木村拓哉、抜群のスター性で届ける真摯なメッセージ “Crewとの再会”を祝した輝かしいツアー映像を観て
木村拓哉のライブ映像作品『TAKUYA KIMURA Live Tour 2024 SEE YOU THERE』が届けられた。
2024年9月から12月にかけて、5都市8公演で行われたワンマンライブツアーから、10月14日の横浜アリーナ公演のステージを収録した本作。アルバム『SEE YOU THERE』(2024年)を携えたこのツアーは、木村とCrew(ファンの名称)にとって“約束の場所での再会”という強い意味を帯びていた。
2022年1月にリリースされた2ndアルバム『Next Destination』はコロナ禍の最中で制作された作品だ。山下達郎、真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)、糸井重里、Creepy Nuts、鈴木京香、平井 大、Kj(Dragon Ash)、MAN WITH A MISSION、明石家さんま、BEGINらが楽曲提供した本作には、リリース時に発表された木村のコメントにもあるように、「こんな状況だけど、踏ん張っていこう」「次の目的地を探そう」というメッセージが込められていた。さらに同年2月から3月にかけて全国ツアー『TAKUYA KIMURA Live Tour 2022 Next Destination』を開催。様々な制約の下で行われたこのツアーの中で木村が抱いた想いをテーマに据えて制作されたのが、昨年8月にリリースされた3rdアルバム『SEE YOU THERE』だったというわけだ。
困難な時期を乗り越え、「あの場所で会おう」というメッセージを掲げた木村。今回リリースされた『TAKUYA KIMURA Live Tour 2024 SEE YOU THERE』は、コロナ禍から続いてきた『Next Destination』『SEE YOU THERE』の想いが実を結び、ついに「あの場所での再会」が実現した瞬間を捉えたライブ映像作品なのだ。
そんなツアーに懸ける木村の心情は、オープニング映像にもダイレクトに刻まれていた。最初にスクリーンに映されるのは『SEE YOU THERE』というタイトル。さらに前作『Next Destination』のシンボルである鷲が現れ、“THERE”の“T”を掴んで飛び去っていく。最後に現れたのは「I’m HERE(ここにいる)」という文字だった。
凄まじい歓声の中で放たれたオープニングナンバーは「I’ll be there」。力強いボーカルとともに響き渡った〈夢 描いた瞬間を/この手で掴むため〉というフレーズには、このツアーを行うことの意義そのものが強く反映されていた。最初のMCで木村は「みんなが望むような場所を用意できるだろうか? と思っていたけど、客席にみんながいないと完成しないんだと改めてわかりました」と語っていたが、“この場所”での再会は言うまでもなく、彼にとっても極めて大事な意味を持っていたはずだ。
ライブの中心はもちろんアルバム『SEE YOU THERE』の楽曲。「“今の兄さんだったら、こういうのはいかがでしょうか?”というナンバーを届けてくれました」と紹介された堂本剛の提供によるファンクチューン「Crazy in love」。女性ダンサーとの絡みも印象的だったシックなダンスナンバー「Cherry Bomb」。月の映像とともに披露された、久保田利伸作曲のオーセンティックなソウルバラード「’Cause I love you」。そしてライブ前半のハイライトは、吉田拓郎の作詞・作曲による「君の空気に触れた瞬間 (とき)」だった。ギターを弾きながら〈わかった事は ただ1つ 自分の空を飛べばいい〉というフレーズを手渡すように歌う木村。その姿から伝わってきたのは、真摯なメッセージの送り手としての在り方だった。