井上和と中西アルノのWセンターだから意味がある “王道と革新”の2人が担う乃木坂46の未来
乃木坂46の38thシングル『ネーブルオレンジ』のフォーメーションが、3月2日深夜放送の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で発表された。表題曲のセンターに抜擢されたのは、5期生の井上和と中西アルノ。グループの新たなフェーズにおいて、この2人がセンターを務める意味を考えずにはいられない。
乃木坂46は今、世代交代が本格的に進行しているタイミングにあると言えるだろう。1期生、2期生の全員がすべて卒業し、今年に入ってから3期生も与田祐希に続いて中村麗乃、佐藤楓が卒業発表するなど卒業が相次いでおり、4期生と5期生が中心となって新たな歴史を築こうとしている中で、井上と中西のWセンターが打ち出すメッセージ性は大きい。井上が持つ王道的な安定感と、中西が持つ圧倒的な表現力。乃木坂46の“今”を象徴する2人が、どのようにグループの未来を形作っていくのか。
選抜発表後、井上は自身のブログで「私とアルノは乃木坂46の良さを1番伝えやすい場所にいるかもしれないけど みんなで頑張ってます」(※1)と綴った。そこにあるのはセンターとしてグループの顔となる重責を担いながらも、個人ではなくチームとして進んでいく意志。井上は29thシングル『Actually...』収録の5期生楽曲「絶望の一秒前」をはじめ、33rdシングル表題曲「おひとりさま天国」、36thシングル表題曲「チートデイ」でもセンターを務め、グループの顔としての役割を担いつつある。最近では、3月21日放送のスペシャルドラマ『スプリング!』(テレビ朝日系)で主演を務めることも発表され、俳優としてのキャリアも明るい。
そんな井上に対して中西は、選抜発表後のブログで「ずっと前で踏ん張り続ける和を見ていました」「かっこよくて、頼もしくって、すごく尊敬していました」と2年連続で夏リリースのシングル表題曲センターを務めてきた井上へのリスペクトを語り、「私を信じて応援し続けてくれた皆さんに返したい」(※2)と決意を示した。「Actually...」で表題曲センターを務めた経験を持つ彼女は、このWセンターへの起用は再び自身の存在意義を問われることになるだろう。中西にとって、このポジションは“試練”でありながらも、さらなる成長へと繋がる挑戦の場とも言えると思う。
ここで注目すべきは、2人が歩んできた道のりがまったく異なることだ。井上は、その洗練されたビジュアルと安定したパフォーマンスで加入当初からエース候補としての評価を集めていた。乃木坂46らしさを体現するメンバーでもあり、グループの歴史を引き継ぐ正統な存在としても位置付けられてきた。中西は、圧倒的な歌唱力と独自の表現力で異彩を放ち、デビューしてまもなく表題曲センターに抜擢。今でも公式YouTubeチャンネルで配信された『乃木坂46時間TV』での初披露の衝撃は忘れられないという人も多いだろう。アイドルらしい可愛さとは異なる、自分だけのスタイルを確立しながら、これまで乃木坂46に新たな可能性をもたらしてきた。彼女の強みは、単なるパフォーマンスだけでなく、感情を剥き出しにした歌唱表現にある。こうした異なる個性を持つ2人がセンターに立つことは、乃木坂46がより多様な魅力を持つグループであることを示す重要な布石となる。王道と革新。その二極が同時にセンターに並ぶことで、乃木坂46は新たなフェーズへと突入していくのだ。