「サマーヌード」「イケナイ太陽」「熱帯夜」……“平成”夏ソングなぜリバイバルヒット?
本日8月29日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に、3週連続企画「夏の名曲パフォーマンス」第二弾として真心ブラザーズが登場。1995年にリリースした楽曲「サマーヌード」を披露する。
同曲は、ポップに振り切ったメロディとブラックミュージック風のアレンジによるサウンド、そして夏のきらめくような情景描写と楽しげなムードが特徴的なナンバー。1997年には、ディスコ調の大幅なアレンジを加えたセルフカバー「ENDLESS SUMMER NUDE」もリリースされた。土岐麻子やbird、クラムボンといったアーティストたちにカバーされているほか、2010年放送のドラマ『モテキ』(テレビ東京系)でも挿入歌として印象的に使用されるなど、ポップカルチャーシーンを横断して愛され続けてきた名曲だ。
「サマーヌード」の名前を大衆に広めたのは、2013年放送のドラマ『SUMMER NUDE』(フジテレビ系)だろう。同曲をイメージして制作された同ドラマは、“月9枠”として山下智久主演で放送。山下によるカバー「SUMMER NUDE '13」が主題歌に起用された。フジファブリック「若者のすべて」(2008年)も重要な楽曲として劇中で使われており、その後の夏ソングリバイバルを語る上で欠かせない作品になった。リリースから30年、そしてドラマ『SUMMER NUDE』放送から12年の時を経た今、お茶の間に「サマーヌード」が届けられるのが楽しみだ。
夏曲のリバイバルヒットと言えば、ORANGE RANGE「イケナイ太陽」の“令和ver.”MVも世代を超えて注目を集めた。MVには『M-1グランプリ2024』(ABCテレビ/テレビ朝日系)にてORANGE RANGEにまつわるネタを披露したマユリカが出演しているほか、72個におよぶ“平成あるある”が詰め込まれている。そんなユニークな映像が多くの視聴者に刺さったようだ。
個人的な話になるが、筆者は1994年生まれの31歳。小学校高学年から中学生にかけては、どこに行ってもORANGE RANGEの楽曲が流れていたような“超ORANGE RANGE世代”だが、同世代のボリュームゾーンを撃ち抜くようなあるあるネタとパロディにはつい反応してしまった。元ネタのバリエーションも幅広く、ドラマ『ごくせん』(日本テレビ系)やバラエティ番組『学校へ行こう!』(TBS系)、『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』(フジテレビ系)といった当時のテレビ番組から、GReeeeN(現GRe4N BOYZ)「愛唄」や修二と彰「青春アミーゴ」といった一世を風靡した楽曲、“ハンカチ王子”として注目を集めた元野球選手の斎藤佑樹や小渕恵三による平成の年号発表といったこの時代を象徴する人物や出来事が散りばめられている。そのほか、当時の学生がこぞって飲んでいた紙パックの紅茶、ガラケー全盛期を象徴する“新着メール問い合わせ”や“赤外線通信”など、日常に溢れていた“平成あるある”が盛り込まれているのも印象的だ。
そんなノスタルジックなMVは、ORANGE RANGEのファンにとどまらず、平成(特に初期〜中期)を学生として過ごした世代を中心に大きな反響を呼び、7月10日付「YouTube Music Charts」ウィークリー ミュージック ビデオ ランキングでは1位を記録した(※1)。