9月23日に開催された『FOMARE 10周年記念無料LIVE “愛する人、場所”』。会場のGメッセ群馬は、メンバーの地元・高崎にある大型施設。オグラユウタ（Dr）が8月をもってバンドを脱退し、2人体制となったFOMAREが故郷で大きな一歩を踏み出したライブとなった。会場に集まった観客の数は約1万人。シンガロング、ハンドクラップ、クラウドサーフの嵐となったライブの模様をレポートする。

　会場内が暗転した瞬間、ものすごい歓声で包まれた会場内。1万人のパワーは、やはりものすごい。そしてステージに登場したアマダシンスケ（Vo/Ba）、カマタリョウガ（Gt/Cho）。サポートのドラマーは畝狹怜汰。「ここにいる全ての人のおかげで、愛情で、優しさで、力で、10周年を迎えることができました。ありがとうございます！」――アマダが観客に呼びかけて、「夕暮れ」がスタート。カマタがギターを弾き始めるや否や、観客のあいだから起こったシンガロングが特大級だった。続いて「SONG」と「5cm」も届けられたが、オーディエンスの一斉のジャンプでフロアが震え、クラウドサーフが次々ステージへと押し寄せる。早くも桁外れの盛り上がりが生まれていた。

　「ソールドアウト、ありがとうございます。もう感慨深くて。1万人が来てるのってやばくないですか？　全員で行こう！」――興奮した表情を浮かべながらアマダが言い、さらに曲が連発されていった。初っ端から観客のシンガロングが起こり、激しいコールも加わった「Grey」。ドラムのビートに負けないくらいの手拍子が起こっていた「stay with me」。「特別な日にしましょう！」という言葉が添えられた「夢から覚めても」は、アマダがマイクを観客に向けると、歌声が一際高まった。そして再び迎えた小休止。「すごい人ですね。1万人本当に来たんだね」と、心底嬉しそうに広大なフロアを見回したカマタ。ライブで恒例となっているコール＆レスポンス、「よう、お前ら、FOMARE好き？」「当たり前だろ、FOMARE好き！」のスケールの大きさを堪能してアマダとカマタは大はしゃぎ。「10周年を迎えて、2人でまたゼロから進んで行く。のびしろがめちゃくちゃあるバンドだと思ってます。10年やってますけど新人みたいな気持ちになれるし、初心に戻れることばかりあります。20年以上付き合ってる、このカマタリョウガに感謝してます」――アマダにいきなり名指しで感謝されて照れくさそうだったカマタ。互いに「大好き」と言い合う微笑ましいやり取りも繰り広げられた。

　「80％」を皮切りに、温かなメロディを届ける曲が暫くのあいだ続いた。翌日リリースされるEP『overturn』の1曲目「over」にじっくりと耳を傾けた観客。「かぼちゃ列車」も披露されると、掲げられたたくさんの腕がフロア内で穏やかに揺らいだ。そして「アルバ」が、サポートドラムに畝狹を招いた編成でのラストの曲となった。瑞々しいメロディが響き渡り、壮大な展開を遂げていく様に引き込まれずにはいられない。FOMAREは、美メロの宝庫のバンドでもあることを強く実感させられた。

　セットチェンジのあいだ、一旦ステージから去ったメンバーたち。準備が完了してから鳴り響いたSEは初お披露目の最新版だった。そして再登場したFOMARE。サポートドラムは、ハルカミライの小松謙太。この3人での演奏も強力極まりなかった。「Continue」が始まるや否や、マグマのような様相を呈したフロア。クラウドサーフが大量発生すると同時にシンガロングがこんなにも続くバンドは、ほかになかなかいないだろう。「いちばん人気のバラードやっていいですか？」と言いつつアマダが歌い始めた「Frozen」も、バラードとは程遠い激しいサウンドがスピーディーに展開。「君と夜明け」は、甘酸っぱいメロディが響き渡るなか、大人数のクラウドサーフがステージに押し寄せていた。

　後半戦の最初の小休止。9月に入ってから準備を始めて、完璧に仕上げてくれたサポートドラマーの2人、畝狹と小松に、アマダとカマタは心から感謝していた。そして「10年経っても、15年、20年経っても、どんな新しいことをしようが、どんなことをして誰に何を言われようが、僕たちは変わらないままこれから先も進んで行こうと思います。このタイミングで、地元で歌いたい歌です」とアマダが語り、届けられたのは「かわらないもの」。FOMAREの音楽は、聴いていると情景がありありと浮かび、物語に深く入り込める。10年間の活動のなかで育まれてきたものの大きさをあらためて感じた。「2人ってバンドっぽくないかもしれないけど、俺たち1人と1人が重なって、2人になって、そこに支えてくれるチームがいて、まじで10年ありがとうございます！　めちゃくちゃ思ってることなんですけど、2人になったFOMAREもめちゃめちゃ加速していくので、これから先もよろしくお願いします！」――アマダが力強く宣言して、「優しさでありますように」がスタート。カマタのギターに合わせて歌ったあと、ベースとドラムも合流。勇ましく疾走するサウンドを全身で浴びた観客は、興奮を露わにしながら掲げた腕を激しく揺らした。

　最新EPに収録されている「宝物」で再びクラウドサーフの嵐となり、その余韻が漂うなか、「これから先も一生よろしくお願いします！」と観客に呼びかけたアマダ。「愛する人」がスタートすると、肩を組み合った1万人の観客。フロア内に巨大なサークルが生まれ、左右に揺れながら大合唱する風景が、10周年を迎えたFOMAREに対する心のこもったプレゼントになっているのを感じた。曲が終盤に差し掛かると、ステージの背景を覆っていたバンドロゴのドロップが落下。そこに現れたのは2026年5月22日に日本武道館で単独公演を開催する旨を告げる文字であった。嬉しいサプライズを喰らった人々の笑顔が明るい。アマダの歌、バンドの演奏、観客の歌が熱く重なり合った本編ラストであった。

　アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきたアマダ、カマタ、小松。「念願の武道館、開催するってやばくね？　武道館でみんなと会いたいです！」と告げたアマダを大歓声が包んだ。ファンから贈られた寄せ書きの布を嬉しそうに掲げたカマタ。今年6月に先行してリリースした配信楽曲「サウンドトラック」を披露したあと、「FOMAREに大きな拍手をください！　そして、FOMAREを愛してる自分に大きな拍手を贈ってもらっていいですか？　またライブハウスに会いに来てください！」とアマダが言い、ラストを飾ったのは「Lani」。リフトアップされた人もたくさんいるフロアから届けられたシンガロングが、とんでもなく熱い。全力の歌と演奏を届けるFOMAREと観客の血の通ったコミュニケーションとともにライブは締めくくられた。

　「ありがとう！　武道館で待ってるぜ！」と観客に呼びかけたあと、アマダとカマタは1万人の観客がひしめき合うフロアを背景にして記念撮影。手を振り、何度もお辞儀をしながらステージを後にした彼らを大きな拍手と歓声が見送った。そして終演を迎えた『FOMARE 10周年記念無料LIVE "愛する人、場所"』――節目を経て、さらに力強く前に進もうとしている姿が全編で示されていた。これから生まれていくものへの期待が高まる。今回のライブは、大きな会場もFOMAREによく似合うことを証明していた。ライブハウスは今後も彼らのホームグラウンドであり続けるだろうが、規模の大きなホール、アリーナだからこそ体感できる昂揚感も存在する。挑戦も重ねながらさらにパワーアップする意志に満ちているFOMAREは、10周年を経てまだまだ成長期なのだと感じたライブであった。

＜セットリスト＞
01. 夕暮れ
02. SONG
03. 5cm
04. Grey
05. stay with me
06. 夢から覚めても
07. 80%
08. over
09. かぼちゃ列車
10. アルバ
11. Continue
12. Frozen
13. 君と夜明け
14. かわらないもの
15. 優しさでありますように
16. 宝物
17. 愛する人
En1. サウンドトラック
En2. Lani

■公演情報
『FOMARE LIVE at 日本武道館』
日時：2026年5月22日（金）open 18:00 / start 19:00
会場：東京・日本武道館
チケット情報は公式サイトをチェック
https://fomare.com

■リリース情報
New EP『overturn』
発売中
配信リンク：https://tf.lnk.to/overturn_stdl

・初回生産限定盤
TFCC-81152〜81153
価格：￥3,300（税込）
仕様：CD＋Blu-ray（『FOMARE揉みに揉まれて10周年ツアー』ドキュメンタリー）

・初回仕様限定盤（通常盤）
TFCC-81154
価格：￥2,420（税込）
仕様：CD

＜収録曲＞
1. over
2. サウンドトラック
3. 宝物
4. 余韻
5. 24/7

■関連リンク
公式サイト：https://fomare.com
X（旧Twitter）：https://x.com/_fomare_
Instagram：https://www.instagram.com/fomare_official
TikTok：https://www.tiktok.com/@fomare_official?_t=ZS-8zMCmp7x7Vo&_r=1
TOYʼS FACTORY アーティストページ：https://www.toysfactory.co.jp/artist/fomare