寺岡呼人、盟友・成田昭次も駆けつけた58回目の誕生日「本当に幸せです」 ビルボードライブで奏でた特別な音楽

 寺岡呼人、1968年2月7日生まれ。2026年2月7日は朝からの雪模様にもかかわらず、その58回目の誕生日を祝うためにビルボードライブ東京の座席は埋まった。外の寒さとは対照的な、温かい空気とゆったり流れる大人の時間。素敵なバースデーパーティーになりそうな予感がした。

 4人編成のバンドを従え、1曲目「張り子の虎」から豪快なロックサウンドが広い空間を震わせる。鮮やかな赤いカーディガンを着た本日の主役が、「今日は何の日かわかってますか!」と、エレクトリックギターをかき鳴らして叫ぶ。ビルボードライブには珍しい、遠慮なしの爆音が心地好い。「赤!」「青!」「緑!」「黄色!」「ピンク!」と、メンバーも一声ずつ参加して盛り上がる「秘密戦隊☆ゴジュウレンジャー」で、歌詞を〈ゴジュウハチレンジャー〉に変えて歌う声が力強い。アコースティックギターに持ち替えて歌う「COLOR」の、スキップするような軽快なシャッフルビートが楽しい。3層の客席が繋がって、波のように揺れる手振りが壮観だ。

「58歳になりました。こんなに集まって祝っていただけるなんて、本当に幸せです。今日は最後まで楽しんでいってください」

 ここからはテンポを落としてゆったりと、しみじみと沁みるラブソングを2曲続ける。メロディアスなピアノがリードする「オリオン座」は、今の季節にぴったりの寒く美しい風景と、愛する人を思う温かい心を、飾らない歌声に乗せて。「バックミラー(もったいない)」も冬のムードをまとったミドルバラードで、歌詞の外側にある思いを吐き出すような、ギターソロがエモーショナル。歌の世界を音で伝える、バンド内の阿吽の呼吸はぴったりだ。

「ひどい目に合ったな、と思うことは誰もがあると思いますが、きっと自分もしているんじゃないかな?と。そういうものを重ねながら人生は続いていくんじゃないか、と思った時に、ふと降りてきた曲です」

 ライブ中盤、ひとりでウクレレを弾きながら披露したのは、先月作ったばかりという新曲「夢見る頃を過ぎても」。自分の夢を追うために、親友を裏切った後悔を抱える男のほろ苦い独白が、ウクレレのもの悲しい音色と響き合う。実話かフィクションかはわからないが、同世代の心をとらえるリアリティある曲だ。そしてもう一曲、2025年に亀梨和也 & Rockon Social Clubとして発表した「亀の恩返し」は、童謡のように愛らしい曲調と、語るように自然体の歌声がよく似合う。恩返しという物語仕立ての歌詞を通じて、感謝の心を持つ大切さをさりげなく伝える、寺岡呼人らしい楽曲だ。

 「去年のバースデーライブの日に、今日のスケジュールを取ってもらいました。忙しいミュージシャンを押さえるために」――。芳賀義彦(Gt)、井嶋啓介(Ba)、山本健太(Key)、白川玄大(Dr)。頼れるバンドメンバーを紹介すると、ライブはそろそろ後半へ。「バトン」はエネルギッシュなバンドサウンドに乗せて、せつないメロディと熱いメッセージがまっすぐに届く曲。2014年リリース、桜井和寿(Mr.Children)と歌詞を共作した、“次の世代へ受け渡す大切なもの”を歌う力強いエールソングだ。「ブランニュージェネレーション」は1999年リリースの懐かしい曲だが、ドラマチックなミドルロックバラードの迫力と、自問自答を繰り返しながら希望を追うメッセージの力強さは、むしろ増して聴こえる。長く歌い続けてきたからこその説得力が、どの歌からも滲み出る。

芳賀義彦(Gt)
井嶋啓介(Ba)
山本健太(Key)
白川玄大(Dr)

「ありがとうございました。2026年もみなさんに笑顔がやってくるように、この曲をお送りします」

 ラストを締める一曲は「スマイル」。軽快にアコースティックギターを弾きながら、温かい手拍子に励まされながら、「ご唱和ください!」と呼びかける。「♪ワハハノハ」と何度も繰り返すリフレインが自然に笑顔を運んでくる。笑う門にはハッピーがくる、どこを見渡しても笑顔しか見えない幸せなエンディングだ。

「予定では、雪が降っているはずだったんですけどね(笑)」

 アンコールでは、嬉しいサプライズがあった。ビルボード東京の名物演出、ステージ後方のカーテンが開かれるなか、突然鳴り出すピアノのメロディ。「♪Happy Birthday to You」の大合唱の中、イチゴがたっぷり乗ったケーキを運んできたのは、成田昭次。寺岡が成田を紹介すると、「おめでとうございます。呼人さん若いですね。38歳に見えます」と成田が返す。このためだけにここにきた、Rockon Social ClubとNARITA THOMAS SHIMPSONでも活動をともにする、同じ1968年生まれの盟友。ふたりの絆の強さを示す、とても素敵なシーン。

 鳴りやまない拍手に応え、アンコールは2曲。冬景色が似合うバラード「Snow White」は、〈来年、再来年、5年後も、10年後も〉と歌詞を変えて、〈この雪を/一緒に見よう〉と締めくくる。「また足を運んでくれると嬉しいです」と再会を誓ったあと、最後に届けるバラード「夜曲」は、和の心を感じる美しいメロディと、壮大な生命の流れを称える歌詞が心に沁み入る。

 「おめでとう!」「よひと!」「よっひー!」という声援がひっきりなしに飛ぶなか、「ありがとうございました!」と大きく手を振って、およそ80分のステージは幕を下ろした。『Road to 60th』と題したライブは今後も続き、きっと来年も同じ日にどこかで会えるだろう。さらなる新曲も増えるだろう。2年後のアニバーサリーを見据えて進む、寺岡呼人の未来に期待しよう。

堺正章と成田昭次&寺岡呼人(Rockon Social Club)が語る『プンスカピン!』での奇跡的なコラボ 両者を繋ぐバンドマンシップ

堺正章 & Rockon Social Clubによるミニアルバム『プンスカピン!』について堺正章、成田昭次、寺岡呼人にインタビ…

Rockon Social Clubの6人にしかないエネルギーとは何か 成田昭次・岡本健一・寺岡呼人、新作&ツアーを大いに語る

Rockon Social Clubが、9月6日にミニアルバム『SUMMER OF LOVE』をリリースする。昨年夏に活動終了し…

関連記事