カネヨリマサル、TikTokを中心に広がり続ける理由とは? SNS世代に刺さる“等身大すぎるラブソング”の魅力

 “君と私の愛を謳うロックバンド”を掲げる大阪発の3ピースバンド、カネヨリマサル。彼女たちの楽曲「関係のない人」「君の恋人になれますように」がTikTokで急速に広がり、バイラルヒットの予兆を見せている。

 2014年に結成され、2018年に現在のちとせみな(Vo/Gt)、いしはらめい(Ba/Cho)、 もりもとさな(Dr/Cho)の編成に。大阪のライブハウスシーンを中心に活動を続け、バンドとしての地力を身に着けた3人は2023年1月に1stフルアルバム『わたしのノクターン』でメジャーデビューを果たした。2024年9月に大阪城音楽堂でのワンマンライブをソールドアウト、今年1月には5thミニアルバム『昨日を生きない私達へ』リリース、その後もコンスタントに楽曲をリリースし、着実に活動のスケールを上げている。

カネヨリマサル【昨日を生きない私達へ】全曲トレーラー

 ソリッドかつポップな楽曲、3人の音がせめぎ合うバンドサウンドなど、多彩な魅力を備えたカネヨリマサル。その中心にあるのは、“共感性”の高い歌詞だ。ソングライターのちとせは自身の歌詞について、インタビューなどで“日記のよう”だとコメントしている。日常で起こる、小さくて大切な出来事を切り取ったリアルな歌詞は、10〜20代の女性を中心に強いシンパシーを呼び起こし、SNSなどでもしばしば話題になってきた。「関係のない人」「君の恋人になれますように」がTikTokでシェアされ続けているのも、リスナーが彼女たちの歌を身近に感じ、“自分事”として受け止められている証左だろう。

 ここからは「関係のない人」「君の恋人になれますように」のTikTokでのアクション、そして、歌詞の魅力について記していきたい。

「関係のない人」「君の恋人になれますように」バズのきっかけ

 「関係のない人」がバズりはじめたのは、今年7月16日にTikTokフォロワー数17万人の人気インフルエンサー・mia🎀が、楽曲の2サビ前で踊った動画を投稿したことがきっかけだった。以降、徐々にUGC(一般ユーザーによる生成コンテンツ)が増加。UGC約2万件となり、「TikTok音楽チャート」人気曲ランキング 第18位にランクイン(※1)するなどチャートアクションも好調だ。

@mianano7 君に1番に好かれたかったのにな🥺💔踊ってみてね🎶#08 #sjk #カネヨリマサル ♬ 関係のない人 - カネヨリマサル

 かつて好きだった人と離れ、もう自分とはまったく関係ない存在になっている――。頭ではそうわかっていても、心がどうしても離れられず、つい〈君にいちばんに好かれたかったのになあ〉などと思ってしまう。そんな感情をストレートに綴った歌詞は、誰かを好きになったり、別れてしまった経験がある人なら必ず「わかる……」と共感してしまうはず。実際、YouTubeのMVへのコメントでも「めっちゃ元彼に合う曲で泣きました」「まるで自分のことをそのまま書かれているような歌詞」など、自分の経験と照らし合わせて聴いていることがわかる言葉が並んでいる。軽快なバンドサウンドとメロディによって、人によっては重く捉えてしまいそうな歌詞をポップに昇華しているのも、「関係のない人」の魅力だ。

カネヨリマサル『関係のない人』MV

 そして「君の恋人になれますように」は5thミニアルバム『昨日を生きない私達へ』の収録曲。8月12日に、同じくmia🎀が楽曲の1サビ前で踊った動画を投稿。「関係のない人」の流れもあり、すぐにUGCが増え、一気にチャート上位に駆け上がった。さらに10~20代に人気恋愛リアリティーショー『今日、好きになりました。』(ABEMA)出演のインフルエンサーが楽曲を使用している。

@mianano7 君の恋人になれますように😌🙏🏻🩷是非踊ってみてね✨@カネヨリマサル #08 #sjk ♬ 君の恋人になれますように - カネヨリマサル

 また、BMSG所属・日穏(KANON)主演の映画『代々木ジョニーの憂鬱な放課後』主題歌に決定したことでも話題を集め、UGC5.1万件、前述した「TikTok音楽チャート」人気曲ランキングにランクイン(※1)し、『週間 TikTok音楽チャート』(10月1日付)では第2位を記録している(※2 オリコン調べ)。

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