リュックと添い寝ごはんが『満漢全席』で届けた最大級の愛と8年の歩み 敬愛する星野源「SUN」のカバーも

最終盤ではバンドの原点「青春日記」、アンコールでは星野源「SUN」も披露

 堂免渾身のベースプレイから「疾走」に突入すると、アイリッシュ風味の性急なリズムにオーディエンスが飛び跳ねる。叫び声を上げたり、歌ったり、松本が言葉にしていた“自由”がどんどん形になっていく。そんなフロアを前に「まだまだ踊れますか?」と煽り、ここで投下されるのが「天国街道」だ。松本も堂免もぬんも好き勝手に体を弾ませながら音を届ける。〈一二三のリズムで踊らにゃ損々〉ーー場内にいる全員の声が合わさって最高潮に達したところで、「この日のために作った新曲やっていいですか!」と満を持して披露されたのは、配信されたばかりの新曲「満漢全席」だ。真部脩一(Vampillia、集団行動、進行方向別通行区分 / ex.相対性理論)との共作で再構築された新鮮なサウンドが、ミラーボールに照らされたフロアを踊らせる。そんな光景を眺めながら「ここが僕らの桃源郷だ!」と松本が叫ぶ。その言葉は、確かな実感だったろう。フロアからも「暑い!」の声が飛ぶくらいに、Zepp Shinjuku(TOKYO)は熱く盛り上がっている。

 曲を終えると、いよいよライブは最終盤。堂免に向けて「おめでとう」という言葉が飛ぶ。そう、彼は3月1日に誕生日を迎えたばかりなのだ。そんな幸福なムードの中、松本はバンドを続けて8年、多くの人に支えられてここまで来たことに感謝を述べる。そして「苦しいなって思う、やるせ無い毎日なんですけど、こういう特別な1日があるから、そんなのちっぽけなことになっていく。こうして集まれることがなにより幸せなんじゃないかな、これが愛なんだと」と語ると、「最大級の愛を込めて」と「Thank you for the Music」を歌い始めた。音楽への愛を迸らせるこの曲を届けながら「いつでも僕たちはここにいるから。寂しくなったら帰ってきて」。バンドとして積み重ねて来た時間が自信となって、「ここにいる」という確信を生んでいるーー松本が歌いながら伝えたメッセージに、僕はそんなバンドの成長を感じずにはいられなかった。

 そしてバンドの原点とも言える「青春日記」を届けて本編を終えると、アンコールでは松本が敬愛する星野源の「SUN」をカバー。YOSSYが加わったことでふくよかになったサウンドが、この曲にぴったりだ。「これ、やりたかったのよ!」という松本の言葉が物語るように、愛に溢れたあたたかいパフォーマンスだった。そして盛りだくさんの発表(ファンクラブ開設、ロゴ変更、6月24日に開催される2マンライブ、そして「満漢全席」のミュージックビデオ公開)を経て、「また会えるから。また一緒に集合しましょうよ!」と松本は再会を誓い、最後の曲「long good-bye」へと入っていく。メンバー紹介も挟みながら、遠くへ遠くへと音を響かせるリュックと添い寝ごはん。最後まで会場はひとつになり、最高のフィナーレを迎えたのだった。

■『リュックと添い寝ごはん Zepp Oneman LIVE "満漢全席"』セットリスト
2025年3月7日@Zepp Shinjuku(TOKYO)

01.灯火
02. Be My Baby
03.ネットルーザー
04.Pop Quest
05.あたらしい朝
06.home
07.はっぴいえんど
08. みんなのうた
09.恋をして
10.グッバイトレイン
11.疾走
12.天国街道
13.満漢全席
14.Thank you for the Music
15.青春日記
En-1.SUN(星野源カバー)
En-2.long good-bye

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