東京ゲゲゲイ MIKEY×BE:FIRST RYUHEI 特別対談 お互いに受ける刺激、ダンサーとしてのリスペクトを語り合う
「何年もしてから一緒に踊ろうと言ってくれることが嬉しすぎ」(MIKEY)
ーー(笑)。交流がありつつ、今回「Gee Gee TRAIN」で再びコラボされました。どういった経緯でコラボに至ったのでしょうか。
MIKEY:この曲はZOOの「Choo Choo TRAIN」のオマージュ曲でもあるんですね。「Choo Choo TRAIN」はHIPHOPカルチャーで言うとミドルスクールのムーブメントに値するので、そういった動きのパロディーもしたいなと思っていました。でも、それだけではつまらない。新しいものも振りの中に入れたい、と。ただ、私はもう1人で振りを作るのに飽きていて、誰かと作りたいなと話していたんです。そうしたらマネージャーが「RYUHEIさんはどうですか?」と言ってきまして。でも、RYUちゃんってアーティストじゃないですか。BE:FIRSTじゃないですか。そういう子が、私みたいな生きているか生きていないかわからないような人間の振り付けをするわけがないと思って(笑)。マネージャーに「するわけねぇだろ!」って言ったんです。
RYUHEI:いやいやいや(笑)!
MIKEY:でも、うちのマネージャーのいいところは、深くわかっていないから空気が読めない(笑)。BMSGさんにマネージャーから「RYUHEIさん、振り付けしませんか」って送っちゃったんです。そうしたらRYUちゃんが「ぜひ!」とまさかのOKをしてくれました。
RYUHEI:個人的に「アーティストだからこうしなきゃいけない」というような枠には収まりたくないし、自分の新しい一面を見てもらいたいと思っていたので、オファーをもらった時は本当に嬉しかったです。それ以上に、またご一緒できる機会をいただけたことがありがたかったですね。
ーー振り付け作業は、お互いに「相手に合わせよう」と思っていたとか。
RYUHEI:そうですね。MIKEYさんはいくつも振りを作られている方だから、僕はトレースしながら作っていこうかなと思っていました。でも、カジュアルに相談しながら、思ったよりもめちゃくちゃフランクに作れました。
MIKEY:「どうやって作っていく?」と聞いたら、「MIKEYさんが作ったものをベースに、自分が協力できたら」と言うんです。「いや、私はRYUHEIが作った振りを踊りたいから、アンタ作って」って(笑)。でも音楽をループで流し続けて2人で乗りながら「その動きいいね」みたいな作り方、小節で分けてそれぞれ振りを作って繋ぎ合わせる作り方など、結局一緒に作ったよね。
RYUHEI:はい。
MIKEY:私ね、改めてRYUちゃんと合うなと思ったかな。今までも誰かと一緒に振りを考えることはありましたが、「その動きはないだろう」と思うことってあるんですよ。私も相手に思うし、相手も私に思うだろうし。それって、美意識や文化、趣味嗜好みたいなものなんですよね。でもRYUちゃんの場合、それが一切なくて。世代も違うし、好きな動きやテイストも違うと思うのですが、「この音に対してこの動きはセンスないよね」という部分が近いんだと思います。
ーーそういった感覚はどうやって養われるのですか?
MIKEY:多分、見てきたものや感じてきたもの、好きなものとかなんですけど、「これだ」とは言語化できないです。いわゆるセンスというやつなのかも。
RYUHEI:そうですよね。僕も感じたことがあって。まず、MIKEYさんは音の拾い方が本当にプロだということ。それと、昔の振りをたくさん見てきているからこそ、スタイルが変わっていたりするのかなと思っていたんです。ダンサーって急に踊り方が変わるというのはよくある話で。でもMIKEYさんは、一つのジャンルにこだわる方ではないので、いつでもオールマイティなんですよね。「あ、オール“マイキー”さんだな」と思いました(笑)。
ーーうまい(笑)! ちなみに、同曲に限らず振り付けを作る時の“型”などはお持ちなのでしょうか。
RYUHEI:僕はフリースタイルから入るので、まず音を聴いて「ここはドラムの音を取ろう」など考えながら当てはめていくことが多いかもしれません。あとはヒットを使いすぎない。たまにずっとヒットを繋げる方もいらっしゃいますが、僕はヒットって必殺技だと思っていて。普通の振りの中に1個ヒットを入れるくらいの感覚を意識しています。
MIKEY:私に“型”はありません! どうなんだろう、あるのかな? RYUちゃんから見て私の型ありそう?
RYUHEI:えー、どうなんだろう。でも、グルーヴに対してもMIKEYさんのクリアさってダンサーの中でも唯一無二というか。超細かくてクリアだし、そういうところは振り付けになった時に再現性が高いなとは思います。
MIKEY:すごい褒めてくれるじゃん! でも、この答えはすごく偽善者っぽくなってしまうのですが、自分のために振り付けを作れないんですよ。なので、一緒に踊るダンサーの子に合わせて「この子はこういうムーブをしたほうが輝くな」とか、「私はこう動きたいけど、こう動いた方が見ている人は驚くだろうな」とか、そういうことに迎合しちゃうんです。だから振付師として最低だと思います。
RYUHEI:いやいやいや、どういうつもりで言っているんですか(笑)!
MIKEY:(笑)。でも、本当に「こうじゃなきゃ」というのがないので、ダメなんです。
RYUHEI:それって、無意識のうちにプロデュースして振りを作っているみたいなものですよね。
MIKEY:そうなのかな。ダンスの前に、まず音楽が好きなんですよ。音楽が好きでないと振りは作れないと思うし、音楽あってこその振りですから。だから、“型”と言われたら「音楽を愛すること」なのかもしれません。
RYUHEI:MIKEYさんが言うと深みがある。僕はまだMIKEYさんのことを深く知りきれてないですが、例えば人生で好きだった曲のプレイリストなどには性格が出ると思うんですね。僕はMIKEYさんのプレイリストがあったとしたらかっこいいと感じると思いますし、憧れていたのはまさにそういうところだったんだと思います。そういう意味でも、先ほどMIKEYさんが言ってくれてた「センスが近い」に繋がるのかな、と。
MIKEY:RYUちゃんが私のワークショップを受けてくれたのってご両親がお願いしたとかじゃないんだよね? だったら、多分小さいながらも何か引っかかるものを感じてくれたんだろうね。だからこそ感性が近いんだと思う。
RYUHEI:たしかに。今はSNSがあるからいろんなダンスクルーがいますけど、前はワークショップを受けに行ったり、「こういうダンサーさんがいるよ」と周りで教え合ったりしていて。その中で東京ゲゲゲイの話はよく挙がっていましたし、僕は名古屋が拠点だったのでワークショップで名古屋に来てくれると知った時に絶対に受けたいなと思ったんです。
MIKEY:嬉しい。RYUちゃんが受けに来てくれていた2016年、2017年くらいって、私、恋愛でボロボロだったんです(笑)。本当に辛かったので、名古屋でワークショップをしつつも絶望していて。でも生きていくためにワークショップをしていました。そこに幼少期のRYUちゃんがいて、何年もしてからこうして一緒に踊ろうと言ってくれることが嬉しすぎて泣いちゃいます。縁を感じました。