香取慎吾の後輩アーティストを導く姿 言葉、行動、背中――Chevonとの絆が示す“新たな才能”へのリスペクト

 札幌発の3ピースバンド、Chevonが2026年春にavexのcutting edgeからメジャーデビューする。平均年齢24歳、結成は2021年とまさに伸び盛りなChevonの大躍進に、ボーカル・谷絹茉優のX(旧Twitter)には、多くのお祝いコメントが到着した。そのなかには、岩井勇気(ハライチ)、川谷絵音、Tele、Gero、京本大我(SixTONES)など、早々にChevonの音楽にハマった人気者たちの名前も並ぶ。

 どれほどの声色を持ち合わせているのかと耳をすまさずにはいられない唯一無二の歌声、一度観たら病みつきになる個性的なライブパフォーマンス、そして一貫したメッセージ性が漂うアーティスティックなMV。きっと、これからじわじわとその魅力が音楽業界を侵食していくはずだっただろう。だが、それを一気に加速させた一因には、間違いなく香取慎吾とのコラボレーションがあるだろう。

 香取がChevonを知ったのは絵画制作中に聴き流していたサブスクリプションサービスのプレイリストからだという。「この曲いいじゃん」と耳が反応したのをきっかけに、すぐさまSNSをチェック。「へー、Chevonっていうんだ」「札幌在住なんだ」と知るやいなや、ファンミーティングで札幌に向かう機会を見逃さず、現地のイベンターに「会えないですか?」と依頼。ファンミーティング後の楽屋に戻ると、すでにChevonが待っていたというスピード感だった、とインタビューで明かしてくれた(※1)。

 すぐさま香取はChevonに「一緒に曲を作りたい」と提案。その言葉にChevonは「何を言ってるかわからない」と困惑したという。それも当然の話だ。ある日突然、何の前触れもなく国民的スターから呼び出されて、コラボレーションのオファーをされるなんて、誰が想像できるだろうか。

 そのときの気持ちを、「ひょっとするとこれは夢なのかもしれない。 ハッと目が覚めるとそこはベッドの中で、こんな世界とは無縁の、うだつの上がらぬ生活をする現実の自分が居るのではないかと 何度もそう思ってしまうほどでした」(※2)と、谷絹は香取のYouTubeチャンネルにアップされた「Circus Funk(feat. Chevon)」MVのコメント欄に綴っている。

香取慎吾 「Circus Funk(feat. Chevon)」Music Video

 加えて、そんなとき香取は「こっちが現実の方なんだよ。Chevonは凄いんだよ。僕が君たちを見付けたんだから。これからも僕がついてるから大丈夫なんだよ。君たちの作る曲が好きで君たちなら絶対良い曲になると思ったから頼んだんだ。それでこんなに最高の曲を作ったじゃない。君たちは自分が思っている以上に凄いんだぞ」と言い続けたとも。

 その“言葉”がChevonを勇気づけたのはもちろんだが、香取は実際に「自分たちはすごい」と実感できるような“経験”の場も用意した。香取とChevonによる楽曲「Circus Funk(feat. Chevon)」は、昨年香取が主演したドラマ『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』(フジテレビ系)の主題歌となり、香取が主催した初アリーナフェス『“Circus Funk” Festival』にも出演。さらに、その晴れ舞台はアリーナから大型音楽特番へ。香取とともに出演した『2024 FNS歌謡祭』(フジテレビ系)が、Chevonにとってテレビ初演奏というから、まさに“香取慎吾ドリーム”だ。

 実際、谷絹のXには香取との共演を通じてChevonの魅力を知ったというコメントが多く寄せられていた。それは同時に大勝負の場でもあった。「あのバンドは何者だ?」という鋭い視線を向けられるなか、「いいじゃん!」と思わせるだけの力がChevonにあったということ。大きな舞台に立つ(立たされる)というのは、香取自身が実際に経験してきた道。もちろん、そこには容赦なく賛否が飛び交う厳しさもあるが、その一つひとつの「やるしかない」を積み重ねることこそが、表現者として成長させてくれることを誰よりも知っているのだろう。

 メジャーデビューについて、もちろん香取にも報告したという谷絹。Xでは「お忙しいのに長文でおめでとう頂きました」(※3)と喜びを綴るポストを投稿していた。その一方で、香取は自身のInstagramのリールで、Chevonのデビュー報告画像に「Congratulations」というスタンプを添えた控えめな形のお祝いにとどまっていた。それも、あくまでも「Chevonがすごいのだ」と印象付けようとしている狙いが見えて、またニクい。

 11月12日、香取はInstagramで「ビビディバビディブー」という言葉とともにスターの日常を切り取ったような写真と動画をアップしていた(※4)。ご存知の通り、この呪文はシンデレラを魔法で変身させる際にフェアリー・ゴッドマザーが唱える呪文。その投稿を見ると、Chevonにとって香取は夢を叶えるために現れた魔法使いにも思えた。もしかしたら、メジャーデビューを経てスターの階段を駆け上がっていくChevonに、こんな日常が待っているという風景を見せてくれたのかも――そんな想像力が刺激される。

 新たな世代の才能をまっすぐにリスペクトし、楽曲作り、ライブ、そしてアーティスト自身の成長物語を見届ける楽しみにまで昇華させる。これまでもジャンルの垣根を越え、絵画を描くように世界を彩ってきた香取の魔法はどこまで広がっていくのだろうか。Chevonの活躍を見守りながら、香取の耳が次なる原石を探しているのかもしれないと思うとまたワクワクする。

谷絹茉優 公式X (@yagisan4444)

※1:https://realsound.jp/2024/11/post-1848818.html
※2:https://www.youtube.com/watch?v=4gdfbrEBoUU
※3:https://x.com/yagisan4444/status/1990599101248131126
※4:https://www.instagram.com/p/DQ8OPDVkwD2/

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