Mrs. GREEN APPLE、あいみょん、RADWIMPS、LiSA、Aimer、aespa……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はMrs. GREEN APPLE「Carrying Happiness」、あいみょん「いちについて」、RADWIMPS「命題」、LiSA「残酷な夜に輝け」、Aimer「太陽が昇らない世界」、aespa「Dark Arts」の6作品をピックアップした。(編集部)

Mrs. GREEN APPLE「Carrying Happiness」

Carrying Happiness

 ついに来たディズニーリゾートとのコラボ。現在開催中のディズニーリゾートのスペシャルイベント『サマー・クールオフat Tokyo Disney Resort』のテーマソングとしての書き下ろし新曲は、日常にカラフルな色彩が降り注ぎ、何もない夜が豪華なパレードに変わっていく、どこまでもディズニーリゾートらしい完璧なテーマソングとなった。始まりは四つ打ちのダンスミュージックだが、2番になるとテンポやAメロの主旋律も変わり、そのあと間奏では美しいコーラスが次々と加わっていく。さながら舞台背景がくるくると変わるミュージカルのようで、ラストはキャスト全員が踊り出す圧巻のフィナーレへ。とにかく幸福感満載ではあるが、〈世界はHappinessで満ちてる〉というフレーズは、ただの楽観ではない、大森元貴(Vo/Gt)の信念なのだろう。(石井)

あいみょん「いちについて」

あいみょん - いちについて【Official Audio】

 ドラマ『19番目のカルテ』(TBS系)主題歌となる新曲。時代のスピードに比べればゆったりした楽曲の多いあいみょんだが、これはことさらテンポを落としたアコギ弾き語りのバラード。このBPMの選択と〈簡単に幸せになれる方法を探してる〉という歌い出し自体に鋭い批評性を感じてしまう。誰もがつまずき、傷ついて生きていく。人生のままならなさを多彩な比喩を用いて歌い上げる曲で、〈善の端くれで指を切る〉など、思わず唸ってしまう一節も。また、ほとんど装飾音の入らない楽曲とはいえ、中盤に入ってくるドラムはスネアの音質がかなり特徴的。柔らかな世界観に一瞬のヒビを入れる役割を担っていて、これはアレンジャーの見事なお仕事だ。(石井)

RADWIMPS「命題」

RADWIMPS - 命題 [Audio]

 10月8日に約4年ぶりとなるニューアルバムをリリースするRADWIMPS。先行配信されている『news zero』(日本テレビ系)テーマソング「命題」は、真偽を判定できる文や式を意味する題名の通り、現代の社会にもっとも必要なテーマを含んでいる。〈誰もが幸せになれるわけではないこの世界〉において、「生きる意味とは何か?」を探し続け、いつかいなくなってしまう我々という存在。そのことを真正面から見つめながら、RADWIMPSはそれでも生を諦めることなく、圧倒的な強度と鋭さを共存させたバンドサウンドとともに、リスナーをまだ見ぬ明日へと力強く誘ってくれる。さらにスピードを上げながら本質へと近づこうとするRADWIMPSは間違いなく、何度目かのピークを迎えようとしている。とりあえず『FUJI ROCK FESTIVAL'25』のステージが楽しみだ。(森)

LiSA「残酷な夜に輝け」

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』公開中CM(LiSA『残酷な夜に輝け』ver)

 『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の主題歌のひとつとなる新曲。かつて社会現象を巻き起こした『鬼滅の刃』×LiSAのタッグ再びということでプレッシャーも相当あったはずだが、過去曲を超えていく創造性は確実に発揮されている。作品に関するインタビュー(※1)を読むと、作詞作曲を担当する梶浦由記が最初に書いた曲はダークな気持ちに寄り添ったもので、それだけではなく決意を歌いたいと感じたLiSAが直接話をした後に、サビが書き換えられたという。ひとつのキャラクターや感情に偏らない楽曲は壮大な組曲のように展開し、思いもよらない表情を次々と照らしていく。途方もないスケールの6分半。今のLiSAは、『鬼滅の刃』に憑依し、ともに進化する無比の存在だ。(石井)

Aimer「太陽が昇らない世界」

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』公開中CM(Aimer『太陽が昇らない世界』ver)

 爆発的なヒットを記録している『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のW主題歌をLiSAとともに担っているAimerの「太陽が昇らない世界」。映画の序盤、鬼殺隊の面々が無限城に突入していくシーンで使用されているこの曲は、緊張感、スピード感、そして、苛烈な戦いに向かう決意が響き合うアッパーチューンだ。高音から低音まで幅広い音域をフルに活かしながらAimerは、『無限城編』の世界観を鋭く描き出すと同時に、シンガーとしてのポテンシャルの高さを改めて証明している(レコーディングでは、実際の映画の映像を観ながら歌ったという/※2)。作詞は映画の総監督であるufotableの近藤光、作曲は劇伴を手がける椎名豪。総力戦で挑む姿勢もまた、映画のストーリーと重なっている。(森)

aespa「Dark Arts」

aespa x PUBG 'Dark Arts' Collaboration Film

 バトルロイヤルゲーム『PUBG:BATTLEGROUNDS』とのコラボレーションした新曲「Dark Arts」は、asepaの個性とゲームの世界観による強烈なケミストリーに溢れている。鋭利なギターの弦の響きとアグレッシブなリズムを軸にしたトラックには、ヒップホップ、ロック、エレクトロといった幅広いファクターがひしめき合い、聴く者の身体を激しく揺さぶる。メンバー全員の強い意志がぶつかり、チームとしてのパワーへと結びつくボーカル編成もきわめて挑戦的だ。「Dark Arts」=“闇の魔術”、“禁断の魔術”をテーマにしたリリックもとことん刺激的。〈We atta-ta-ta-tackin'〉(私たちは攻撃する)というフレーズをこんなにもかっこよく響かせられるのは彼女たちしかないと思う。(森)

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