今までの経験にはない衝撃を受けました（ろん）

ーーお二人がお会いしていないとなると、今回、レコーディングスタジオは使わずに各々で録ったんですか？

島爺：そうです。僕がまず録音して、それをろんさんに渡す形だったので、ろんさんがどう来るかが全くイメージできなかったんですよね。今までのろんさんの印象として、歌に対してガッツリこだわってくるタイプやったので。下手なものを渡すとなめられるというか（笑）。初手から全力で行くしかないなと思って、とにかくできることは全部やろうというイメージで臨みました。僕の持ち味はちゃんと出しつつも、ハモリのパートはなるべく引いて、あまり灰汁（あく）を出さないように。声質がどうブレンドされるかは気がかりでしたけど、最終的にいい感じになっていたと思います。

ろん：本当に島爺さんから届いた音源が全力だったんですよ！　こんな歌の上手い人がいるんだって本当に驚きました。ろんはいろいろな方とコラボしていて、たくさん音源を聴いてきたんですけど、今までの経験にはない衝撃を受けました。 果たして完成するのかなって思うと本当に怖くて。1本録ってみて、やっぱりダメで。最終的な音源になったのは4本目でしたね。

島爺：うわー。なるほど……。

ろん：今回の音源はソロと比べてもとても時間がかかりましたし迷いました。掛け合いではあるんですけど、強さで返せないと成立しないので。言葉の強弱や音の長さの面で、島爺さんにどう対抗しようかみたいなところは、すごく悩ましかったです。

島爺：最後の伸ばす長さは、原曲を聴いてもどこまで伸びているのか、どこで切っているのかが判別しづらくて。そこら辺は、何回もやってみることで、どのパターンがいいかの洗い出しは結構した気がします。ただ伸ばすにしても、ストレートで伸ばした方がいいのか、ビブラートで徐々に消していくのがいいのか。細かなところも悩みましたね。

ろん：そうそう。島爺さんのいろいろな音の切り方のパターンにろんが合わせていくのが難しかったです。

島爺：いや、そうなんですよ。最終的に上がってきた音源を聴くと、だいぶ合わせていただけているので、後輩としては、本来僕から合わせに行くべきやったな、と申し訳なく思っています（苦笑）。

ーー実際にお二人で歌ってみて、お互いのイメージに新たな発見はありましたか？

島爺：今回は、かっこいいタイプのろんさんやったなぁと。もっとかわいらしい感じで来られるのかなと踏んでいたんですけど、割とイケメンなろんさんで来られた印象はありましたね。

ろん：4本のうちの1本目は可愛い感じで録ったんです。でも声の重なりがどうも合わなくて。もともとろんは、自分の歌はかっこいいと自負して歌ってきたタイプなのですが、それを全力で押してみようかなと思って、かっこよく歌いました。歌い手って録音した音源からミックスされると本当に魔法みたいに歌声が変わる方もいらっしゃるんですが、島爺さんは、ミックス時にあまり調声していなかったんじゃないかなって、今回の素の音源を聴いて実感しました。

ーー「革命デュアリズム」は、9月に開催された事務所主催の初のライブイベント『Butai Entertainment presents ハレブタイ2025』の初日公演のうち、島爺さんのライブパートで初披露されましたよね。実演に向けて、事前に取り組んだことを教えてください。

島爺：僕、コラボ自体の経験が、そもそもそんなにないので、サブパートを歌う経験があまりなくて。メインパートに引っ張られないようにするのが大変でした。特にろんさんの声って、どれだけボリュームを落としても抜けてくるんです。完全に自分の体の中に落とし込んでいないとライブではできないと思ったので、かなり歌い込みましたね。

ろん：ろんは当日のライブ用に音声だけを事前に録音しました。会場、どんな感じでした？

島爺：「ろんさんと一緒に歌いたいと思います」と言ったら、かなりざわついていましたよ。「革命デュアリズム」のタイトルを出した時も会場が、どよどよっと動いて。あれは気持ちよかったですね。新鮮な感じで楽しめました。

ーー「革命デュアリズム」を歌うにあたって、どんなポイントを最も大事にされましたか？

ろん：戦いだと思っていたので。いかにして勝つかを意識していました。

島爺：僕らは、「おちゃめ機能」と「ブリキノダンス」で神話（ニコニコ動画のタグ）になっているので、神話VS神話という意識はありましたね。そこでしょぼいことをしてしまったらどうしようもない（笑）。うちの事務所が“神話を2人飼っている”ってことですからね（笑）。

ろん：しかも扱いづらい2人（笑）。

島爺：そこは、社長の腕の見せどころですから！