KEY TO LIT、“NEW & CLASSIC”を掲げて国立競技場を目指す ド派手な演出で圧倒した初ツアーに潜入
初ツアーレポート 大きなリスペクトを込めた“旅の始まり”
DOMOTO「Secret Code」のインストゥルメンタルが鳴り響く会場。曲の終わりを感じるにつれ、その音量は徐々に大きくなる。そこで会場の明かりが消え、メインステージに映されたのは伸びやかな歌声が特徴的な岩﨑のシルエットであった。少しジャズテイストで、これから幕開けするショーへの期待を仄めかす「Feeling Good(OVERTURE)」。そして、その後で井上、中村、佐々木、猪狩、岩﨑の順にメンバー紹介映像が流れ、映し出される大きなKEY TO LITの文字。その演出に、これからこのグループを背負っていくという5人の気概を感じ、心を奪われた。
しかし、そこから息つく間もなく披露されたオリジナル曲「WAKE UP THE FOOL」では、たくさんの炎が立ち昇り、これでもかとライティングが光り続ける中、メインステージで大きな存在感を示す「奇天烈」と描かれたネオンの電飾の“天”の部分にメンバーが座り、空中から登場。その“天”がゆっくりと動き、センターステージの手前まで移動する様は、今までに見たことのないような圧倒的な覇王感を感じさせた。
続けて、せり上がるセンターステージでは、Snow Man「Cry out」を披露。さらに真っ赤に染まる会場の中でKis-My-Ft2「FIRE BEAT」などでボルテージを上げ続ける。岩﨑が「最終日、ぶち上がっていくぞ」と叫び、猪狩が「かかってこいよ、ららアリーナ」と吠えたかと思えば、佐々木は曲の終盤にメンバーの気合いを入れ、最終的にはセンターステージの地面を指差し「穴掘って死ぬぞ!」と独特な表現で絶叫してみせた。
オープニングを終えた後で「愛し合う準備できていますか?」と会場を煽り「マジで会いたかったです。ここからトップスピードでアクセルベタ踏みで天下を獲りにいきます。今から約2時間、世界一熱いステージを作っていきましょう、よろしく!」と中村。井上は「これまで見てきた景色や思いは、決して消えることはありません」と宣言した後で「それらすべてを背負った上で全力でぶつかっていこうと思います」と往年のファンの想いに寄り添ってみせた。
その後で、猪狩のラップと佐々木のドラムがセッション。その流れのまま披露されたSixTONES「こっから」では最終的に佐々木のドラムの周りに4人が集結。一体感を持って曲の幕を閉じた。さらに、アリーナ後方にあるステージから披露されたKAT-TUN「Peak」では、スタンド席の前に設置された外周を広く歩きながらパフォーマンス。その都度、正面が変わるのだが、たとえ花道であろうとKEY TO LITの5人が揃えば、そこはメインステージになっているように感じさせられた。
中盤にはジャジーな雰囲気のコーナーも。ミラーボールとたくさんの飾られた衣装の中でSMAP「シャレオツ」を披露。ここでは猪狩が猫耳をつけたり、中村がシャツをはだけさせたりとファンを揺さぶる。赤いセットアップスーツに着替えた後、メインステージへと移動して披露したのは、嵐の「Love Situation」。松本潤が担当する〈チカヅキタイ〉を中村がばっちりとキメる姿に会場は釘付けになっていた。
まだまだノンストップで披露されたのは、木村拓哉「One and Only」から始まる煽りメドレー。ここではメンバーがサインボールを投げたり、佐々木が主導となったコントコーナーでファンを盛り上げたりと彼らの多彩な一面が垣間見えた。そのコーナーが終わると、オープニングで着用していた大きな“奇”の漢字があしらわれたアウターを着用。メンバーの個性が溢れる自己紹介ラップ「KITERETSU FIRE」で魅せたあと、この日初めてのMCへ。次の地方公演、福岡での部屋割り、佐々木と相部屋になる人を決めるババ抜きのようなものが行われたり、岩﨑と井上が韓国に行ったエピソードが披露されたり。仲睦まじい姿に暖かな気持ちになったところで、この日初出しの情報として、中村が来年春に自身初となる個展を開催することも発表に。メンバー、そしてファンと共に喜びを分かち合っていた。
井上が「これまで歴代の先輩方が大切にしてきた歴史や伝統文化を大切にしていきたいと思っています。その中で、今回は2026年に活動を終了させる嵐さんの楽曲を、リスペクトを込めてカバーさせていただきたいと思います」と挨拶。「SUNRISE日本」や「A・RA・SHI」などで会場を盛り上げた。
その後、スクリーンにはペンライトをOFFにするよう指示が。そして、和の雰囲気あふれる中で、SMAP「Battery」や、岩﨑と井上が歌唱し、猪狩がローラースケートで華麗に舞うDOMOTO「雪白の月」などが披露された。
最後は、KAT-TUN「DON'T U EVER STOP」をはじめ、またもやド派手に炎を使った演出でフィナーレまで一気に駆けていく。そして、挨拶を挟み、特攻を7回使用する「Burn Down」で本編を締めくくった。
アンコールではファンからの「キーテ! おねがい」のコールを聞きつけ、ツアーTシャツを着こなしたメンバーが登場。嵐「五里霧中」とSUPER EIGHT「ズッコケ男道」で楽しく締めくくった。
これまでに見たことのないようなド派手で大胆な演出、そして先輩たちへのリスペクトを忘れない姿に“革新と伝統”を感じさせた『KEY TO LIT Arena Tour 2025 WAKE UP THE FOOL』。「国立競技場での単独公演」を掲げる彼らなら、きっと新時代を築き、いつしか国民的アイドルになることを確信した。“THE FOOL”ーーすなわち、旅の始まりを象徴するモチーフを掲げた5人がどんな道へと進んでいくのか。その始まりの目撃者となれたことがすでに誇らしい気持ちでいっぱいだ。