King & Princeが愛される理由を見た――徹底されたエンターテインメントショー、圧倒的で先鋭的な挑戦の足跡
赤を基調にクラシカルな“シアター”を思わせる装飾があしらわれたメインステージ。開演時間になり照明が落とされると、映画のスタジオを舞台にしたオープニングムービーが展開された。ステージの両サイドからカーテンに包まれた巨大なタワーが動き出し、レーザーライトが会場全体を照らす。高さ15mにもおよぶタワーの幕が下りると、上部に永瀬と髙橋が姿を現し、客席から盛大な歓声が上がった。
1曲目は「Stereo Love」だ。タワーの上部をくるくるとまわり、会場全体を見渡すふたり。まさにステレオのように両サイドから、2階席、3階席の観客に近づいて、徐々に会場の熱気を上げていく。後方のサブステージに降り立つと、ファンクなサウンドに合わせ、ふたりでポーズを決めつつ花道を歩き出し、センターステージへ。一瞬にして衣装を変え、アルバムのリード曲「Theater」を披露。メインステージではふたりの個性が光るダンスとカラフルなライティング、炎の特効で華やかに彩り、一気に東京ドームの温度を上げた。
熱気が冷めやらぬなか、「I know」「Beating Hearts」などダンスが映える楽曲が続いたかと思えば、不動の人気曲「koi-wazurai」では喜びの歓声が上がり、客席もサビの振り付けで盛り上げていく。「&LOVE」「Don't Grow Up」とテンションの高い楽曲を続け、「みんなと作るライブです!」と客席に声をかけながら、ダンスのレクチャーも交え、一体感を作り上げた。会場が無線制御ペンライトのライティング、そしてメインステージのセットがカラフルに彩られると、「What We Got 〜奇跡はきみと〜」へ。ダンスやボーカルはもちろんのこと、ところどころに差し込まれるふたりのチャーミングなやり取りや表情も相まって、会場中がハッピーな空気に包まれた。
美しいワンシーンを印象付けたのは、髙橋が作詞作曲を担当した「Sunset」。さまざまな夕暮れの空を背景に、歌詞がモニターに次々映し出される。そんななか、言葉を大切に紡ぐように歌うふたりの声が会場を満たしていった。しっとりとした空気は、永瀬のソロ「Darling」へと引き継がれる。星空を模したライティングは、歌詞の世界に入り込んだようにロマンチックで幻想的だ。甘いボーカルとダンサーとのコンビネーションダンスで優しいラブソングの世界を描いていった。
「Marble」では、絵本のなかの世界のような、あたたかいテイストでパフォーマンス。最後には投げキッスで退場し、会場をさらに夢中にさせる。モニターには、おなじみとなった城ノ内くんとたけやんのショートストーリーが流され、シュールでゆるゆるの空気感のまま、ふたりが映像から飛び出すようにステージへ登場。原宿テイストとでもいわんばかりのキュートでカラフルなフロートに乗り、会場をまわりながら「LIFE is FUSHIGI」「Harajuku」を続けて披露した。
MCタイムも、ふたりの演じる城ノ内くんとたけやんのまま、ゆるやかにスタート。客席とコミュニケーションを取りながら交互に衣装をチェンジして、あらためて永瀬と髙橋としてMCを開始。昨年7月ぶりの東京ドームに「めちゃくちゃ楽しい」と笑顔を見せる。永瀬は、「koi-wazurai」のパフォーマンス中に、肩を揺らす振り付けの部分で髙橋に「めちゃくちゃ話しかけられた」という。何を話していたのかを尋ねると、髙橋はオリンピックの話をしていたと明かし、りくりゅうペアになぞらえ「“れんかいペア”、1000日を迎えましたから」と『ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック』になぞらえたトークで会場を沸かせた。
MC後には、スタンドマイクを取り出して新曲「Waltz for Lily」を初披露。Tiaraから大きな歓声が上がった。静かな熱を感じさせ、ファルセットを駆使した高音、ハーモニーといった歌唱力に加え、ユニゾンで力強さを増すボーカルとふたりの歌声の魅力が散りばめられた楽曲に、会場からは感嘆のため息が漏れ聞こえるほどだ。
ライブは後半ブロックへ。ふたりは「普段抱えている想いを爆発させられますか?」「みなさん、頂けますか?」「みなさんにこの曲を差し上げます!」と呼びかけると、Tiara待望の「希望の丘」がスタート。ペンライトが激しく揺れ、コール&レスポンスもばっちり揃って会場がひとつになる――。
花道やセンターステージを大きく使いレビューショーのような演出で魅せた「Amazing Romance」では、次々と笑顔で繰り出される愛の言葉に会場は熱狂。そんな熱を残したまま髙橋のソロ曲「this time」へ。センターステージに置かれたベッドには、髙橋が寝転ぶ。ファーのベストを身に着け、寝具をモチーフにしたキュートな小道具や軽やかでチルな空気感も漂わせた演出がユニークだ。おしゃれな自作曲のなかでもきらりと光るダンス力が秀逸だ。最後は「おやすみ」と会場に投げかけ、大歓声が巻き起こった。
その後もビートの際立つダンスナンバー「Bounce」「TraceTrace」と激しい楽曲をしっかり決めたかと思えば、キュートなアニメを導入に始まった「HEART」ではセンターステージに置かれた大きなハートの風船から白い衣装に身を包んだふたりが登場。ピンクや赤の風船が降り注ぐなか、King & Princeらしい甘く優しいラブソングで魅了し、次々と表情を変えていった。
「Super Duper Crazy」「ゴールデンアワー」などの名曲は、トロッコで披露。会場のTiaraたちと交流しながら再びメインステージに到着すると、「シンデレラガール」へと続く。自分たちを象徴する楽曲をストレートに表現し、Tiaraもシンガロングで彩った。キラキラの王子様然とした衣装からカジュアルな衣装に早替えすると「moooove!!」へと続き、二面性で魅せていく。さらに「Magic Touch」へと繋ぎ、縦横無尽に行き交う炎の特効と激しい赤い照明のなかで、細かいディティールが散りばめられたダンスをタフに繰り出し、それにあわせて東京ドームの温度は最高潮に達する。
ラストナンバーは「MEET CUTE」だ。「今日はありがとうございました。僕たちKing & PrinceとTiaraのみんなは、それぞれ出会ったタイミングが違います。でも、本当に大切な出会いが一つひとつ重なって、今僕たちはこのステージに立てています。みんなありがとう! 次で最後の曲です。みんなは、僕たちKing & Princeと初めて会った“あの日”のことを思い出して聴いてください」という言葉とともに贈られた。まぶしそうな笑顔で客席を見つめ歌声を響かせるふたりからは、客席にいるTiara一人ひとりと真摯に向き合う熱い想いが感じられる。ファンにとっても、永瀬と髙橋のふたりにとっても、すべての瞬間が印象的な映画のシーンのように彩られたライブ――。本編最後に、アイドルとファンの関係性を運命であり、そして唯一無二なものなのだと優しく肯定してくれたようだった。
アンコールでは、冒頭でも登場した巨大タワーに乗り込んだふたりが再登場。東京ドームの端から端まで巡り、Tiaraと笑顔を交わしながら「なにもの」「WOW」など、前向きな未来を示す楽曲でアンコールを飾り、ライブを締めくくった。
ジャズやスウィングの要素やアルバムのアートワーク、ステージセットに象徴されるクラシカルなエンターテインメントと、トレンドを押さえたうえでふたりの個性を際立たせる、先鋭的な表現が織り交ぜられた圧倒的なステージだった。アルバムのチャレンジをそのままライブに反映し、独自のコンセプトを表現し切るパフォーマンス力はさすが。彼らにしか成し得ない名曲たちはストレートに、懐かしい楽曲には新しい表情で魅せ、ファンサービスも欠かさない。King & Princeが愛される理由は、多方向から向けられるすべての視線、そしてすべてのファン一人ひとりとまっすぐに向き合う姿勢にあるのだ――。そんなことをあらためて認識させられたライブだった。