なきごと、変わらない決意とともに新体制のスタートラインへ 「甘々吟味」が“未来への宣言”として響く理由

なきごと、転換期を迎えながらも止まらない歩み

 2025年末、なきごとは大きな転機を迎えた。結成以来ともに歩んできたギタリスト、岡田安未の“卒業”である。ラストライブとなった12月30日の『COUNTDOWN JAPAN』でのステージをもって、なきごとは再出発を果たした。卒業の理由について、岡田は公式サイトに掲載されたメッセージでこう綴っている。

「全力で駆け抜けてきましたが、そんな中で少しずつ、少しずつ私が思うギターを弾く理由や意味と距離を感じるようになってきてしまい、チームと相談させていただき私の音楽と向き合うために、なきごとから旅立つことを決めました」(※1)

 なきごとが生み出す音楽、水上の書く楽曲が徐々に変わってきていたのは事実だが、そこにどんな葛藤や思慮があったのかは本人たちにしかわからない。ただひとつ言えるのは、どんな理由や背景があるにせよ、これはなきごとにとって非常に大きな出来事であり、ターニングポイントだということだ。

なきごと / 『たぶん、愛』【Live ver.】
なきごと / 『愛才』【Music Video】

 思えば、水上の横で岡田がギターを弾いているということは、なきごとの音楽において極めて重要なファクターだった。ある意味とても似た感性を持っていて、同時にまったく相入れない部分もある、そんな2人の間にある不思議な関係性がなきごとに作用していたところは、想像以上に大きかったのではないかと思う。個人的にも、水上の横で時に淡々と、時にエモーショナルにギターを弾く岡田の姿を見るのは好きだったし、音源でつかず離れずの距離で鳴っている歌とギターのコンビネーションも非常になきごとらしいと感じていた。だから率直に言えばとても残念だが、一方でこれからのバンドの未来に大きく期待してもいる。実際、2026年に入り、なきごとは早速新たなアクションを数々起こし、前に進み始めている。

 その第一歩となる新曲が、1月6日に配信リリースされた「甘々吟味」。この曲は江崎グリコ(Glico)「ポッキー」のCMキャンペーンソングとして書かれたもの。昨年は同商品のCMに水上と岡田が(イメージキャラクターの白本彩奈、そしてスチャダラパーとともに!)出演を果たしたことが話題となったが、それに引き続いて、今度は楽曲でのコラボレーションとなる。そして同時に、この「甘々吟味」は、新たな局面に足を踏み入れていくなきごとを後押しするような曲になっていると言ってもいいだろう。

ポッキー 白本彩奈「ポッキーの革命」篇(15")

「甘々吟味」が体現する〈ビタースイート〉な人生

 ポッキーを口に入れたときの「ポキン」という小気味よい音から始まる「甘々吟味」は、弾むようなドラムと控えめながら存在感を放つホーンセクションの音色が心を躍らせる、華やかで明るいロックンロールチューン。サビで聴こえてくる〈恋してプレッツェル/溶かしてチョコレート〉というユニークなフレーズはもちろん、「ポッキー」をイメージしたものであると同時に、非常に水上らしい言葉遣いで、一度聴いたら耳にこびりつくような中毒性を持っている。

 だが、この曲は単にキュートでキャッチーなポップソングというだけではない。たとえば、Bメロの〈やんなっちゃった日々も/最高潮の夜も/自問自答で悶々と/想像上の相乗効果〉や、サビの最後に登場する〈甘いだけじゃないお年頃〉という歌詞。最高の裏にはちゃんと最低があるし、一見ハッピーなように見えてもそこには常に痛みや孤独が横たわっている――水上えみりというソングライターが楽曲に綴ってきた人生は、これまでずっとそういうものだった。そんな、チョコレートのように〈ビタースイート〉な人生の味、つまり甘さと同居する苦味をちゃんと味わいながら生きていくということを歌い続けてきたのが、なきごとだ。この曲にもそうした姿勢はしっかりと込められているどころか、「ポッキー」というテーマを通して、それがよりクリアかつストレートに表現されている。

甘々吟味

 そして、これは改めて思うのだが、サウンド面においてその苦味の部分やトゲトゲした部分を担っていたのが、岡田のギターだった。この曲においても、彼女のギターは軽快にリズムを刻みながら、キャッチーなメロディと歌にロックとしてのエッジをもたらしている。そのギターが鳴っていることで、まさにこの曲は〈ビタースイート〉な味を作り上げているのである。そのハイライトとなっているのが、途中で入ってくるギターソロ。わずか4小節の短いソロだが、これがあるとないとでは楽曲の印象がまるで違うはずだ。

 そのソロを受けた2回目のBメロで、水上はこう歌っている。〈満点より らしさがいいじゃん/創造しようか革命讃歌〉。突然出てくる〈創造〉〈革命〉といった言葉は、歌詞全体の中でも異彩を放っており、その構成はまるで岡田のギターに水上が歌でアンサーしているようにも聴こえてくる。これまでも、なきごとの楽曲では歌とギターによる“会話”が繰り広げられてきたが、そんな歩みを確かめ合うような感覚が「甘々吟味」にはある。岡田からのエールを受けて、水上が〈創造しようか〉と“宣言”している姿がどうしても浮かんでくるし、そこに“次に進んでいく決意”のようなものを感じずにはいられないのだ。

 そんな「甘々吟味」のリリースを経て、なきごとは2月27日にShibuya eggmanで自主企画『鳴言 vol.3』を開催する。新体制の初ライブであると同時に、なんと水上の弾き語りとの“2マン”という、とても強い想いの込められたイベントだ。そして、その自主企画に続き、3月からは全国13カ所を巡るツアー『ビタースウィートベイビーツアー2026』が行われる。対バンで回るツアーの終着地は5月30日、Zepp Shinjuku (TOKYO)でのワンマン公演。2024年に初のZeppワンマン公演を行った場所で、新たななきごとに出会えることを今から楽しみにしていたい。

※1:https://nakigoto.com/news/detail/62763

なきごと「甘々吟味」

◾️リリース情報
なきごと「甘々吟味」(Glico「ポッキー」CMキャンペーンソング)
1月6日(火)リリース
配信URL:https://erj.lnk.to/V3rsLk

<楽曲詳細>
・作詞:水上えみり
・作曲:水上えみり 柿澤秀吉
・編曲:柿澤秀吉

◾️ライブ情報
『なきごと自主企画「鳴言 vol.3 」[eggman "45th/45days" Anniversary]』
・日程:2026年2月27日(日)[東京] Shibuya eggman
・開場:18:30
・開演:19:00

チケット受付URL:https://eplus.jp/nakigoto26/
座席:オールスタンディング、金額:4,000円(1ドリンク別)

◾️ツアー情報
なきごと『ビタースウィートベイビーツアー2026』
3月14日(土)[神奈川] F.A.D YOKOHAMA
3月28日(土)[香川] 高松DIME
4月5日(日)[兵庫] 神戸 太陽と虎
4月11日(土)[福岡] 福岡CB
4月17日(金)[北海道] 札幌 KLUB COUNTER ACTION
4月25日(土)[新潟] 新潟GOLDEN PIGS BLACK
4月26日(日)[石川] 金沢vanvan V4
4月29日(水・祝)[愛知] 名古屋CLUB QUATTRO
5月10日(日)[大阪] 大阪Yogibo META VALLEY
5月16日(土)[宮城] 仙台enn 2nd
5月23日(土)[広島] 広島Live space Reed
5月24日(日)[岡山] 岡山IMAGE
5月30日(土)[東京] Zepp Shinjuku

チケット(各公演)受付URL:https://eplus.jp/nakigoto26
座席:オールスタンディング、金額:4,000円(1ドリンク別)

なきごと オフィシャルサイト

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