コレサワ、日本武道館ワンマンを経て貫く“新しいコレサワ” 今考えるメロディと言葉の関係性
リアルサウンドが、音楽家・クリエイターをサポートする一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)とコラボレーションし、アーティストのインタビューをお届けする「Spot “Rights” powered by JASRAC」。今回は、コレサワが登場。9月の日本武道館ライブを終え、『あたしの恋人 E.P』をリリースした彼女に、今作を軸としたメロディと言葉/歌詞の関係性、そして1月から始まるツアーについて話を聞いた。(編集部)
日本武道館ライブを経て完成した『あたしの恋人 E.P』
――9月に開催した初の日本武道館のライブはいかがでしたか?
コレサワ:日本武道館には、何度かライブを観に行ったことがあったんです。「ステージから客席までは意外と近いよ」という話も聞いていたんですけど、実際に立ってみて2階スタンド席の上のほうまで距離があることに驚きましたね。でも、コレンズ(ファンの呼称)のみんながペンライトを振ってくれたおかげで、「ノってくれてる!」とわかって安心しました。なので私も、上のほうまでしっかり見えているのがちゃんと伝わっているかな、気づいてくれているかな、と思いながら、いつも以上に全方向に手を振りながら歌いましたね。「私もちゃんとあなたのこと見てるよ!」ということを示したくて。
――ご自身で武道館でライブを観たことがあるからこそですよね。
コレサワ:私のなかで、“温度差をなくす”というのが武道館ライブでの課題だったんです。どうしても座席の位置で温度差って生まれてしまうものだと思うんです。なので、リハーサルの時から「お客さんが上のほうまでいる」ということをシミュレーションしながらやっていました。視線を上にも向けられるようにしたり。本番は、そのシミュレーション通りに全部できて、「やりたいことを全部やれた!」って思いました(笑)。
――ありがとうございます。それでは、新作『あたしの恋人 E.P』のお話を。
コレサワ:「I LOVE ME」、「前髪」、「もうすぐ大人になっちゃうから」は、武道館ライブの準備に集中する前にはあった曲。ありがたいことにタイアップが決まって制作期間も結構あったので、早めに書き上げていました。「あたしの恋人」と「優しくない女の子」は武道館ライブが終わってから書いた曲です。
――失恋したから髪を切るみたいな、常套句的なシチュエーションってあるじゃないですか。その気持ちって、コレサワさんはわかりますか?
コレサワ:私、失恋して髪を切る人の気持ちがわからなくて。だって髪を伸ばすの、めちゃくちゃ時間かかるんですよ。私はロングが大好きだから、常に長い髪を保つために頑張って伸ばしているのに、「失恋ごときで切れない!」って(笑)。小さい頃からずっとロングなので、そんな簡単には切れないですね。これは自分の好みだと思うんですけど、髪の毛は長いほうがかわいいなって思うし、男の人も髪が長い人が好き。髪には色気を感じるんです。だから、失恋して髪を切ったって聞くと「どうして切っちゃうの?」って思っちゃう。私のなかで、失恋と髪の毛を紐づけたことはないんですよね。
――興味深いです(笑)。“髪型を変える”という行為については? 「前髪」は〈君が好きじゃない髪型で今日は会いに行く〉から始まっていますよね。
コレサワ:この曲の女の子は、恋人に「その髪型好きじゃない」と言われたけど、本当はその髪型が好きなんです。恋人に合わせて好きな髪型にできなかった女の子がテーマで、自分が好きな髪型で別れ話をしにいくストーリーの曲にして。私も、好きな人から「こういう髪型にしてほしい」って言われたら、もちろんしますけど(笑)。でも、恋人に「その髪型は好きじゃない」という言われ方をしたらイヤだと思う。「好きじゃない」って言われたら、自分が好きでももうできないじゃないですか。そういう縛りがあるのがすごくイヤだから、彼氏を捨てるために別れ話をしにいくという曲です。
――たしかに縛られる感じありますよね、相手の言葉に。「俺、そういうのあんまり好きじゃない」と言われて、自分を変えようとしてしまう思考は理解できます。
コレサワ:でも、本当はやめたくないんですよね。
――そう。だから“縛り”という言葉がぴったりだな、と。
コレサワ:「前髪」は、タイアップ(いち髪「流し前髪キープコーム」CMソング)のお話をいただいてから作った曲で。でも、自由に作らせていただきました。商品のコンセプトに、“風も怖くないくらい前髪をキープできる”というのがあって。自分のなかで、“前髪”とか“風”がテーマだなと思ったんです。だから、風が味方をしてくれる感じも歌詞に入れたいなと思いながら作りましたね。