AwichからTy Dolla $ignまで、コラボ制作秘話

――今年2月にはAwichをはじめとするアジアのトップラッパーが集結した「ASIAN STATE OF MIND」（Awich, Jay Park, KR$NA, Masiwei & VannDa）がリリースされました。このプロジェクトに参加した感想を教えてください。

Jay Park：Awichさんはアーティストとしてすごくかっこいいですし、日本のヒップホップを世界に広めているパイオニアだと思っているんです。この曲にはインドからKR$NAさん、中国からMasiweiさん、カンボジアからVannDaさんと有名なラッパーが集まっているんですけど、僕もそこに参加できたことがすごく光栄でした。

――その後、交流は続いていますか？

Jay Park：VannDaさんとは会ったことがなかったんですけど、この曲を通じてお互いにリスペクトすることができましたし、いつかはみんなで直接会って何かやりたいねという話はしています。皆さんすごく活躍している方なのでお互い忙しいですけど、今も連絡を取り合っていますよ。

――Jay Parkさんの目に今のアジアのヒップホップはどう映っていますか？

Jay Park：「ASIAN STATE OF MIND」もそうですが、今はアジアのいろんな国に上手いラッパーがたくさんいると思っています。ラップはもともとアメリカ発祥ですけど、自分の国の言葉でラップすることはすごくいいことだと思っていますし、自分の国の言葉でラップすることによって自分の国をレペゼンすることにもなる。それぞれ国は違うけど、一緒にやればやるほど力は上がっていくと思うので、アジアの方たちで力を合わせて、アジアのヒップホップをもっともっと大きくしていきたいと思っています。

――過去にはJP THE WAVYやMIYACHI、AK-69とコラボしていますが、これからコラボしてみたい日本のアーティストはいますか？

Jay Park：千葉雄喜さんとはコラボしてみたいですね。ラッパーじゃないけど藤井 風さんとも一緒にやってみたいです。僕のことを好きと言ってくれたり、僕が好きなアーティストとは今後ぜひコラボしたいです。

――千葉雄喜さんの世界的な活躍をどう見ていますか？

Jay Park：彼がKeith Apeとコラボした「잊지마 (It G Ma) (feat. JayAllDay, Loota, Okasian & Kohh)」は韓国でも大ヒットしましたし、そのときから彼のスタイルはかっこいいなと思っていました。名前を千葉雄喜に変えましたけど、ずっとかっこいい音楽をやっているなと思いますし、最近はミーガン・ザ・スタリオンともコラボして「Mamushi (feat. Yuki Chiba)」で〈私はスター〉を世界に広めた。自分らしい音楽を続けている印象があるので、そういう部分をすごくリスペクトしています。

――コラボといえば、昨年出したアルバム『THE ONE YOU WANTED』には「Mayday (Feat. Ty Dolla $ign)」が入っています。Ty Dolla $ignとコラボしてみた感想は？

Jay Park：この曲はシアトルでArt of MovementというBボーイのクルーを組んでいた頃の仲間 Cha Cha Maloneと作った曲で、自分でも好きだったんですけど、共通の知り合いを通じてTy Dolla $ignに連絡してみたら気に入ってくれて、今回のコラボが実現したんです。僕は韓国語で歌ってるし、Ty Dolla $ignは英語で歌ってるんですけど、違和感がまったくなくて、自然な仕上がりになったのですごくいいコラボになったなと思っています。

――その他、アルバムの中でぜひ聴いてもらいたいコラボ曲は？

Jay Park：IUさんとの「GANADARA (Feat. IU)」ですね。韓国では僕とIUさんに対するイメージがまったく違うから聴いた人たちは新鮮だったと思うし、意外とこの2人は合うねという声も多かったので嬉しかったです。あとはKISS OF LIFEのNATTYと作った「Taxi Blurr (Feat. NATTY of KISS OF LIFE)」かな。NATTYと僕は15歳差があるんですよ。その年齢差で違和感なく歌うことは難しいことなのに、R&Bを一緒に歌ってもしっくりきた。NATTYは実年齢に比べて大人っぽいし、R&Bに合う声なので、彼女とのコラボは特に印象に残っています。

新レーベル「MORE VISION」で生み出したいもの

――アルバムには2022年に立ち上げた新しいレーベル「MORE VISION」の練習生であるISOLが参加した「Piece Of Heaven (Feat. ISOL of MORE VISION)」という楽曲も収録されています。この「MORE VISION」というレーベルはどんな思いから設立したんですか？

Jay Park：僕は今までに「AOMG」「H1GHR MUSIC」「MORE VISION」という3つのレーベルを立ち上げてきました。「AOMG」と「H1GHR MUSIC」はヒップホップやR&Bのアーティストのレーベルで、今度はアイドルを作りたいと思って「MORE VISION」を立ち上げたんです。今、男性のアイドルグループと女性のアイドルグループの2つを準備しています。

――その2組の名前は？

Jay Park：まだ教えられないんですけど、来年の頭にはデビューさせようと考えています。男性アイドルグループの方はメンバーも決まりました。

――立ち上げて3年ですが、これまでを振り返ると？　

Jay Park：始めたときは本当に厳しくて、僕にとってはすごく挑戦だったんです。会社を作る場所もなかったですし、最初はスタッフが4人しかいなかったから。でも、今は50人くらいになりましたし、自分が自信を持って世に出せるアイドルグループを2組準備できているので、想像していたよりも速いスピードでここまで進んできているんじゃないかと思います。

――現段階での「MORE VISION」の目標を教えてください。

Jay Park：僕はアイドルから始まって、R&Bシンガー／ラッパーとして活動しているので、その経験を活かしたアイドルを作りたいんです。ヒップホップのレーベルを作ったあとにアイドルのレーベルを作ることも変わっていると思うし、特別な経験をしている僕の視点でアイドルを作れば、他とは異なるアイドルが生まれるんじゃないかと思っているんです。

――シンガー、ラッパー、モデル、レーベル経営、さらにはお酒「WON SOJU」のプロデュースまでマルチに活動されていますが、今後はどんなことに注力していきたいですか？

Jay Park：今までやってきたアーティストとしての活動はこれからも続けていきますが、それより今はレーベルやお酒など、会社の代表という立場を任されているので、所属アーティストやスタッフのすべてに僕が責任を負わなきゃいけないと思ってるんです。その人たちの未来を任されているので、いいアーティストを作ることはもちろんですが、人としてもいい人を育てていかなきゃならないなって思っています。僕たちはアーティストである前にひとりの人間なので、人として成長していくことが大事。その上で、それぞれのやりたいことに向かった方が、いいアーティストにもなると思うし、いいスタッフにもなっていくと思うんです。

――“いい人”であるためには、どんなことが大事だと考えますか。

Jay Park：真面目さや素直さですね。お金持ちになったり、有名になったりすると、そこを見失う人が多いと思うから。いくらお金持ちになったり有名になったりしても真面目さや素直さを忘れずに仕事をし続けられる人がいい人になると思います。

――謙虚な姿勢を忘れずに、ということでしょうか。

Jay Park：そうです。ありがたみを忘れずに、すべてのことに感謝する気持ちが大事。誠実さを忘れずにいてほしいなと思います。

――最後に、日本のファンに向けて、今後の活動で期待してもらいたいことを教えてください。

Jay Park：今回のシングルをきっかけに、日本での活動にも力を入れていこうと思っているので期待していてください。今、日本の活動を始めて本当に楽しいんですよ。日本のプロデューサーと仕事をするのも楽しいですし、日本語を喋るのも僕にとって新鮮だから楽しくて。日本の文化はとても好きだし、これから日本での活動を頑張っていきたいと思っているので応援してもらえると嬉しいです。

※ライブ写真はすべて『2025 Jay Park World Tour [Serenades & Body Rolls] In Japan』より。

◾️リリース情報
Jay Park「Whenever」
配信中：https://jvcmusic.lnk.to/JayPark_Whenever

Jay Park アーティストサイト