VESPERBELL、結成5年で築き上げた信頼とユニットの強み 念願の初アニメタイアップ「一閃」で臨んだ挑戦
2020年6月にデビューし、それぞれに「クールさ」と「ポップさ」を持つ2つの圧倒的な歌声で人気を集めるヨミとカスカによるバーチャルガールズデュオ・VESPERBELL。彼女たちが最新シングル「一閃」を完成させた。
「一閃」は10月6日より放送開始予定のTVアニメ『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』(『ステつよ』)のOP主題歌。VESPERBELLにとって初のアニメタイアップ曲となる。2025年6月に5周年を迎えたこれまでの活動や、昨年果たしたメジャーデビュー以降の変化、そして新曲「一閃」の制作エピソードを2人に聞いた。(杉山仁)
ヨミ「ガチでケンカしたことがない」ーー5年間、仲を深め合った二人の関係性
ーーヨミさんとカスカさんは5年前、お互いに面識がない状態でVESPERBELLを組む事になったそうですが、今ではとても仲がいい印象です。結成当初、どんなふうにお互いの仲を深めていったんですか?
カスカ:何でしょう……? でも、じわじわ仲良くなったよね?
ヨミ:うん。覚えているのは、お互いに自宅で宅録している今とは違って、昔はYouTubeでカバーやオリジナル曲を投稿させてもらう際、デュエット曲はスタジオに集まって一緒に録っていたんです。なので、顔を合わせる機会が多かったのは大きかった気がします。
ーーその中で、徐々にお互いを理解して仲良くなっていったんですか。
カスカ:そうですね。それぞれに違うところも結構あるんですけど、もともと属性は似ていたというか。考え方やテンション、価値観のような部分は似ているところがあったのかなって思います。たとえば、細かいですけど、「あまり失礼なことは言わない」とか。
ヨミ:「お互い気を遣えるけれど、ふざけるところはちゃんとふざける」とか。そういう小さな部分での価値観が似ていたんだと思いますね。
カスカ:あとは……笑いのツボが似てた(笑)。
ヨミ:(笑)。
カスカ:活動が長くなってくると、大きいライブをしたり、アルバムを制作したりするときに体力的にしんどくなる場面も何度かあったんですけど、そういうときに一緒に頑張ったことでも絆が深まった気がします。でも、精神的につらいことは基本的にないよね。
ヨミ:ない。嫌な思いをするようなことはないかも、って思いますね。
ーー5年も活動していてそれはすごいことですね。
ヨミ:VESPERBELLって、ガチでケンカしたことがないんですよ。
カスカ:お互い平和主義なので、まず争うという選択肢がないんです。
ーーお互いの事を尊敬しているから、という面もありますか?
ヨミ:それはもちろんです。
カスカ:すごいと思うところはたくさんありますね。
ーーお互いのすごいと思うところを詳しく教えてもらえると嬉しいです。
ヨミ:たとえば、カスカちゃんは愛嬌のあるイメージが強いですが、普段からちゃんと考えて行動していて、ストイックなんですよ。本人は無自覚ですけど、基本的に結構自分に厳しい。あと、自分は限界値までやっちゃってくじけちゃうと立ち直るまでに時間がかかるタイプなんですけど、彼女の場合、限界にいくまでに自分で心を折って立ち直るということを平気で出来てしまうタイプで。そういうメンタルも、いつもうらやましいなって思います。
カスカ:私は逆に、ヨミちゃんの歌唱力やお客さんを煽ったりするステージングの技術面をすごくリスペクトしていますし、人当たりがよくて初対面でも誰とでも分け隔てなく接するところも尊敬しています。どんな人にもすぐ好かれて、人の輪を広げることができるのっていいなぁって思いますね。
ーー違うところは違っていて、共通しなければいけないことは共通している。いいバランスのユニットなんですね。これまでの活動の中で印象に残っていることといいますと?
ヨミ:最近、ありがたいことに外部のイベントに出させていただく機会が増えていて、そこで新しくVESPERBELLを知ってくれる方が増えているのは本当にいいことだな、と思っています。今まで応援してきてくれた人たちが好きなのはもちろんですけど、新しい風が吹くと、また新しく頑張ろうと思えるきっかけにもなるので。最近はもっと色んな人に知っていただけるような活動をしていきたい、とすごく思ったりもしています。
カスカ:私はワンマンライブですね。直近の3rdライブ『VESPERBELL 3rd ONE-MAN LIVE BEYOND』(2025年6月開催)は特に、生バンドのみなさんにも入ってもらって、「やりたかったのはこれだ!」という気持ちになりました。すごく楽しかったよね?
ヨミ:楽しかった。ライブのときにいつも考えているのは、「どれだけ楽しんで帰ってもらえるか」ということで。みんながめっちゃ声を出してくれて、身振り手振りで盛り上がってくれているのを見られるのが現地ライブの一番好きなところなので、「これからもノリやすいパフォーマンスが出来るように頑張りたい」と改めて思えた一日でした。
ーーVESPERBELLのライブはみなさんもお客さんもまるでどっちが勝つかとエネルギーを出し合うようなイメージがありますね。
ヨミ:観賞で終わってほしくないな、とは思っているんです。それよりも、「自分がライブに来た」という印象が強く残ってくれたら嬉しいので。
ーー昨年メジャーデビューしたことで感じる変化はありますか?
ヨミ:今回のようにアニメのOP主題歌を担当させていただいたり、ドラマのテーマソングに使っていただいたり(『私の死体を探してください。』の主題歌「羽化」)、それまでの自分たちだけでは手が届かなかったメディアまで橋を掛けていただいたというのはすごくありがたいことで。それが早いスパンで実現したというのもとても嬉しいですし、その分「頑張らなきゃいけないな」って思っています。
ーーお話を聞いていると、2人とも真面目さが伝わってきますね。はっちゃけるところははっちゃける一方で、根は真面目な感じがするといいますか。
ヨミ:いえ、真面目ではないです(笑)。
カスカ:普通に不真面目ですよ(笑)! 地上波で自分たちの曲を流していただける機会をいただけたというのは、メジャーレーベルならではの出来事だと感じました。
ーー今の活動で特に楽しさを感じているのはどんなことでしょう?
カスカ: 1月からボイトレに通わせてもらっているんですけど、VESPERBELLの音楽性自体が今年に入ってロックというジャンルにしっかりと固まったことで、5~6年目にして初めてシャウトやデスボイスのような今までやってこなかった歌い方にも足を踏み入れていて。「まだ初めてのことがある」ということ自体がすごく楽しいです。今まで理屈が分かっていなかった歌のテクニックをちゃんと教えてもらえるのはすごく面白いですし、ヨミちゃんも優しいので褒めてくれたりします。私は今はそういうことが楽しいですね。
ヨミ:他には……VESPERBELLの場合、活動当初はちょうどコロナ禍で、会場でライブができるまですごく時間がかかりました。それもあって、ワンマンやツーマンをやらせてもらえるようになったことがすごく嬉しいです。やっぱり、配信でみんなに会うことと現地でみんなが会いに来てくれることって、全然違うと思うんですよ。動画でしか伝えられなかったことを生で伝えられるのも嬉しいですし、それまでやれていなかったことをやれるようになると、「こういう部分が課題だな」と、自分たちの中でもっと精進していくための課題が見つかるので、そこも楽しさを感じています。この先もすごく楽しみです。
ーーライブはやっぱり特別な場所なんですね。
カスカ:ライブってその日一日だけのイベントだけじゃなくて、何日も前からみんなで少しずつ心がひとつになっていくものですよね。告知から当日に向けてみんなで盛り上がって、当日までに最大限ボルテージを上げてお祭り騒ぎをする雰囲気がすごく好きです。