CrowsAliveが“ロックバンド”として伝えたいこと――『Bri=dge』に込めた想い、制作プロセスの変化を語る

 オルタナティブ・ロックバンド・CrowsAliveが、前作から約4年ぶりとなる2ndアルバム『Bri=dge』を完成させた。先行シングルで見せた爆発力はそのままに、今作ではより大きなステージで鳴り響く音を意識したシンプルかつ強靭なアンサンブルへと進化を遂げている。

 従来の制作スタイルからの変化やソングライター兼アーティストであるショーン・ボウとの刺激的な出会いは、彼らにどのような変化をもたらしたのだろうかーー。本インタビューでは、「自分たちが本当に鳴らしたい音」への確信、一音一音に込めた引き算の美学、“架け橋”となるアルバムタイトルに込めた想いまで、新生CrowsAliveの現在地を深く掘り下げる。(編集部)

コロナ禍を経て気づいた出会いの重み、KentaとIchiがゼロから挑んだ制作

――前回リアルサウンドでインタビューしたのは2022年夏と、まだまだコロナの余韻が残っていたタイミング(※1)でした。その後、2023年に入ってから状況が少しずつ上向きになっていくと同時に、CrowsAliveも自主企画『FeatherBloom』のスタートや『SAKAE SP-RING』への出演、Crystal Lakeやcoldrainの全国ツアーにオープニングアクトとして抜擢されるなど、活動が積極化していきます。改めてこの数年間は皆さんにとって、どんな期間でしたか?

Kenta:自分たちはインディーズで活動しているので、コロナによるダメージはだいぶ食らいましたし、周りにもバンドを辞めた仲間もたくさんいました。だからこそ、バンドはもちろん、ライブハウスに関わる方々やお客さんなど、出会える人たちの大切さをより強く感じながら活動と向き合っていました。

Ichi:その一方で、リリースペースがだいぶ落ちてしまったことは反省点なんですけど、前回のインタビュー以降、先輩方に大きな舞台に連れていってもらって、すごくいい経験ができました。それをまた、自分たちの自主企画だったり同年代の仲間とのツアーに反映することもできて。そういうところで成長できた期間だったなと思います。

YUTA:やっぱりライブができなかった期間が長かったので、コロナが明けてからは1本1本の大切さはもちろん、お客さんとの距離とか今まで普通だったことが当たり前じゃなかったんだと、いろいろ考えさせられました。

Kazuki:コロナが一旦落ち着いて、形としては一応今まで通りみたいな雰囲気にはなっていたけど、実際には全然そんなことないじゃないですか。ライブハウスの雰囲気やアーティストの活動の仕方とかやり方も全部違ってきた中で、わりと2022年あたりまで自分たちでやれることは全部やっていたつもりだったんですけど、あらためてZESTONE RECORDSや(ZESTONE RECORDS創設者、『Bri=dge』プロデューサーの)田口(隼人)さんにいろいろと手伝ってもらったり道を示してもらったりする中で、今までまったく知らなかった景色を見ることができました。

――Ichiさんがおっしゃるとおり、確かに楽曲の制作ペースは結構ゆったりしていたイメージがありますが、それは意識的にそうしていたんですか? それとも曲作りの取り組み方が変わって時間がかかってしまったんでしょうか。

Ichi:基本的にずっと曲作りはしていたんですけど、練って練って練りまくったのがデカいと思います。Kentaも僕も曲を作るので、以前はお互いデモを持ち寄ることも多かったんですけど、ここ最近は2人で集まってゼロから作ることも増えていて。

Kenta:今回のアルバムに関しては、2人一緒にゼロから作るやり方に完全に変わったからね。全部で40曲ぐらい作ったんですけど、田口さんのジャッジが結構厳しくて(笑)。「これ、めちゃくちゃ最高だ!」と思った曲が弾かれたりもしたし、それって今までにはなかったことだったので、なんだか新鮮で面白かったですね。お客さんからしたら少しでも早く新曲を聴きたいのかもしれないけど、俺たちとしてはやっぱり全員が納得するクオリティの高いものを届けたいので、全部必要な作業だったんだなと思います。

――1stアルバムは10数曲全体でひとつの世界を作るようなイメージなのに対し、今回は1曲1曲の強度や密度が増していて、それぞれが独立した世界を持っている。だけど、1枚の作品としてまとまった時には、またさらに違った印象を与えてくれる、そういう違いがあるなと思いました。

Kenta:そう言ってもらえて嬉しいです。

Kenta
Ichi

――YUTAさんやKazukiさんは、KentaさんとIchiさんから上がってくる曲に対して、以前と違った印象を受けましたか?

YUTA:以前は2人それぞれ違うタイプの曲を作ってくることが多かったんですけど、2人で一緒に作り始めてからはその2つの個性が混ざった曲だったり、各々の強い部分をもう1人が補ってさらに強くした、みたいな曲が増えてますね。2人で作ると、お互いここは譲れないみたいな部分もあるでしょうし、結構言い合いになって空気が悪くなることもあったんですけど、結果的にはそういう経験もバンドとして全部良い方向に進むためには必要だったのかなと思いました。

Kazuki:そもそも制作のプロセスとしては、すごくやりやすくなったような気はしていて。昔が良くなかったという意味ではないんですけど、以前はそれぞれほぼアレンジが完成したデモを渡されることが多かったから、「ここはこうしようよ、ああしようと」と口を挟む余地も少なかったんです。ただ、最近はYUTAや俺のアイデアが入る余白が増えたような気がしています。

Ichi:確かに、昔は僕もKentaもドラムのフレーズまである程度固めたデモを2人に渡していたんですけど、最近は2人の個性もしっかり打ち出したくて、あえて作り込まないようにしています。

Kenta:そうだね。実際、みんなで作っている感が強まったし。この4人の個性がしっかり表れてこそCrowsAliveなので、今回はそれが以前よりもわかりやすく見えているんじゃないかな。

Kazuki
YUTA

――前作以上にロックバンド感が強まったのは、そういう影響が強いんでしょうね。アルバム全体の方向性やイメージについては、制作段階でどのように考えていましたか?

Kenta:「Neo Romancers」(2022年)、「Higher」(2023年)、「FeatherBloom」(2024年)が揃ったタイミングで、アルバムに足りない要素だったり自分たちが入れたいカラーというのが、ぼんやりと見えてきた記憶があります。

――今おっしゃった3曲ってめちゃくちゃ強度の高い仕上がりなので、そこに匹敵する、もしくは勝る新曲を作らなくちゃいけないわけですよね。

Kenta:そうですね。最強の3曲でしたけど、ほかの新曲はそれぞれいろんな方向性を持っていながら、あの3曲を超えたと自信を持って言えると思っています。

CrowsAlive - FeatherBloom (Official Live Music Video)

――アルバムは「Introduction #2 - Bri=dge」から「Sky」へと続くオープニングの時点で、非常に心掴まれるものがありました。

Kenta:ありがとうございます。自分が好きなバンドのアルバムの1曲目って、その時にバンドがやりたいことがストレートに表現されていると思っていて。俺たちも今回のアルバムではそういう曲を1曲目としてぶつけてみたくて、「Introduction #2 - Bri=dge」で期待感を高めてからスピード感のある「Sky」へと繋げるという。なので、「Sky」はアルバムのオープニング前提で作りました。

Ichi:初期衝動じゃないけど、そういうのを大事にした結果、こういう形になったんです。

『Bri=dge』は「120%の力」を注ぎ込んだ渾身の作品に

――アルバムのオープニングもバシッと決まり、軸となる自信の3曲もあれば、あとは好きなことをとことん追求していけばよかった?

Kenta:はい。アルバムっていろんな色の曲があってこそ、バンドの魅力がより伝わると思うので、変にジャンルに囚われることなく全部違う方向性で、かつ120%の力を注いで作ろうと考えたんです。

――確かに、本作にはラウドロックの枠だけでは語りきれないテイストの楽曲も含まれていますが、どれもそれぞれの方向へと思い切り振り切っていますものね。そこに、皆さんの覚悟を感じました。

Ichi:しっかり時間をかけて制作に臨んだので、ここまできたら中途半端なものは絶対に出したくなくて。みんなでいろいろ話し合いながら曲作りを進めたんですけど、CrowsAliveが持ついろんな強さが曲ごとに生かされていると思うので、そういった部分を自分たちが納得いくまで、どんどん研ぎ澄ますことができたのかなと思います。

Kazuki:締め切りを明確に設定しないで、納得できる曲が揃ってから(アルバムを)出すことを考えようって決めたの、初めてだったよね。

Ichi:1stアルバムの時は「ここまでに完成させる」って、事前に決まってたしね。

Kenta:だって、1年先のツアーファイナルをこの日程でこのハコでやりたいから、それに向けてアルバムの楽曲を揃えようって話だったし。

Ichi:しかも、最後の1曲はレコーディング当日に出来上がるくらい切羽詰まってたから(笑)。

YUTA:みんな、ちゃんと曲を覚えられなかったし(笑)。

――それくらい、アルバムとの向き合い方が違ったと。ここまで1曲1曲のテイストが違うと、場合によってはオムニバスアルバムやプレイリストのように雑多な内容になっても不思議ではないんですが、不思議と統一感があるんですよね。

Kenta:ミックスとかマスタリングをやってくれたトビアス(Tobias Østerdal)が、統一感が得られるように仕上げてくれたのはすごく大きいですね。正直、曲を作っている段階では統一感とか考えてなくて。でも、全然タイプの違う曲でも4人で演奏すれば俺らになるし、ポップな音楽が好きな人が「Mr. Lonely」みたいな曲を聴いたら、それをきっかけにこのアルバムに辿り着くかもしれないし、そこからアルバムの中にあるヘヴィな曲に触れてこっちの世界に目覚めるかもしれない。今回の『Bri=dge』はそういう可能性を秘めているんじゃないかと思います。

――楽曲がここまで多彩だと、リズム面でもいろいろこだわったかと思います。

Kazuki:僕が自分でフレーズを作る時もあれば、デモの段階でその曲のフックとなるフレーズをKentaが持ってきてくれることもあって。たとえば、「Neo Romancers」あたりはちょっと手数が多くなりがちなジャンルなんですけど、「人がリズムのどこを意識してノっているか」を考えて、フィル含めてグルーヴ感を組み立てるように心がけました。

YUTA:ベースに関しては、僕はデモに入っているベースラインは基本的には聴かないんですよ。それをなぞってしまうと、結局誰が弾いてもいいってことになってしまう気がするので、自分にしか弾けないベースラインやドラムに対してのアプローチをまず1回提示して。そこから「もっとここはこうしたい」とかみんなで話し合って、完成に近づけています。

――今作では、音数は意識しましたか?

Kenta:かなり意識しました。もちろん曲によって違いはあるんですけど、「Mr. Lonely」あたりは一番音数を減らすことを考えた曲です。やっぱり、どうしても音を足したくなっちゃうんですけど、引き算することによって全体的にシャープでキャッチーになるんですよ。もちろん、自分たちのテクい部分を喜ぶリスナーもたくさんいるとは思うんですけど……自分たちの目指しているところに辿り着くためには、もっといろんな人に聴いてもらう必要があるので、そういう意味では「Mr. Lonely」がきっかけの1曲になったかなと思います。

――なぜ今の質問をしたかというと、今回のアルバムってめちゃくちゃデカい会場で鳴らす音を意識してるなと感じたからなんです。今のCrowsAliveはライブハウスを主戦場としていますが、ここからさらに大きな会場……それこそアリーナクラスを目指す上では、ごちゃごちゃと音を詰め込むよりも、極力音数を減らしたシンプルなアレンジのほうがそういう会場にフィットするし、大きな会場だとより遠くまで曲が届くと思うんです。今作において、皆さんはそういうことに対して意識的でしたか?

Kenta:まさにそこは考えていたことであって。今後、自分たちがどこを目指したいかと言われたら、やっぱりアリーナツアーができるぐらいのバンドになりたいんですよね。そういう会場でどんな音を鳴らしていたいかと考えると、こういうシンプルなサウンドなんですよ。なので、そこに気づいてもらえてすごく嬉しいです。

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