花耶「一生忘れられない日」ーー1カ月遅れの“クリスマスライブ”に届けたあたたかな歌声、飽くなき向上心
1月17日に、東京・晴れたら空に豆まいてにて『花耶 Christmas Live 2025 & Fan Meeting』が開催。当初の予定より約1カ月順延となった本公演は、キーボードとギターとともにおくるアコースティックライブ形式。本稿では、磨き上げてきた歌唱力を駆使して、会場を埋め尽くした観客へとさまざまな表現を届けた一夜をレポートしていく。
細部までこだわり抜いた歌声が、聴く者の心を震わせていくライブに
暗転の中入場した花耶は、「サザンカ」からライブをスタート。歌声は冒頭からスーッと美しく、しかしラテン調のナンバーにマッチする情熱も伴わせた絶妙なもの。1コーラス目の歌声だけで場内の空気を自分のものにして観客の心をぐっと惹き込むと、1曲を通して生ならではの鮮明な表現を魅力的に聴かせてくれた。続く「グロス」では、ミドルナンバーに哀しみを乗せながら、楽曲に入り込んだ凛とした表情で歌唱。大サビ前のフェイクでは、涼やかながらもソウルフルさも感じる歌声で感情の揺れを表現してみせる。
2曲歌ってのMCは、振替公演ということもあり「メリークリスマース!」との挨拶でスタート。歌唱中とはうって変わってふんわりとした雰囲気でトークを展開し、「クリスマスソングが結構たくさんある」と予告。また、この会場は“花耶”としてのデビューライブの場所ということで、「『グロス』もその時に歌った曲」と言及するなど思い出も語っていた。
さて、ライブはここからカバー曲ゾーンに。その幕開けを飾った「ラブ・スコール」は、穏やかなアコギの音が温かな空気を作る中、1-Bメロでの歌声の押し引きで繊細に感情の機微を表す。ベールのように透き通った歌声で、美しくも柔らかな世界を作り出していた。続く「世界の秘密」ではサビの歌声の返し方などに巧みさも感じさせつつ、微笑みとともに美しい歌声でまたも観客を魅了しきっていくと、もう1曲「Shadow of Love」は1-Aメロからしゃくりを用いるなどして情感たっぷりに歌唱。表情も含めて楽曲に没入しながら、聴く者の心を掴んでいった。
そんな3曲を歌っての二度目のMCでは、“お待ちかね”のクリスマスソングを予告。「Can't Wait 'Till Christmas」からクリスマスカバー曲ゾーンがスタートする。この曲では、1サビではあえて柔らかく入って温かな感情や空気を十二分に表現。微笑みながらの歌唱という点も相まって、ボーカルワークと見せ方の双方に、歌を通じて表したいものへの一貫性が非常に色濃く感じられた1曲に。続く「クリスマスキャロルの頃には」は、曲調に合わせて力強さが増したものの、澄み渡るような美しい歌声は不変。クリスマスならではの切なさを見事に表現していた。その雰囲気をガラリと変えたのが、タンバリンを手にして歌唱した「恋人がサンタクロース」。この曲のヒロイン像と重ね合わせてか、ポップなナンバーをこれまでよりもほのかに甘めに振った歌声で彩り、場内をクリスマスムードに包んでいった。
続いたのは、90年代後半~00年代前半の、冬や愛をコンセプトに据えた楽曲3曲のカバー。1曲目「愛のかたまり」は、序盤の低音においても歌声をやや薄めにするなどさまざまなアプローチを通じて、豊かな感情表現で魅了。バンドメンバーの演奏に激しさが増すに従って、歌声に熱や力がこもっていくと、続く「I BELIEVE」では涼やかで澄んだ歌声に鋭さがプラスされ、また違うアングルから心に刺さるものに。落ちサビ前には胸の前で両手マイクをぎゅっと握りしめるようにして、感情を大事に抱きしめるような一幕も印象的だった。
そして「promise」も冒頭に挿入した頭サビを伸びやかに歌うと、切なさと情熱とをないまぜにしたこの場ならではの魅力を放つ歌声を響かせていく。2サビ明けには、イントロ中の花耶の呼びかけに続いて練習が行われたコーラスを観客が合唱。場内の一体感をさらに高めると、3曲を通じて徐々にボルテージが上がってきた観客を立たせて、花耶随一の攻撃的なナンバー「Reincarnation」へ。
イントロが流れた瞬間顔を伏せた花耶は、再び顔を上げると同時にスイッチオン。振り付けとともに鋭い矢のような歌声を繰り出し、パワフルなステージを展開していく。1サビではもう一段ギアを上げたか、ボーカルの力強さはさらに増しながらも、ボーカルワークの丁寧さや美しさはこの曲でもしっかり保たれている。その上で、白のペンライトが輝くフロアへと視線を交わして心を繋ぎながら、最後まで力強い歌声で観客の心を震わせていった。