眠らない星の上〉〈君と僕は波を前にして〉〈広い世界で二人/きりの旅の先〉と、登場するシチュエーションが限定的かつ、空想的ながら脳内でビジュアライズしやすい設定のため、どうしてかシンプルに伝わってくる情景描写。さらには、1コーラス目が現在から考えて過去軸、2コーラス目が現在軸の歌詞となっているのを前提に、大サビではその順番が現在から過去へと逆転する形で並べられていることにも注目したい。
あえてこう書くのだが、“邪推”できる理由はいくつもある。が、ひとえに伝わってくるのはやはり、“僕のかわい子ちゃん”に夢中になっているということ。それは未練というよりもむしろ、よき思い出に浸ってしまうと言いたくなるような……なんとも情緒深い構成である。その意味で〈二人で 二人でいようよ/まだ〉という歌詞もまた、“あの思い出のなかに、ふたりだけがいまも住んでいる”などと言い換えられるかもしれない。
“もんひなの亡霊”として、ふたりの影を追いかけたくなる気持ちはよくわかる。ただ、その感情と同じくらいの強さで、この楽曲は恋愛を超えた、戦友への愛情。たった一瞬の出来事が、一生の宝物になるーー“かわい子ちゃん”に向けた、これからずっと大切にしていける“ラブソング”なのだと主張していきたい。MON7Aは、こうした想いを巧みに描けるシンガーソングライターなのだ。
この楽曲、彼の参加した『ハロン編』フレンドこと“ハフレ”には刺さっただろうか。旅のなかでも触れられていた通り、ひなが日常使いするApple Music……ではなく、Amazon Musicのプレイリストには入れてもらえただろうか。そして『今日好き』メンバーと同じく、この曲を聴き続けるだろう、あなたの心には? 今回のシングルリリースで、自身の大切な記憶と感情を永遠の形に残してくれた、MON7A(=もんた)。これから「僕のかわい子ちゃん」を聴いて、何度だって彼の感情に触れてみたいと思う。