M!LK、最大動員ツアーで広げる表現の振り幅 全身全霊で届けた横浜アリーナ公演レポ

 結成10周年を迎えたM!LKが、6月15日、神奈川・横浜アリーナで『M!LK CONCERT TOUR 2025 "M!X"』を開催した。M!LK史上最大動員数のツアー。10周年、そしてメンバー自身が積極的にアイデアなどを出し合い制作したアルバムの楽曲を中心に構成されるツアーということで、この日もより深く、そしてより表現の振り幅を広げたM!LKの魅力が味わえるステージが繰り広げられた。

 メンバー紹介の映像が終わるとメインステージで何度も炎が吹き上がり、花道の先に設けられた円形センターステージの中央から5人が姿を現した。フェザーをあしらったピンクの衣装を身に纏い、シリアスな表情で歌い始めたのは「give you」。曽野舜太がいつもの笑顔を封印して「横浜!」と雄々しく叫ぶと、客席からもその勢いに負けないような声が上がる。途中メンバーの表情を捉えていたカメラが、人生初だという金髪の塩﨑太智を映し出すと、驚いたような歓声も湧き上がった。クールで大人な幕開けから一転、2曲目の「エビバディグッジョブ!」は笑顔全開。難易度MAXのコールを全員で楽しみながら、ハッピーな空間を作り上げた。メインステージに戻った5人は、ポジティブなエネルギーを放つ「ハロー!」を披露。恒例となっている個々の挨拶で吉田仁人は「いやぁ、嬉しい! 横浜アリーナでライブできて嬉しい!」と喜びを爆発させる。「topaz」では2階建てになったメインステージを立体的に使いながら魅了。オープニングから次々と表情を変え、M!LKの魅力を余すことなく伝えていた。

 ギター、ファッション、勉強、筋トレ、料理。それぞれの部屋でプライベートタイムを過ごしている5人が、聴こえてきた音楽によって一つになっていくというインタールードの映像を経て始まった次のゾーンは、ガイコツマイクでM!LK流のロックンロールを表現した「LUCKY CALL」から。パステルカラーを基調としたジャケットにはスイーツをモチーフとするパーツが仕込まれていて、海外のレトロなキャンディショップのようなイメージだ。イコライザーの映像をバックに、ロックバンドのセッティングを想起させるイントロから始まった「Kiss Plan」。山中柔太朗と吉田が互いの首に回した腕をグッと引き寄せるなど、情熱的でセクシーな楽曲の世界観を作り上げる。「テレパシー」では花道へ飛び出して笑顔でステップを踏み、その後はパイナップルにソフトクリーム、イチゴ、青いロリポップ、桃の小道具を手に可愛らしさ全開で「ブンブンブン」を披露し、前半戦は終了した。

 最初のMCでは口々に「楽しいね」「すごいね」を連発しながら、「飛ばし過ぎて、後半まで体力持たないかもしれない(笑)」(佐野)、「みんなの声援がすごい。イヤモニ飛び抜けてくるんだよね」(吉田)など、リアルな気持ちを伝える5人。その後は佐野が「芸能生活史上、一番すべった(笑)」という前日の公演を振り返っていたが、それでも楽しいという気持ちを隠しきれていない佐野の言動について「普段はあんなことやらない。今日めっちゃ楽しそうだもん」と塩﨑が分析し、「正直、ちょっとダサいもんね(笑)」と吉田も便乗。最終的には5人が2ショット撮影会でどんな風にみ!るきーず(M!LKファンの呼称)と接しているかのシュミレーションにまで発展したのだが、あまりのリアルさに会場は大爆笑となっていた。

 5人揃って華麗なバク転をキメた「Break it down」から、鏡を使ったシックなインタールードへ。艶やかなビジューが施された衣装で登場した5人は、映像の世界観を受け継ぐようなセットで色気たっぷりに「Diary」を披露し、低音の効いたダンスチューン「Weekend」ではクールな身のこなしで大人の夜を演出。アルバムの中でもかなり個性的な存在感を放っていた「Buffalo Shuffle」は、吹き上がる炎と野生的なビートによって真夜中の狂宴を思わせる仕上がりだ。表現者/アーティストとして作り上げるこういった世界観もまた、近年の作品で確立させてきたM!LKの新境地。クールかつワイルドに振り切ったパフォーマンスでみ!るきーずを圧倒したあとは、キラキラの笑顔を振りまきながらトロッコで会場を一周した。

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