f5ve×Airbnb、屋形船で体験型イベント開催 音楽と交流を組み合わせた新たなエンターテインメントの形
f5veがAirbnbとコラボレーションし、体験型のイベントを開催した。会場となったのはライブハウスでもイベントスペースでもなく、東京湾を周遊する屋形船。参加者とf5veが一緒に乗船し、食事や音楽を楽しむという特別な時間が繰り広げられた。本稿は12月18日に行われた昼の部の模様をレポートする。
まずAirbnbとは、宿泊だけでなく、地域ならではの文化や体験を現地のホストと一緒に楽しむことができる世界最大級の宿泊予約プラットフォーム。旅先での文化や人との出会いを楽しむ「Airbnb体験」を通じて、地域性や体験価値を重視した取り組みを行っている。今回のイベントもその一環として企画されたもので、アーティストと参加者が同じ空間で時間を共有することに重点が置かれていた。
そして本企画の主役であるf5veは、東京発の次世代型ガールズグループで、KAEDE、SAYAKA、RURI、MIYUU、RUIの5人により2022年に結成。楽曲プロデュースには世界的なヒットメーカーのBloodPop®が参加し、国内外で注目を集めている。ジャンルはJ-POPをベースにハイパーポップ、エレクトロなど多彩な要素を融合し、SNSを中心に幅広い支持を獲得。雑誌『Forbes JAPAN 30 UNDER 30』にも選出され、先日Billboardオフィシャルサイトにて、Billboardスタッフが選ぶ2025年のベストアルバムTOP50にf5ve「SEQUENCE 01」(5月5日リリース)が45位に選出。さらに、イギリスの音楽メディア「NME」が選ぶ今年リリースされたデビューアルバム・ベスト20や、THE Hollywood REPORTERのオフィシャルサイトで発表された「THE Hollywood REPORTER”編集者が選ぶ2025年お気に入りのアルバム」に日本人アーティストとして唯一選出されるなど、未来を担うグループとして期待される存在だ。
昼の回は11時30分に出港。この日は天候に恵まれて穏やかな快晴が広がり、船上からは冬の昼間の開放感のある景色が広がっていた。イベントはメンバーと同じテーブルで、豪華なコース料理を楽しみながらトークをするところからスタート。各テーブルにメンバーが1人ずつ座り、数十分ごとに入れ替わる形で進行し、最終的には全テーブルに全員が回る流れだ。限られた人数だからこそ実現できる構成で、参加者全員がf5veのメンバー一人ひとりと直接言葉を交わせる時間がたっぷりと用意されていた。
屋形船ならではの日本料理を味わいながら、近い距離で交わされるトークは自然体で、船内には終始落ち着いたアットホームな雰囲気が漂っていた。ステージ上の姿とは異なる、リラックスした表情で参加者と向き合うメンバーの様子からは、この企画を大切にしていることが伝わってくる。特別な演出で盛り上げるというよりも、同じ時間を共有すること自体を一緒に楽しむ親密な空気感が印象的だった。
トークセッションの後にはミニライブを開催。船内のカラオケ機材を使用して、メンバーたちがその場で歌唱する時間が用意されていた。セットリストは冬を意識した構成で、BoA「メリクリ」、松任谷由実「恋人がサンタクロース」といった季節感のある名曲カバーからスタート。冬の爽やかな空気の中で、心温まるムードが広がっていく。
続いて披露されたオリジナル曲「Snowman」は、この日の情景とよく重なり、屋形船という空間ならではの雰囲気を生み出していた。RUIによるアヴリル・ラヴィーン「Complicated」のギター弾き語りでは、シンプルな編成だからこそ声のニュアンスが際立つ。次に歌った松原みき「真夜中のドア~stay with me」のカバーも含め、選曲全体からは、世代や国境を越えて共有できる音楽を意識していることが感じられた。最後は「JUMP」で締めくくられ、穏やかな高揚感を残してミニライブは終了した。
その後は、参加者全員とのチェキ撮影会が行われた。ここでも一人ひとりと向き合う姿勢が大切にされており、イベント全体を通して距離の近さが一貫していた。最後にお土産が配られ、14時に帰港。大きな余韻を残しながらイベントは幕を閉じた。
この日はSNSを通じて情報を知り、海外から参加したというファンの姿も見られた。屋形船という日本ならではの空間で、音楽と交流を体験するこの形式は、他にあまり例のないものと言えるだろう。派手さよりも、記憶に深く刻まれる「時間の質」を重視した今回のイベントは、f5veの現在地を示すと同時に、今後の活動の広がりを期待させる内容であった。音楽を軸としつつも、リアルの体験の形を模索していく彼女たちの動向に、これからも注目したい。
Airbnbオフィシャルサイト:www.airbnb.jp