New Releases In Focus

　毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は米津玄師「IRIS OUT」、Number_i「Numbers Ur Zone」、コレサワ「I LOVE ME」、BE:FIRST「BLUE」、m-flo loves RIP SLYME「ARIGATTO」、羊文学「doll」の6作品をピックアップした。（編集部）

米津玄師「IRIS OUT」

　劇場版『チェンソーマン レゼ篇』の主題歌として制作された「IRIS OUT」は、米津玄師流のエレクトロスウィングと称すべき楽曲。シンプルな4つ打ちを軸にしたリズムアレンジ、華やかに激しくドライブするベースライン、煌びやかなピアノのフレーズが絡み合い、一瞬にして、聴く者の気分をここではないどこかへと連れ去ってしまう。挑発的なラップと流麗なメロディとともに描き出されるのは、理性や常識や倫理を吹っ飛ばしてしまうほどの衝動的な愛。音楽にも映画にもドラマにも様々な規制がかけられ、もちろんそれは時代の進歩でもあるのだが、ときにはすべてを吹っ飛ばして本能に身を任せてみたい。そんな欲望の放出を疑似体験させてくれるアンモラルなダンスナンバーだ。（森）

Number_i「Numbers Ur Zone」

　2ndアルバム『No.Ⅱ』より先行配信される新曲。作詞はPecoriとNumber_i、作曲はMONJOE、SHUN、Number_iであり、デビュー曲「GOAT」から続くタッグの相性の良さ、さらにはクリエイターとして飛躍を続けるグループの現在地が窺える。ベースはHIPHOPだがジャズやR&Bのフレーバーが散りばめられており、メロディや声色はとびきりセクシー。歌い出し〈勘違いじゃないこの冒険〉の意外すぎる譜割り、MVに見るダンスの難易度など、思わず唸る瞬間の連続である。ただ、ゴリゴリに攻めていると驚くわけではない。彼ららしく遊んでいる印象を受けるのは、Number_iが築き上げてきたブランド力なのだろう。アルバムに期待。（石井）

コレサワ「I LOVE ME」

　ワコールとのコラボレーション楽曲で、ブランドメッセージ「愛するわたしへ。Love your moment.」をテーマにした書き下ろし。恋人や元カレ、彼の元カノなど、ユニークな視点で綴るラブソングが多いコレサワだが、この曲の対象は終始〈あたし〉である。息を弾ませて笑い出すように歌う楽曲とは異なり、ピアノ一本でしっとり歌い始めるところにこだわりが見える。とはいえ内省的な曲というわけでもなく、ストリングスやドラムが入ってくる中盤からサウンドは軽やかに跳ね始める。落ち着きと躍動感の対比が聴きどころ。〈誰にも見せないところ／1番可愛くしてこうよ〉など、自己肯定の言葉もたっぷり。（石井）