氷川きよしへの憧れから掴んだ『レコ大』新人賞 小山雄大、新曲「じゃがいもの花」に込めた思いを語る
「じゃがいもですか?」と聞き返してしまいました(笑)
――新曲「じゃがいもの花」の歌詞には〈恩返し〉という言葉が出てきます。やっぱり今後の活動は〈恩返し〉がテーマですか?
小山:そうですね。僕も〈恩返し〉が出てくる3番の歌詞が好きで、「じゃがいもの花」の歌詞をいただいた時、弦先生にも「3番の歌詞が好きです!」とお伝えしました。3番の歌詞〈咲かせてあの日の 母ちゃんの/涙を笑顔に 変えてやる/「花言葉は 恩返し…」/見せたい俺の 晴れ姿〉を早く歌いたいです、と。
――とてもインパクトのある曲名ですが、最初に新曲はこれだよと「じゃがいもの花」をいただいたときは、率直にどう思いましたか?
小山:最初は曲名だけいただいて、その際には「じゃがいもですか?」と聞き返してしまいました(笑)。だけど、歌詞は“母への思い”がテーマになっていて、母が東京で頑張っている息子のことを思い、息子は故郷の母のことを思っている、そんなふたりの情景が浮かんで。自分の親は農業をやっているわけではありませんが、ここに描かれている思いは同じだと思いました。実際に母は僕のことを気に掛けて、たまに電話をくれたりするし、僕からも電話しますし。「道南恋しや」もそうでしたけど、「じゃがいもの花」も等身大の自分が表現された楽曲をいただいたなと思います。僕だけじゃなく、いろんな方に当てはまる曲でもあるので、全国の息子を持つお母さんたちへのメッセージソングにもなるといいなと思っています。
――なぜ、“じゃがいも”だったのかは聞きましたか?
小山:はい。弦先生をはじめ、弦先生の事務所の皆さんが僕のことを「じゃがいもくん」と呼んでいたことを作詞のさわだすずこ先生が聞いたそうで。じゃがいもは北海道の名産品ですし、さわだ先生のなかで僕と言えば“母親”というイメージが浮かんだそうで、それでこの歌詞を書いたとおっしゃっていました。それに、愛称で呼んでもらえるということは、それだけ愛されているということでもあって。デビューにあたって、省略して「じゃがくん」という愛称がつきました。
――ファンの方からも「じゃがくん」と?
小山:「じゃが孫」と呼んでいただいています(笑)。
――(笑)。「じゃがいもの花」は、とてもシンプルでキャッチーな曲ですよね。
小山:ありがとうございます。「思いやり」「深情け」「恩返し」という、じゃがいもの花の実際の花言葉が入っていて、ここがこの曲のキーポイントになって、グッと胸に響いてきます。
――歌詞では1番で望郷の思いを歌い、2番は夢にくじけてしまった経験、そして3番では母の顔を思い出して、再び立ち上がる。そんなストーリーですが、2番の歌詞に出てくる〈坂道泥道 汗の道〉は、小山さんのデビューまでの6年とも重なります。先ほど「等身大の歌」とおっしゃっていましたが、まさしく小山さん自身のこれまでが歌われているようですね。
小山:はい。弦先生と一緒に、足を棒にして事務所探しをしたり、オーディションを受けても受けても受からない時期もありました。「じゃがいもの花」を歌うたびに、そういう日々のことを思い出します。
――お母さんへの思いも込められているということですが、デビュー当時のお母さんとのエピソードがあれば教えてください。
小山:上京という決断をする時、東京のほうが北海道よりもチャンスが多いと思いましたし、弦先生のレッスンもたくさん受けたいので、「高校生になったら上京したい」と母に相談したんです。母からは「高校を卒業してからでもいいんじゃないか」とも言われたのですが、でも僕は東京に行きたくて、たくさん説得しました。それで上京したんですが、高校がひとり暮らしが禁止で。その時に母が仕事を辞めて、一緒に東京にきてくれたんです。長年やっていた仕事を辞めるのって大変なことだし、東京で新しい仕事を見つけるのも大変ですし。たくさんの苦労をさせてしまったんじゃないかと思いますし、そのぶんも恩返しをしなくてはという気持ちが大きいです。
三山ひろしの背中を追いかけて「誰からも愛される小山雄大になりたい」
――レコーディングの時に心がけたことや、弦さんからのディレクションで印象的だったものを教えてください。
小山:「大きく、あたたかく歌ったほうがいい」とご指導いただきました。「感情を込め過ぎず、歌詞を前に出すことを心がけなさい」と。たとえば、〈恩返し〉という言葉はあまり抑揚をつけず、言葉として受け取りやすいように歌ったり。とはいえ、感情を入れないのではなく、しっかり感情を込めて歌うところも何カ所か作ったほうがいいとアドバイスしていただきました。
――全部に感情を込めてしまうと、本当に聴いてほしいところが目立たなくなるということで、つまりメリハリですね。
小山:つい強く歌いたくなっちゃうんですけど、グッと抑えましたね。あとは、出だしの〈じゃがいもの じゃがいもの〉というところは、明るくあたたかく歌うことも心がけました。
――サウンドはいわゆる演歌/歌謡曲に寄ってはいるけれど、ストリングスが入っていて。そこがちょっとポップスな感じで、明るさ、あたたかさ、優しさを引き立てていると思いました。
小山:ありがとうございます。弦先生は「雄大の声にはふるさと演歌が合う」と言ってくださっていて。「雄大のテーマはふるさと演歌だ」と。なので表題曲だけでなくカップリング曲も、ふるさと演歌になっています。
――カップリング曲「沖の島遙か」は、同じふるさと演歌でもロケーションが異なりますね。
小山:はい。三山先輩のふるさとである、高知県の沖ノ島が舞台です。歌詞に、〈だるま夕日〉〈珊瑚樹〉など、沖ノ島の名物が出てくるので、島の美しい情景を想像しながら聴いてほしいです。曲調はマイナー調で「じゃがいもの花」とは対照的ですね。いつか僕も沖ノ島に行って歌ってみたいです。
――北と南で。
小山:「道南恋しや」のカップリング「椿咲く島」は、五島列島が舞台の曲でした。弦先生のライフワークが“島”をテーマにした曲を書くことで、「御蔵島唄」「五島の母ちゃん」などがあります。その一部として今回書いていただけたことは嬉しいです。CD1枚1500円で、北から南まで旅できますし(笑)。次のCDではどこの島になるのか、予想しながら楽しんでいただけたら嬉しいです。
――CDの発売日3月5日は小山さんの誕生日で、22歳になります。22歳の目標を教えてください。
小山:常に思っていることではあるんですけど、一日でも早く単独コンサートができるように、もっとレベルアップして、松前先生や三山先輩に一歩でも近づけるように頑張っていきたいです。二刀流というところでは、今までトランプを使ったカードマジックをやってきたのですが、トランプは遠くからだと見えづらいので、最近はステージでも映えるようにリングを使ったマジックを練習しています。そのうち披露できたらいいなと思っているので、楽しみにしていてください。
――鳩を出したりは?
小山:鳥が苦手なので、それはちょっと……ごめんなさい(笑)。
――前に会見で、「じゃがいもを使った料理で好きなのは母の作る肉じゃが」とおっしゃっていました。小山さんご自身は、料理されますか?
小山:します。小さい頃から料理はしていて、小学生の時にきんぴらごぼうを作ったり。
――渋い小学生!
小山:(笑)。上京して母が北海道に帰ってからは自分で作っていて、特にパスタはよく作りますね。カルボナーラとか。レトルトではなく、ソースもイチから自分で作るんです。マジックしかり、ハマり性なもので……。一時期はオムレツにハマって、毎日オムレツを食べていました(笑)。最初はきれいなかたちにできなかったんですけど、だんだん上手になって、今ではナイフで切れ込みを入れると花が咲く、“たんぽぽオムライス”も作れます! 「じゃがいもの花」をいただいたことですし、じゃがいも料理のレパートリーも増やしたいですね。
――では最後に、氷川さんに憧れて始まった演歌人生ですが、今小山さんが目標とする人はいますか?
小山:目標とする人は、三山ひろし先輩です! 小さい頃から歌に元気や勇気をもらってきたので、演歌歌手になった今、今度は自分自身がそういったものを与えて、笑顔になってもらえる歌手になっていきたい。誰からも愛される小山雄大になりたいです。
■リリース情報
シングル『じゃがいもの花』
発売中
定価:¥1,500(税込)
<収録内容>
M1. じゃがいもの花
作詩:さわだすずこ/作曲:弦哲也/編曲:猪股義周
M2. 沖の島遥か
作詩:紺野あずさ/作曲:弦哲也/編曲:猪俣義周
M3. じゃがいもの花(オリジナルカラオケ)
M4. じゃがいもの花(一般用カラオケ半音下げ)
M5. 沖の島遥か(オリジナルカラオケ)
M6. 沖の島遥か(一般用カラオケ半音下げ)
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